第34話 秘密
ダンジョンでは連日レベル上げが行われていた。
カナデとアオイは羊レベル3を倒している。
カナデの魔法適性は闇ではなく氷だった。ファリスの言う通り幅広い魔法を使えそうだが状態異常と氷に絞った方が良いそうだ。
もう若くないし、あと100年くらい生きるなら別だそうだ。エルフの基準ではそうかもしれないけど、人ならようやく成人だ。
若くないって……
瞑想などしている余裕は無いので、とにかく鍛えるように言われたみたいだ。
睡眠魔法、敵の動きを遅くする状態異常魔法、氷の攻撃魔法、氷の防御魔法を覚えてもらった。
カナデは
スリープ、スロウ、アイスアロー、アイスウォールを覚えた
アオイは東の国の武器、刀を作って使っている。今まではそんなに戦闘好きではなかったけど急にやる気になったようだ。
ビッケは相変わらずフグスライムのレベル上げをしているレベル6まできた。
ヒナは片手剣で戦士のレベル上げ、ザッジは狩人のレベル上げ。
今日も自分はルナと2人でレベル上げだ。
羊レベル7が相手。
武器はアオイがルナ用に作った槍だ。
「竜魔槍!」
ルナが声を出す。槍を握っている手から光輝く太くて長い竜が槍に巻き付きながら槍先に登って行き、先端で動きを止めた。
羊に向かってルナが駆け寄っていき、槍を突き出した。
槍が羊に突き刺さると光の竜が槍から伸びて羊の体を突き抜けた。
羊は魔石になった
スッと槍に巻き付いていた竜の姿が消えた。
「恐ろしい技だね」
「ふぅー 竜の扱いにまだ慣れないわ。魔力の調整が難しいの」
魔力をどんどん注ぎ込めば槍を使わずに竜だけでも攻撃出来る。でも伸ばせば伸ばす程、魔力を消費するので、攻撃と同時に竜を使うのがいいみたいだ。自分が得意な光属性の竜らしい。
「ねえナック。この前の金色羊皮紙、私の分をファリスにあげるわ。最近、よく出かけているから戦う練習でもしてるのかなって?」
「ん? ああ、言っておくよ」
話していると羊が湧いた。すぐに倒された。
もう俺より強いな……ルナはすぐにレベル7になった。
ルナは戦士のレベル上げをカナデ達とやるそうなので、館に行ってファリスと話す事にした。ファリスは事務所で仕事していた。
ルナの申し出を話す。
「バレてましたか……」
顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
隠さなくてもいいのに
「いいじゃないか。この際オープンにしてしまえば」
いろいろな!
ファリスはずっと前から戦う練習をしていたのだ。ビッケと一緒に。
でも今まで戦闘を全くした事がなかったので、ようやく狩人がレベル2になったばかりだ。
「確証は無いんだけど司書のレベルが上がらないのは戦闘職だからだと思うんだ。どちらかと言えば魔法を覚えた方がいいんじゃないか?」
「それは考えた事がありますけど、もし魔法を覚えても役に立たなかったら無駄になってしまいます」
「無駄でもいいさ。思った以上に魔法使いが増えない。俺も魔法を覚えてみるから一緒にやらないか? 魔法のスクロールを使わない方が無駄だよ」
「わかりました。とりあえず村長の所に行って魔法が使えそうか聞いてみましょう」
あまり行く気がしないけど自分で言い出した事だし仕方ない。
村長の家に行く事にした。
「すみません。突然お邪魔して、自分とファリスに魔法が使えそうか教えてください。使えそうなら得意属性も教えて欲しいです」
「魔力が少ない者は初級魔法を1回唱えただけで魔力切れで倒れます。試すのは危険です。ファリス、手を出しなさい」
ファリスが手を差し出すと村長が手を重ね合わせた。
「やはりあなたは特殊です。以前からそう思ってました。全く属性の偏りがありません。無属性に限りなく近いのです」
魔法が使えないと言うことか?
「しかし、魔力は豊富なようです。威力は低いですが無属性魔法を使うといいでしょう。他の属性を使うより強いでしょう」
「そんな魔法あったかな?」
「……あります。1番弱い超初心者用のマジックボールです」
むー それはショックだな せめてファイアボールだよな
「ナックも手を出しなさい」
手を差し出すと村長が手を重ね合わせた。
何かが魔力に触れた気がした。
「ナックも同じです」
えーーーーーー!
「無属性魔法は基本の魔法です。ゼロから勉強するにはいい。50年くらい勉強すれば少しは良くなるでしょう」
「「 ありがとうございました…… 」」
館に帰りマジックボールのスクロールをファリスに出してもらった。
ナックはマジックボールを覚えた
ファリスはマジックボールを覚えた
「このスクロールは初心者用なのでたくさんあります」
「ほかに無属性の魔法はないかな?」
「ありますけど他はジョブによります。マジックウォールと言う防御魔法です」
防御魔法か別にいらないな……
「俺はこれで頑張るよ」
「では私もこれでやります。ジョブ鑑定をお願いします」
ダンジョンの最初の部屋に行く。誰もいないようだ。
羊がもぞもぞ動いているので草をあげた。
「前から聞こうと思っていたんですがその羊は意味があるんですか?」
「ん? コイツは初期設定で必ずいるヤツなんだ。前は倒してけど面倒になって放っていたら、何だか倒せなくなってしまって飼う事にしたんだよ。結構気に入っているから倒さないで欲しい」
ファリスのジョブ鑑定をする
ファリス 狩人 レベル 2
特級司書 レベル 1
軍師 レベル 1
魔法 マジックボール
「軍師か。もう驚かなくなってきたな。レベル上げは今まで通りビッケと一緒にやってくれ。魔力切れは恐ろしいから1人ではやらないようにな。俺は錬金術で鍛えているから1人でやってるよ」
レベル7から上がらないし、あまり強くなりたいとも思わなくなってしまった。魔法の練習はやった方がいいとは思うけどボチボチでいいだろう。みんなで農業をやっていた方が楽しい。
「そうだ。馬と牛を増やす相談をしようと思っていたんだ」
ファリスにデミールさんの言っていた事を教えてあげた。
血統学といって学問としてあるらしい。長い年月をかけてより良い種を作るために研究するそうだ。
「アルカディアでも出来るかな? そんなことが」
「出来ます。手始めに王都から来た足の早い牡馬とアルカディアで足の早い牝馬を組み合わせてみましょう。そこからまた足の早い子を選んでいくのです。それを全部記録して足の早い馬が生まれる法則を探します。農耕馬も牛も同じです。どこかで突然凄い子が生まれる事もあります。それを親にして拡げるのです」
「よし! やってみよう。とりあえず軍馬と農耕馬を分けていこう。アオイに頼んで若くて元気な農耕牛をオス、メス一頭ずつ仕入れてもらう。これから種付けは国の管理にする。やってみたい者を募集してくれ」
アルカディア最速の軍馬と最強の農耕馬いいじゃないか
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