#03 充足感
というか、ホワイも夜が遅かったのか。
寝ているホワイを見て眠気がうつったのか、あくびが出てきてしまう。
そうだ。
僕も、昨日は夜更かしをしてしまった。
ダニット一家との推理ゲームを目の前に控えてネットで詰め作業をしていたからだ。つまり、有志の方々と、どういった感じで推理を進め、どういった感じで捜査をすればいいのかの最終確認をしていたわけだ。だから油断をすれば、眠くもなる。
今のホワイの気持ちが分かってしまう。
また、あくびが出た。
「あれ?」
とハウ。
「ケンダマンも眠そうだわさ。大丈夫?」
なんて言っているが、多分、茶化したいだけだ。無視。無視。スルー。
「無視か。まあ、いいけどさ。ハウちゃんも、ちょっとだけ寝ちゃうよ」
ハウが拗ねてみせる。
てかさ、というかだ。
嗚呼、早く今日というが終わり、いや、事件が無事に解決して思いっきり寝たい。
時間も気にせず、一日中、朝から晩まで布団の中で、ぬくぬくしたい。
今日の始まりの始まりから緊張と不安の連続だったからこそ眠たい願望も強くもなる。しかしながら、現況、いまだ捜査主導権を握らされているからこそ、ホワイのように安心して眠れる自信は、どこにもないのだが。ともかく話を戻して続ける。
「店員の冷たい視線と淡々とした対応が、もの凄く怖かったです。ひやひやなんて言葉、使う時あるのかよって思ってましたが、この時の為に在るんだなって。ハァ」
アハハ。
と、空笑ってみせる。
「フムッ」
わたくしどもが推理ゲームを愉しむ意味は、そこにこそあるのですよ。
と、フーに言われてしまった気がして、ドキッと突き刺すよう心臓が一つ脈打つ。
「ふむみみゅ。淡紫のスターチスですわ」
微かに寝言が聞こえる。ホワイのそれ。
「あれ。寝てまで寝言で花言葉って、どんなオサレ? ハウちゃんも大概だけど姉貴も大概だね。というか、ささ、ずずいっと成果を披露しておくんなまし、だわさ」
と、ハウが茶化してから先を急がせる。
そして、
……僕は、彼らに、今、僕が知り得た事を報告し始める。
まず、ここで川村一正がパチンコ玉を買った事。次に、一正が玉を買ったのは12月16日であり、事件が起こる3日前だという事。三つ目にパチンコ店で出玉を入れる箱に目一杯である2500玉ほど買ったという事。この三つが分かった。
先ほど店内からフーたちの元に戻ったのち書き留めた事を述べてメモ帳を閉じる。
パタリ。
敢えてで音が立つように閉じてやった。
いわゆる、格好を付けたというやつだ。
やりきったという気分が、そうさせた。
文句あるか? ああ?
「フムッ」
とフーは右手で顎を撫でてから微笑む。
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