第91話 対策会議
「バルセロク地方兵団長のシッド准将がお越しです」
私たちの対策会議に地方兵団長がやってきた。シッド准将聞いたことがあるわ。中央にいた時のことだけど……
たしか有能だったけど、王族にたてついたことで地方兵団の
性格には難があるけど、作戦立案においては魔術師ともいわれるほどの優秀な人物。特に少数の兵を使ったゲリラ戦術が得意で国境警備隊を指揮していた時は世界最強のヴォルフスブルク帝国を劣る兵力で手玉に取っていたわ。
こういう不利な状況で生きる指揮官が赴任にしてくれていることを喜ぶべきね。
「准将、私がバルセロク地方知事のルーナです。今後ともよろしくお願いいたします」
「ああ、あなたが噂の森の聖女様ですか。私と同じで王族嫌いでしょうから話が合うでしょうね」
公の場での爆弾発言にみんなは言葉を失っている。でも、これくらい豪胆であれば頼りになるわ。
「准将、地方兵団の様子はどうでしょうか?」
「はい、主力と予備戦力を入れて700人ほどが私の指揮に入っています。主力は沿岸砲台に陣取って賊たちの迎撃準備をしています。予備兵力が避難誘導や火薬、砲弾の輸送を手伝っています。あと1時間もあれば最低限の防御陣地は構築できるでしょう」
700か。奇襲だったこともあって各地に散らばる地方兵団をすべて集めるのは難しかったのね。
でも、よかった。このスピードなら迎撃に間に合うはずよね。
「将軍、敵がグラン海賊団だとして擁している戦力はどのくらいだと見積もっている?」
ロヨラさんがシッド准将に確認する。
「私的なルートで手に入れた情報では、海賊団の総員は3000ほどだとされています。よって、こちらに来るとしたら我々の4倍近くになるかと」
「4倍!?」
「心配するのはわかりますが、ご安心ください、知事。通常では防衛戦は防御側に有利で、攻める側は何倍もの戦力を必要とします。さらに我々は耐えていさえすれば本国の応援が来るんです。最初の猛攻さえしのげれば、あとはこちらが勝ちます」
将軍は自信満々に言う。
「そして、こちらは部下として進言させていただきます。知事、市内は戦場となり危険です。ただちに後方にお下がりください」
そう言われるのはわかっていたわ。でも……
「いえ、私はここに残ります」
そう宣言した。
―――
用語解説
軍人の階級について
大将……参謀総長など軍のトップ
中将……司令長官や総監など各部隊のトップ、次官
少将……師団長(1万人クラスの指揮官)や4隻制度の艦隊の司令官、騎士団長、局長
准将(シッド)……地方兵団長(数千人クラスの指揮官)
大佐(アレン)……旅団長や副師団長、艦長クラス(1000人程度の指揮官)
こんなイメージで書いています。
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