第二章

第十三話

 青々とした木々たちが風に揺られ、華やかに会話をしている森の中で、四人の女の子たちの姿があった。

 その四人の女の子たちは、木々たちの華やかな会話を一緒に楽しんでいるように見えなかった。

 四人の女の子たちの中の一人は、怯えた表情をしていた。

 そして、残りの三人の女のたちは、挑発的な口調で発している、"言葉の意味"、を理解できているのか? と思えるほどだった。

  ひどく怯え無防備な女の子に、一人の女の子が強く押すと。無防備な女の子は、押された勢いに身体が耐えきれず後ろにある木に背中をぶつけ苦痛の表情を見せた。

 その苦痛の表情を見ながら、残りの二人の女の子は微笑んでいた。


 苦痛に顔を歪めている女の子は、逃げ出したかった。「やめて!」と心で叫ぶが声に出すことができなかった。

 心の底に刻み込まれた恐怖が、女の子をこの境遇から抜け出すことをさせなかった。


 微笑んでいる二人の女の子の一人が、苦痛の歪めている女の子の耳元に顔を近づけ、怯えている女の子に何か指示をだした。

 怯えた女の子は、その指示に従えないと首を横に振ると……。


 次の瞬間!


 メガネが、木々を支えている土の上を勢いよく弾み、そして土の上に落ちている。そして、メガネのレンズが持ち主である女の子を映し出す。

 メガネの持ち主は、土の上にへたり込みながら、少し赤く腫れた右頬を押さえながら動揺した。動揺はすぐさま、より強い恐怖へと変わっていく。


 もう一人の女の子が、目立つ箇所は止めておいた方がいいと。右頬を叩いた女の子に助言した。

 その助言の言葉は、土の上にへたり込み、より強い恐怖感で震えている女の子を鼓膜を振動させる。女の子は、そんな言葉など聞きなくなかった。

 右頬を押さえている右手と力が抜けて地面に触れている左手で、両耳を塞ぎ、"今"、の言葉を聞かなかったことにしようとした。

 両耳を塞いでも、両耳の鼓膜からは伝わった言葉は脳に電気信号として送られ。脳内でその言葉が、繰り返し、繰り返し、再生された。


 耳を塞いで怯える女の子に二人の女の子が近づき、無理さり耳を塞いでいる両手を耳から剥がし。力いっぱい引き上げ、女の子を無理やり立たせる。

 助言をした女の子が、立たされ怯え涙を流しながら、首が取れてしまうのではないかと思えるほどに、横に激しく振っている仕草を見ながら。

 人を人として見ているの瞳で、怯える女の子をこれから。玩具おもちゃで遊ぶ子どものようなで瞳で、見つめていた。


女の子は、"死ねば"、この境遇から抜け出すのことができるのかな? と心の片隅かたすみで思うのだった……。

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