大好物に釣られて
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大好物に釣られて
〈電話の着信音〉
「もしもし?久しぶりー」
電話の相手は高校時代、同じソフトボール部だったケイだ。
電話の内容はというと、ケイが所属してる草野球チームの試合で欠員が出たので、助っ人として出てくれないか、という事だった。
「最近は全然スポーツやってないし、足引っ張らないかな?…え?助っ人やってくれたら打ち上げで回転寿司連れてってくれるって?本当?それは絶対行く!何が何でも行くわ!」
さすがに何もしないで試合に行くのは不安過ぎるので、チーム練習にも参加させてもらった。
学生の頃には難なく取れていたフライも、バッティングもボロボロだった。
回転寿司に釣られて安請け合いした事に後悔していた。
そんなこんなで不安を抱えたまま、試合当日を迎えた。
「よろしくお願いしまーす!」
試合なんて高校生以来だし、ガッチガチに緊張していた。
「こんなんじゃ、お寿司が美味しく食べられないじゃないかっ!おっしゃー、やるぞー」
俺の気合いは空振りのまま、試合はボロ負けで終わったのだった。
「ありがとうございましたー」
打ち上げのお寿司は、ちょっと塩辛く感じた。
大好物に釣られて 樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須 @ituki505
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