第122話 保守党の反発
翌日から私たちは仕事を再開した。地方党を味方にするために私たちは保守党の切り崩しをはじめた。もともと、ロヨラ副知事が保守党に近かったのもあるので、保守党議員の多くに面識がある。それを活かして私たちは工作を仕掛ける。
でも……
「申し訳ございません。ルーナ知事のご提案は確かに魅力です。しかし、それでは私たちの支持層を裏切ることになります。たしかに、立場関係なく教育を受けることができるのは理想でしょう。でも、現在の知識階級にはそれを許さない差別的な反発もあるんですよ」
「そもそも、その教育対策予算を復興費に回した方が建設的ではありませんか」
「私たちは保守党中央の意見を聞かなくてはいけないんですよ。ですから、あなたとは協力できません」
こんな感じでうまくいかないわね。
「さすがに保守党の反発は強いですね」
「ええ、まさかここまでとは……よほどルーナ知事の手腕を警戒しているのでしょう」
ロヨラ副知事は苦笑いしている。
「唯一の救いは、改革党の説得をクリス副知事が成功させたことでしょうね」
「ええ。改革党の代表者とクリスさんが知り合いだったから……まだ、3票ですが集まったことを喜ばないとですね」
改革党はその名の通りの改革を求める党だ。
保守党とは常に対立関係にあるため、私たちの政策にも協力的。これで過半数まであと23票ね。
「情報を整理しましょう。今回の件で保守党をまとめているのは誰かしら?」
「保守党のバルセロク地方幹事・アドリアンだと思います。エル=コルテスの側近中の側近でしたから……」
「そうなるともちろん私たちに恨みがあると考えた方がいいわね?」
「でしょう。彼はコルテス家の関連企業から多額の献金を受けていましたから」
「つまり、私たちが彼の財布を奪ったということね?」
「彼はエル=コルテスの後任の議長を狙っていましたから……多額の財源になっていたルートを潰されれば怒りもします」
「彼の不正の証拠は?」
「残念ながら巧妙に隠されていました。彼を逮捕できるほどの証拠はありません」
「失脚させることはできないわね」
私は残念とばかりに書類を机に置いた。
「ふふ、すっかり政治家の顔になっておりますな。ルーナ知事?」
「こんな世界に慣れなくてはいけない自分の不幸を呪いますよ」
「ですが止まるわけにいきませんね」
「もちろんです。アドリアン幹事と直接話そうと思います。なにか解決の糸口を見つけることができるかもしれませんからね」
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