第13話 なぜか最強を目指す事に

〜スケルトンダンジョン〜


 ミンフィーがスケルトンと戦う!


 はずだったのに……


 ミンフィーが構えた!


 普通のファイティングポーズだね 酔拳じゃないみたい


 スケルトンが震えている……


「あの……スケルトンが固まってますけど……」


 スケルトンはミンフィーが構えたのを見ただけで


 動けなくなってしまった……


「はぁ……とても戦う気になれないわ」


 ミンフィーが構えを解くとスケルトンは部屋の隅に走って逃げていく……


「キュア!」


 スケルトンは嬉しそうに浄化された!!


「今日も見学にするわ。全く訓練にならないもの」


 さすがに動けない敵を倒してもしょうがないよね。

 ミンフィーも本当は戦いたいんだろうな。

 朝早く起きて戦闘服に着替えて1時間も嬉しそうに鏡で眺めていたのに……


「その方が良さそうだね。栞さん頑張りましょう!」


「はい! カウンターヒールの練習がしたいんです」


「最下層まで行ってボスと雑魚を狩りましょう」


 最下層のボス部屋に着くとミンフィーは僕のリュックサックを受け取って、いつもの様に敷き物の上に座って読書を始めた。


 僕と栞さんはボス達と戦闘中!!


 ボコボコ! ガシャ…… 「キュア!」 サーー


「モッシュさん……ダメージ受けないですね……」


 敵の攻撃が簡単に受け流せてしまう!


「もう受け流しスキルが+5なんですよ」


「ええ!? +5だとかなり凄いです!」


 確かに普通の冒険者コース卒業生の『ガチャ』で当たりが+5だったけど『受け流し』だもんな……


「モッシュ、スキルに頼っては駄目よ? 私との特訓を思い出してカウンターを狙うの。モンク的には『後の先を取る』と言うわ。完璧に敵の技に合わせるのよ」


 『後の先を取る』ね。受けてから返すというより、こちらが先みたいな感じかな。


「栞さんは回復をしたつもりでカウンターに合わせて、敵にヒールを使ってみて」


 なるほど! それなら栞さんの練習にもなるね。


 ボスは10分ポップみたいなので部屋を移動して雑魚を狩りに行く。ミンフィーはお留守番。


 どんどん倒すのが早くなっていく。『乱獲』だね。


「モッシュさん、私……今のギルドをクビになりそうなんです。ミンフィーさんの所に入れてくれませんか?」


「え? それは大変ですね。入れてあげたいけど、メンバー選びはミンフィーがするんです」


「とてもハードルが高いですよね……」


「え? そうなんですか? 条件は聞いてませんけど?」


「Sランク冒険者になる気がある人のみ募集ってギルド協会の掲示板に貼ってありました」


「あ……。それ、僕のせいですね……僕がSクラス冒険者ギルドにするって言ったからです」


 僕達のギルドが没落した事、僕がSクラス冒険者ギルドに返り咲く事を目指している事を栞さんに説明した。


「そんな事情があったんですか。てっきり誰も入れる気が無いのかと思いました」


「ミンフィーは全員Sランクで揃えるのを考えてます。ゴミみたいな人材はいらないって」


「私は……駄目ですね。ゴミみたいな人材です……」


「え? 僕よりずっと凄いじゃないですか? 回復職は貴重だし聞いてみましょうよ?」


「カウンターヒールで味方は治せると思います。でも……敵の血も怖いんです。だから血の出ない骨ばかりと戦っているんです……」


 そういう事か……確かに他のモンスターと違ってスケルトンは血が出ない……


 とても冒険者は無理だよ……


 ボスがそろそろポップする。ボス部屋に戻るとミンフィーが紅茶を飲んでいた。


「ちょっと遅かったわね。ポップしたから片付けてしまったわ」


 さすがミンフィーだね。1人でも楽勝!


「ちょっと話をしてたら遅れちゃったか」


「何の話かしら?」


 無理だと思うけど聞くだけ聞いてみよう。

 多分、ミンフィーは栞さんの欠点に気づいている……


「栞さんがギルドをクビになりそうだからウチに入れないかなって」


「いいわよ」


「「 ええ!? 」」


 びっくりした! 即答でオッケーされてしまったよ。

 

「条件とかは無いんですか?」


「モッシュがね……Sクラスに戻りたいって言ってるから協力してくれればいいわ」


「え? ノルマとかは?」


「そんなの無いわね。あえて言えば、モッシュをランクアップするのがウチの目標。それに協力して欲しいわ」


 全員、Sランクにならないといけないからね……


 自分が言い出した事だからやるしかないや……


「モッシュさんはサポーターですよね? 確かサポーターの最高ランクの人はCだったような……でも、モッシュさんはサポーターというより前衛職になってますよね?」


「ジョブなんて本人が勝手に言っているだけですからね。鍛えれば関係ないわ」


 ただ、教育も受けてないし『ガチャ』の差も大きい。


 僕には戦闘で支えになる『スキル』がほとんど無い。


 親から受け継いだ遺伝的な『能力』も無い。


 ジョブを名乗る人達はそれなりの『スキル』や『魔法』、『特殊な能力』を持っている。


 それが無いからサポーターなんだ……


 ミンフィーが鍛えてくれて少しは戦える様になった。


 本当にミンフィーのおかげ……


「僕は戦えるサポーターを目指すよ!」


「ええ。最強のサポーターになってもらいます」


 さ、最強…… ミンフィーは本気みたい

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