第2話 代償

若葉が、死んだ

僕は、いまだにその現実を受け入れられていなかった

本当は、若葉は、どこかに隠れていて

「どうしてみんな泣いてるの?」

と言って、笑いながら出てくるのじゃないのか

紅葉と露葉は、泣いていた

そこで、僕は、気づいた

僕も泣いていた

紅葉や露葉と同じように、僕も泣いていたんだ

若葉の葬式の後は、雨が降っていた

僕たちは、傘をささずに四人でよく行った、見晴らしのいい丘に行った

「ねえ、3つの雨探し、続ける?」

紅葉が聞いてくる

「どうしよっか」

雨の音が響き、3人に沈黙が走る

「今日は、もう解散しないか?」

僕は、そう提案する

「今、考えたところで、答えは出ないよ、きっと」

「月夜は、悲しくないの」

何でそうなるんだ?

「若葉がいなくなって、悲しくないの?」

僕だって、悲しいよ

さっき泣いていたじゃないか

反論したいのに、言葉が出てこない

「ねぇ、どうなの?」

気づいたら

「僕だって悲しいよ!」

そう言って、走り出していた

大声を出したことで、紅葉や露葉がびっくりしていたのが目に写ったけど、僕は止まらずに走り続けていた

服が濡れた

体が寒い、でも体よりも心のほうが冷たかった

僕は、走り続けなきゃいけない

なぜかそう思った


次の日

僕は、熱を出して学校を休んだ

紅葉と若葉も学校を休んだらしい

あの日から何日かたったけど、僕は二人と一言も会話をせずにいた

いや、話そうにも二人に避けられていた

これは、僕たちが3つの雨を探していた、代償なのだろうか

若葉が死んだことによって降った悲劇の雨は、僕たち3人の間に冬を訪れさせ、僕の心を凍らせて氷にした

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