僕と彼女の青春革命〜音楽が繋ぐ一つの軌跡〜
アイア
第1話 プロローグ
『さぁ、遂に、全国に旋風を巻き起こしている、あの人気バンドの登場です!!』
司会の声によって、巻き起こる大歓声
今でも、信じられない
もうすぐ、僕たちの出番だというのに、音楽をやっている人なら、誰もが憧れるあの舞台に僕自身が立てるということを
そして、僕にとって一番大切な人と一緒に舞台に立てるという奇跡が
僕は未だに、夢でも見ているのではないのかと錯覚してしまう。
まだ、始まってすらいないのに、今までの出来事がフラッシュバックして、もう泣きそうになっている自分がいる。
こんな状態では、大事な本番を台無しになってしまうから、早く気持ちを切り替えないと、と思っているのに、身体がいうことを聞いてくれない・・・
「こ~ら、なんでもう泣きそうになってるの?
まだ、始まってすらいないんだけど~?」
僕の状態に気づいてか彼女は、両手で僕の顔をつかんで、こちらを見つめて、心配そうにしながらも笑顔でそう話しかけてくれる。
それだけで、さっきまで言うこと聞かなかった僕の体は、落ち着きを取り戻し、夢だと錯覚していていたものは偽りで僕を現実へと引き戻してくれる。
「お、もう、大丈夫そうだね?
折角の大舞台、楽しまなきゃ損だもんね!」
僕の状態が回復したことにも気づいてくれて、今度は見た人全員を虜にしてしまう、そんな天使のような笑みでそう話しかけてくれる彼女
そんな笑顔を間近で見て、思わず赤面してしまう僕と、そんな僕を見て今度はからかうように笑う彼女
「よし、じゃあ、行きましょうか!!」
そう言いながら、僕の手を引っ張って舞台へと進んでいく彼女
そんな彼女の姿を見ながら、いつも思う。
僕一人では、何も出来ないけれど君のおかげで、僕は前に進んでいくことが出来る
ありがとう、いつも僕の道を照らしてくれて
ありがとう、いつも僕の傍にいてくれて
ありがとう、あの時僕を見つけてくれて
僕は君にいつも感謝している
僕は未だに、僕自身のことを好きにはなれていないけれども、それでも君は僕のことを好きだと伝えてくれる
そして、そんな君のことを僕は世界で一番、愛している
ありがとう、そして刻もう、僕と彼女の青春革命に今日という日を
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