第16話 いきなり急発進

 〜ゴブリンダンジョン〜


 ミンフィーが決断した!!


「栞さんをレベル10にするわ」


 期間はあと2週間しかない。今日は最速でゴブリンダンジョンをクリアして、コボルトダンジョンに移動。そこも最速でクリアして、ウォーウルフダンジョンに行く予定だ。


 ミンフィーが本気で戦うのを初めて見た。


「私達、何もやる事ありませんね……」


 一応、僕はミンフィーに「クイック」を、栞さんは「プロテクト」を唱えてある。


 全ての敵が一撃で倒されていく。あっという間にボスの部屋に到着してしまった。


 ボスも当然、瞬殺……


 もうガチャマシーンの前まで来てしまった。


「ゴブリンダンジョンは攻撃スキルが出やすいらしいから楽しみだね」


 みんな『運アップ』の麦茶を飲んで


 僕は冒険者カードを『ガチャ』マシンに差し込んで赤いボタンを押した!


 ポチ! ガチャガチャ ポトン……


 白いカプセルが排出された。


 スキル 骨細工 +3


「ええ? 生産スキルだ……」


 やっと攻撃スキルが貰えると思ったのにガッカリだよ。


 次は栞さんの番。


 ポン! ガチャガチャ…… ポトン……


 クリーム色のカプセルだった。


 スキル 鑑定 +3


「ええ!? とんでもないの出ちゃったような……」


「「 おめでとう!! 」」


 プリースト垂涎のスキルだ! これは相当いいはず!


 次はミンフィーの番。


 ドン! ガチャガチャ…… ポトン……


 金色のカプセルだった。


 スキル 錬金 +3


「ミンフィーも生産スキルかぁ……ゴブリンダンジョンは戦闘スキルが高確率で出るはずなのに3人共、戦闘スキルじゃないね」


「でもみんな+3だし、大当たりだと思いますよ」


「ミンフィー?」


 ミンフィーはガチャマシーンをジッと眺めて考え事をしているみたい。


「モッシュ、骨細工と錬金術の道具がすぐに欲しいわ」


「初心者向けのセットくらいなら買えると思うよ」


「栞さんがガチャを引くまでに『運』が上がる装備を整えましょう」


 運が上がる装備なんて高額でとても買う事は出来ない。でも自分達で作る事が出来れば材料さえあればいい。

 骨材はスケルトンを倒せばドロップする。錬金材もドロップ品が多い。お金の無い僕達にとって骨細工と錬金術は取り組み易い生産だね。


 街に戻って骨細工と錬金術の初心者向け道具セットを購入してギルドハウスに運んだ。


 ギルドハウスで簡単な昼食を取ってからコボルトダンジョンをクリアした。


 みんな『運アップ』の麦茶を飲んで


 僕は赤いボタンを押した!


 ポチ! ガチャガチャ ポトン……


 茶色のカプセルだった。


 スキル 器用さ +2


「うーん……」


 次は栞さんの番。


 ポン! ガチャガチャ…… ポトン……


 黄色のカプセルだった。


 強化魔法効果時間 +2


 お!? 中々かな?


「「 おめでとう!! 」」


 次はミンフィーの番。


 ドン! ガチャガチャ…… ポトン……


 栽培 +2


「……最高だわ……」


 ミンフィーは最高って言ったけど、僕達から見たハズレにしか思えないよ。


「モッシュ、薬草類の種は買えないかしら?」


「そんなの安いから問題無く買えるよ」


「私、ギルドハウスの庭で薬草を育てるわ」


 とても真剣な顔でミンフィーが考えている。今日はガチャを引く度にミンフィーは考え込んでいる。


 〜ウォーウルフダンジョン〜


 一気に最下層まで移動して乱獲をする。ミンフィーが物凄い勢いで敵をなぎ倒していく。僕は栞さんとコンビで1匹ずつ確実に倒す。


「ボスも倒しましょう」


 ボスはミンフィーが瞬殺する。


 ガチャをいつもの順番で引いていく。


 みんな『運アップ』の麦茶を飲んで


 僕は赤いボタンを押した!


 ポチ! ガチャガチャ ポトン……


 銀色のカプセルだった。


 スキル 状態異常耐性 +2


「んん? なんか微妙かな?」


「モッシュ、それは大当たりよ」


「ええ、そうです。とても重要なスキルと言われています」


 ふーん、そうなのか……攻撃スキルが欲しいんだよね。


 次は栞さんの番。


 ポン! ガチャガチャ…… ポトン……


 銀色のカプセルだった。


 スキル 状態異常耐性 +2


「え!? 同じの出ましたね……珍しいと思います」


「「 おめでとう!! 」」


 次はミンフィーの番。


 ドン! ガチャガチャ…… ポトン……


 銀色のカプセルだった。 


 まさか……


 スキル 状態異常耐性 +2


「信じられないわ……」


「「 おめでとう!! 」


「……最高だわ……」


 後は夜まで最下層でひたすら乱獲する。敵がポップした瞬間にミンフィーが倒してしまう。


 どうやらミンフィーが本気モードに突入してしまったみたいだね。僕と栞さんはたまにしか戦えないや……


 今日だけでみんなレベル8になった。


「明日は栞さんがいないから生産をしましょう」


 ミンフィーは錬金術をやるみたいだね。じゃあ、僕も骨細工をやってみようかな。


「それでしたらクエストを受けませんか?」


 栞さんが冒険者ギルドから受けれるクエストを紹介してくれた。


 『クエスト 蒸留水の納品 発注元 聖心教会』


「実は受けてくれる人が居なくて困っているんです」


 超初心者向けの錬金術を使って作る蒸留水はいろんな薬を作るのに使われるけど、全く儲からないので誰もクエストを受けないらしい。


「報酬は何ですか?」


「報酬は冒険者ギルドへの貢献+1、聖心教会への貢献+1でしたが、人気が無いので2倍の+2になりました」


 えっと……つまりタダ働きって事ね。それはやる人は居ないよね。店で売れば1ゴールドらしい。


「モッシュ、教会に寄付したと思えばいいのよ」


「そう考えるといいかもしれないね」


「空の瓶は冒険者ギルドから提供されますので、それに出来上がった蒸留水を入れて冒険者ギルドに納品すれば完了です」


 冒険者ギルドでクエストを受注して木箱に並べられた空瓶を受け取って帰った。

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