人間の凶器

人間の凶器

　僕のイマジナリーフレンドの、新井尚也くんが書いた詩です。

　彼は、ASDとADHDをもっています。いわゆる、発達障害です。

　これらは、脳の機能障害です。ろうと同じで、外からはわからないものです。

＊

死んで許されるのならば死にますが

柵に足かけて飛び降りて

ビルから落ちて死にますが

死んで楽になるのなら死にますが

家族もなにも放り投げ

自分本位に死にますが

今まで傷つけた人の数

心に残した傷の跡

悪気がなかったでは済まされぬ

私は、人間の凶器です

何気なく言ったあの一言

戯れで言ったあの一言

善意で言ったあの一言

私の口は、悪魔です

何気ないあなたの失敗を

私は執拗に責め立てた

この人その人あの人も

私に執拗に責められた　

私は、怒りのナイフです

私は、人間の凶器です

　　＊

　ASDには、人の気持ちを想像する力が弱い特性があります。そのため、なんら悪気なく、暴言のような言葉を吐いてしまうことがあります。善意で放った言葉であってもです。

　ADHDには、感情や衝動の制御や冷静な判断をする力が弱い特性があります。そのため、不本意に相手を傷つけてしまうことがたびたびあります。

　彼は、それらの特性に苦しんでいます。

　何らかの方法で、尚也くんが謝りたい相手に謝ることができれば、少し彼自身の心が救われるかもしれませんね。

　尚也くんの周囲の人には、尚也くんの特性を理解し、彼の性格のせいではなく、目が見えない、耳が聞こえないのと同じで、「仕方なく」起こっているのだということを、わかってもらう必要があると思います。

　周囲の理解が、彼を救います。