#12 ポルゴ13
僕は困って苦笑いしながらフーを見つめて助け船を出して欲しいとサインを送る。
フーは、静かに2人の肩を叩いてから、穏やかに微笑む。
「それ位にしておきましょうか。今はゲームの最中ですよ」
と重々しくつぶやく。
どうやら彼女らの肩は、叩いたあとも残っていた手で締め付けられているようだ。
「痛い痛い痛い。ギブギブ、ギブ」
とハウ。
「お父様、申し訳ありません。本当にごめんなさい。あぅ」
飽くまで笑顔を崩さずも苦しそうに口角を歪めるホワイ。
見たところ、彼女らのキャットファイトにはフーも腹を据えかねていたのだろう。
冷静で笑顔がトレードマークな彼が怒っているからこそ。
「ともかくです。ヒントは、それだけなのですか? ハウ」
パッと手を離してから笑むフー。
そんな笑顔に何らかを感じ取ったのか、ハウは額に汗を浮かべてから焦って言う。
「まあ、今のだけじゃ5万円には、少々、足りないのでござる。だから現場に行ってからヒントを続けるよ。まあ、ここまで言っちゃったらヒント過ぎだからさ」
また、あの髭を静かにも撫でる。
というか、ヒント過ぎどころか何も分からんぞ。何もな。
キャットファイトが未然に防がれたのはいいが、ヒントに関しては意味すら分からない。白人至上主義がどうのこうのとかだとか、一般人な僕にはサッパリだ。ただ仕草狩りがどうとか言っていたから仕草がトリックに関係しているわけか。多分。
でもだ。
仕草で人が殺せたら、すわ殺し屋はいらないぞ?
仮にポルゴ13が現実にいたとしてターゲットなり、もしくは己自身の仕草で人が殺せたら、それこそ殺し屋というよりはエスパーだろう。というか、仕草で殺せたら世の中、死人だらけになるぞ。宇宙空間で弓を引いて衛星を排除したよりも凄い。
まあ、でも今回のヒントには続きがあるらしい。
今は、それに期待だ。
僕は奈緒子の父から預かった封筒の中身を見る。
残り30万円。つまりヒントを4回請求して依頼料と併せて50万円を支払った事になる。残り6回のヒントで今回の事件を解決できるのか。そんな風に弱気にもなるが、それでも、やるしかないのだ。と心を新たに前を見据えて虚空を睨んだ。
「……では行きますか」
現場に。
とフーがまた笑んだ。
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