第39話 新しい未来へ
<新しい未来へ>
サラが大きなステージに立っている。
全国民の視線はサラ一人に向けられている。
その姿をヒョウ、ライ、ロックも並んで見守っている。
「国民の皆さん、今日大切なお話があり、ここにお集り頂きました」
サラは王族とオッドテクノロジー社がしてきたこと、
国民の身に何があったのかを伝えた。
国民の中には怒り出す者、言葉を失った者、
涙を流す者、それぞれだった。
それでもサラは続けた。
「私はここに宣言します。本日を持って王政を廃止します」
全国民がそれを聞き、驚きを隠せずにいた。
「私はこの戦いの中で一人の青年と出会いました。
今回の計画を止めてくれたのは彼です。
この戦いが終わった後、共に新しい世界を作ろうと約束をしました。
我々を救うために彼はこの戦いで亡くなってしまったけれど、
その意志はこの国のシステムと共にいます。
だから、きっと彼はこれからも我々を見守ってくれると信じています。
そして、彼と私が望む未来の為に、通貨を廃止します。
そうです。お金というものを廃止します。
この国のオートメーション技術から生まれるサービスを全て無料とします」
国民は最初は驚き、その感情を言葉にできなかったが、
たちまち、沈黙は歓声に変わり、空の彼方まで鳴り響いた。
「これからは、一人ひとりが真の自由を得ます。
誰かに支配されることの無い、
誰かにコントロールされることの無い世界です。
共により良い世界を作り上げていきましょう!」
そう言うとサラはたくさんの国民の歓声に包まれながらステージを後にした。
<十年後>
当初、貨幣制度を廃止したことで国民は慣れない様子ではあったが、
この国の住人は既に仕事を失い、
国からの一定給付にて生活をしていたこともあり、
直ぐに自分が本当にやりたいことを行うようになった。
サービスは無料となったことでその民が欲しい物を、
欲しい量でAIを通じて提供することが出来ており、
民は心から満足している。
そして、
音楽が好きで音楽を奏でる者、
コンサートを開いて芸を披露する者、
絵を描く者、
運動を楽しむ者、
映画を作る者、
家族と会話を楽しむ者、
ゲームをして楽しむ者、
料理を楽しむ者、
全てがオートメーションであっても、
民は自分がやりたいと思うことをやり続けている。
治安維持もAI警察が実施し、平穏を保っている。
また、キースが開発していた太陽や星を生み出す技術も、
その後AIが引継ぎ、完成させることが出来た。
沢山のスペースがあることで民は住居に困ることはない。
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