第88話 頑張る猫
〜 レザムールズ 小教会 〜
今日は栞さんのお手伝いをする事になった。
栞さんの教会で区民の子供達に文字の読み書きと計算仕方を教えるんだ。僕だってちゃんと字は書けるよ。あまり綺麗ではないけどね!
「モッシュさん、ありがとうございます」
「いいですよ。結構、子供がいるんですね」
20人程の子供達が勉強に来ている。みんな熱心に勉強しているから驚いたよ。
「区内にはもっと沢山の子供がいますけど、家の手伝いが大変で中々、ここには来れないんです」
来たくても来れない子が大勢いるそうだ。栞さんはそんな子供達の為に勉強用のプリントを作って渡しているんだってさ。
「まあ、これ以上来たら中に入れないですよね」
とても小さな教会なので子供でも20人もいたら窮屈だ。でも、みんな文句も言わず必死なって勉強しているよ。
クルミが教会に来た。
「こらクルミ! 遅刻だぞ!」
「はーい……何で僕まで……」
クルミは女の子なのに何故か自分の事を僕と言う。ちょっと変わった子だね。
クルミが子供達の間に何とか座った。クルミは勉強をする方だ。文字を書く事が出来ないんだ。読む事と簡単な計算は何とか出来るみたいだけどね。
ホビット族なので子供達の間に入ってもあまり違和感がない。ちょっと大きな子供みたいだね。
勉強が終わると教会の隣りにある店舗からおやつの差し入れがある。甘いスイートポテトとクッキーだ。
栞さんが子供達に手渡しているよ。
なぜかクルミも嬉しそうに子供達の列に並んでいるけど放っておく。
今日は僕からも差し入れがあるよ!
「はーい、みんな! 新鮮なミルクだよ!」
大きな「コップ」3つ分のミルクをこそっと出してみんなにあげた。ミルクが飲めない子には冷たい麦茶だよ!
子供達が喜んでいる姿を見るとこっちまで嬉しくなるね。
やっぱりまだ区民の生活は苦しいみたいだ。農場、工房、店舗、浴場と仕事する場所はかなり増えた。
上下水道も完備されている。昔みたいに何度も井戸まで水を汲みに行く必要は無くなった。でも、ここに来る事が出来ない子供達が居るんだ……
「レザムールズの関連する所で働きたい人は最低限の文字の読み書き、計算が出来ないといけない事にするそうです」
「ミンフィー……厳しいなぁ〜」
「今、働いている大人達も作業前に勉強をしていますよ」
「へぇ〜 知らなかったです」
「ミンフィーさんの綺麗好きはみんなが知っていますから、当然、区民は整理、整頓、清潔、清掃、そして躾まで気を使い始めています」
「そ、それは凄いですね。確かに区内どこに行ってもゴミ一つありませんね」
そして、教育まで進めている。教会での教育は栞さんの発案らしいけど、それなら工房や農場でもやらせると即決したらしい。
「親の意識が変わらないと子供も変わりませんからね」
よし! 僕の店でも真似しようっと! 良いと思った事はすぐ真似した方いいからね。
〜 スペシャルダンジョン Dー1 〜
掘り出し物を求めてダンジョンに挑戦をしている。このクラスになると見た事の無い敵はかなり危険だ。思いもよらない攻撃や魔法を受けてしまう。
僕は思う様に進行する事が出来ないでいた。
たまにEー3にも行く。ダンジョンに入ってすぐの所に枝分かれしている通路が合ってEー1、2、3とDー1の4本の道がある。ちゃんと表示してあるから親切設計だね。
ニャンタとクルミ以外は無事にEー3までクリア出来たそうだ。クルミはEー1をやり始めた所だね。
少しずつ掘り出し物の在庫が貯まってるので順調だよ。勿論、欲しい物があれば貰う事が出来る。
僕は小手をゲットしたので貰う事にした。
猛者の小手 攻撃力 +20 防御力 +10
攻撃重視だね。真っ赤な小手で結構、カッコいい! どんな素材で出来ているのかは不明なので、修理はシャバニさんのリペアスキルに頼るしかない。何か皮だと思うけどね。皮だから軽くて丈夫だよ。
それともう一つは盾だ。
ブルーシールド 防御力 +20 魔法防御 +10
水属性 +10 耐火 +10
これも中々なので鉄の盾から変更したよ。全体は青色で縁と裏側が銀色だ。模様も何もないシンプルなデザインだね。
これは鉄製じゃなくて鋼製みたいだ。表面に特殊な塗料が塗ってあるみたいで修理はシャバニさん行きだよ。
みんな装備が充実してきたよ。僕の狙いは軽量の鎧だね。
後は頭の装備かな。靴はシャバニさんが作ってくれた物を大事に使っているよ。
1番苦戦しているのはニャンタだ……1番熱心にスペシャルダンジョンに挑戦しているのに……
物理攻撃無しの魔法だけで戦うニャンタにとって長丁場のスペシャルダンジョンはいろんな意味でキツイ。
魔力量、体力、補給が出来ない等、大変な事ばかりだよ。
ただ、ダンジョンが魔猫用になっているそうで水とマジックベリーの畑が所々にあるそうだ。
でもニャンタがEー2をクリアするのに3日要した。
ニャンタがEー3にクリア目的で突入してから1週間が経過していた……
ソロダンジョンなので誰も様子を見に行けない……
ティアナがニャンタのスペシャルダンジョン攻略法を教えてくれた。
「ニャンタは全属性の初級魔法を覚えたので、敵の弱点属性に合わせて攻撃魔法を唱えます。
それと毒の状態異常魔法も覚えたので唱えておきます。これは私とニャンタで唱えるより成功率がかなり低いようです。
そして後は逃げます!
危ない時にはグラビティを唱え、敵の移動速度を遅くして逃げます」
撃って! 逃げる! 以上だね!
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