大好物に釣られて

樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須

大好物に釣られて

〈電話の着信音〉

「もしもし?久しぶりー」


電話の相手は高校時代、同じソフトボール部だったケイだ。

電話の内容はというと、ケイが所属してる草野球チームの試合で欠員が出たので、助っ人として出てくれないか、という事だった。


「最近は全然スポーツやってないし、足引っ張らないかな?…え?助っ人やってくれたら打ち上げで回転寿司連れてってくれるって?本当?それは絶対行く!何が何でも行くわ!」


さすがに何もしないで試合に行くのは不安過ぎるので、チーム練習にも参加させてもらった。

学生の頃には難なく取れていたフライも、バッティングもボロボロだった。

回転寿司に釣られて安請け合いした事に後悔していた。


そんなこんなで不安を抱えたまま、試合当日を迎えた。


「よろしくお願いしまーす!」


試合なんて高校生以来だし、ガッチガチに緊張していた。


「こんなんじゃ、お寿司が美味しく食べられないじゃないかっ!おっしゃー、やるぞー」


俺の気合いは空振りのまま、試合はボロ負けで終わったのだった。


「ありがとうございましたー」


打ち上げのお寿司は、ちょっと塩辛く感じた。

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