第十二話
「まぁー
今のアホなオヤジギャグを私の記憶から消去したい。
アホなオヤジギャグを言っている人物は、もう一人のママである。『
性格は、"「
日本に存在する
私に、【
見た目は令嬢と思わせる……思わせているだけの雰囲気の人です。
顔立ちは、
プロポーションに関しては、茉莉花ママよりも上です。
髪の色は黒で長さは私よりも長く、茉莉花ママよりも短い。セミロングです。
ただし、前髪の一部分を真っ赤に染めています。
もこもこしたルームウェアを着て、リビングのソファーに
私は二階から一階……。正確には三階から二階に、階段の手すりに手を這わしながら一段、一段、降りながら。
「
と、胡座をかきながらテレビのリモコンで忙しなく、チャンネルを切り替えているオッサンに尋ねると。
「茉莉花は、昼と晩の買いもんに行っとるでぇー。そろそろ帰って来るんとちゃうかぁー?」
私はリビングに壁に掛かっている電波壁掛け時計に視線を向けると。長針と短針は、十時と半分を指していた。
帰宅した時間から逆算しても、それほど爆睡していたわけでないようです。
テレビのリモコンで忙しなく、チャンネルを切り替えているオッサンが一つのチャンネルに固定すると。
「まぁー坊、ちょっとこっちに来いや」
招き猫ならぬ、招きオッサンに呼ばれ。私はオッサンに近づいていくと。
オッサンは、人差し指でテレビを指す。
テレビに映し出させているのは、女性のニュースキャスターとその背後に映っている会社のビル。そして、急死というテロップだった。
「殺られよったなぁー、やっぱり。あのクライアントの兄さん」
オッサンから。"
媛ママは、自分の隣のソファーの空いている場所をポン、ポン、と手で叩きながら。座れという指示を出してきた。
私がポン、ポン、と手で叩かれ指定された場所に座ると。
一つのある物を私に見せながら。
「この
この媛ママが私に見せている簪は、お風呂に入る前に茉莉花ママに渡した物。あの悪魔を一撃で葬り去った簪だった。
本当は、自宅などに持って帰っていけない代物なのです。
警察の証拠品だから? と思えますが違います。この仕事に関しては警察は動きません。
異能者が使用した物には、術が仕掛けれている可能性が高いためです。持って帰るにしても自分たちの居場所が特定されてもいい場所や術に対応できる場所などに持ち帰ります。それに異能者が使用した物に、触れないのも鉄則です。
今の時代なら小型GPS発信機や盗聴器の
どうしてそれが分かっていて、私が持って帰ってきたのか……。
それは……。
これは私に対する――挑戦状だからです。
媛ママもそのことをよく理解しています。
媛ママが、「殺られよったな、やっぱり。あのクライアントの兄さん」と、言ったときと、「この
「で、現在の勝算はどのくらい? 私にあるの」
媛ママは、ちらっと上目遣いに視線を私に向けて、親指、人差し指。そして、中指を立てながら。
「甘く見積もっても、三十パーセントってところやろな。なかなかの腕してとるで、この
「じゃー、相手は
その私の言葉を聞いて、媛ママはニヤニヤと得意そうな顔をしながら。
「アホやな! Sクラスの実力があったら直接、まぁー坊を殺した方が早い。こんな回りくどいことはせん」
「確かに……」
「まぁ、あれやな! まぁー坊も気付いとると思うけどな。相手さんは、
「ママたちに負けるけどね」
私の答えを聞くと。
前髪をかき上げ、真っ赤に染まった一部分の前髪が、パラパラと額に触れながら。ぱっと明るい表情をしながら。
「それでこそ、私たちの娘や!」
と、言いながらギュッと私を強く抱きしめてきた。
その抱きしめられた感触からは、
……、……。
今の現状では雲を掴むような話だ。
相手の正体も不明、実力も不明、目的は、"私"、なのに、"死"、が狙いではないという不可解さ。ハッキリと分かっていることは、私の勝算が、"甘く見積もっても、三十パーセント"、ということだけ。
今のところは、相手さんの
玄関のドアの開く音がしたあと。
のんびりとした口調の「ただいまぁー」という声がリビングに聞こえてくる。
「おかえりなさい」「ごくろーさん」
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