彼女はモノクルの中で咲う。
Yumil
利田町
まず挨拶を。
久しぶりに書くのを再開しました。よろしくお願いします。
****
エンジン音が響く車内。
私は今、とある所に
車窓から見えるのは、比較的大きな川。日本の中ではそこそこ大きい方ではないでしょうか。川自体をあまりみたことがありませんし、日本の川の標準的な大きさも知りませんが。
川の対岸は見えません。川の中央あたりに、高いコンクリートの壁が聳え立っています。壁の上には、人が数人入れるくらいの部屋(詰所でしょうか)が等間隔に設置されています。
そして、その詰所の屋根の上には…
「あれは…
私の問いかけに、運転席でハンドルを握っている兵士さんは「そうだよ」とだけ、答えてくださいました。
機関銃については、先日の、先生の授業の内容に少しだけありました。人を殺すための戦争の道具…
「私は、どんなところに連れて行かれているのでしょう…」
私のその呟きに、今度は兵士さんはダンマリでした。ちらっとみると、顔を背けているようです。
…この話はしてはいけないものでしたか。会話の仕方は、教えてもらったばかりであまり分かりません。
ふぅ、と息を吐いて、今度は逆側の窓から外を覗きます。その時、突然視界が開けました。
そして私の目に飛び込んできたのは、大きな鳥居と、その奥の…
「ふぇっ!?」
は、裸の男の子が見えたのは気のせいでしょうか!? それに、犬という動物とか、なんだか色々いたような気がします。
車が速いせいか、すぐに見えなくなってしまいました。
その後すぐ、私を乗せていた車は停まりました。
兵士さんが「降りるぞ」と私に言い、そのまま外に出て、どこかへ行ってしまいます。慌ててドアを開けて外に出た私は、兵士さんを見失ってしまい、その場に立ち尽くすしかありませんでした。
仕方なく、その場で兵士さんが気づいて戻ってくるのを待ちます。
ふと、乗ってきた車が走ってきた後方をみると…先程の鳥居が、遠くに見えました。残念ながら、手前にある建物が、その先の謎の男の子がいるであろう場所を隠してしまっていますが。
そして、その建物は…濃い灰色の…これは、ビル、と言うのでしょうか。とても高く…すぐ隣の山の頂上に届くほどでした。
ほぇー……と、見上げていると、背後から複数人の足音が近づいてきました。
「……何をしている」
1番先頭の兵士さんが、顔を少し顰めながら話しかけてきました。先程の運転していた方とは違う方のようです。
「いえ…これほど高い建物を、私はみたことがなかったので…」
その兵士さんは、私の答えに最初から興味はなかったようです。後ろにいる残り2人の方と少し言葉を交わし、そして私を3人で取り囲みました。
「それでは、この先の地区の話。そして、これからのお前の生活についての説明を行う。一度しかしないから、ちゃんと聞けよ」
「この先…ですか。わかりました」
私のこれからについて、説明してくださるそうです。この先の地区…私が住む場所なのでしょう。囲まれるのは少々怖いものがありますし、ちゃんと聞かせていただきます。
「この先の地区は、利田町と呼ばれる集落だ。そこに、
「それは、ありがとうございます」
私の言葉に、兵士さんは一瞬黙りましたが、すぐにまた話し始めます。
「住居についても準備してある。あちらの町役場に着いたら、地図を渡す。それに書いてある場所に行け。
学校は、明後日から通うことになる。制服等必要なものは部屋に全て備えてある。把握して、明日中に準備をしておけ」
「わかりました」
そこで、兵士さんは息を吐きます。
「生活費については、事前に用意された口座に、必要最低限の生活費が支給される。それ以上は自分で稼げ。仕事の斡旋は町役場が行っている………以上だ。気になることは現地の人間に聞け」
「……ありがとうございます」
私の言葉に、兵士さんは今度は、「ふん」とだけ返事をしてくださいました。
「それでは、運転は私が引き継ぐ。お前たちは戻れ」
兵士のその言葉に、私を取り囲んでいた残りの2人は返事と、敬礼…でしょうか、それを返し、そのままどこかへ行ってしまいました。
「それでは、車に乗り込め。利田町に入る」
私はその言葉に頷いてから、車に乗ります。
…それにしても、この車はなんだか不思議です。先生に教えてもらった車と比べてだいぶ大きいようですし、それに角張っています。
これについても、後で利田町という場所の方に聞いてみましょうか。
そうして、私を乗せた車はさらに先へと進んで行きました。
出発した直後に潜った門の上には、先程の川の壁の上にあったものと相違ない機関銃が設置されていました。
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