第3話 日中その二
僕の名前は
家族はアリスの他には姉の
いつも通りに通学バスに乗ると、いつもの席に同じクラスの双子の
無視されるだけで他に何か嫌がらせをされるわけではないので僕は気にしていないのだけれど、担任教師は僕がいじめに遭っていると思っていて問題が大きくなったこともあった。でも、被害者であるはずの僕が何とも思っていなかったためか、教師たちの間でもいじめかどうか判断に困っているようだったのだ。
さすがに僕もいじめに遭っていると思えばそれなりに行動を起こすと思うし、今はそこまで気にするようなことでもないと思っているのは事実なのである。
同じバスで通学するということは、同じ時間に教室に入ることになるのだけれど、僕が教室に入っても誰も僕を見ようとはしない。少し遅れて入ってきた熊山姉妹はみんなとちゃんと挨拶をしていた。
僕にはその様子がクラスの姫とその取り巻きのようにも見えて少し面白かった。
そんな姫の取り巻きの一人が
もう一人の取り巻きである
彼ら二人だけではなくクラスの大半の男子は熊山姉妹の事が好きなのだと思うけれど、僕はそこまで熊山姉妹に魅力を感じていなかった。姉の眠も妹の巡もどちらもそんなに性格がよくなさそうだと思うのが理由なのだけれど、他の生徒はその辺を気にしていないのだと思う。見た目だけならアイドルと言っても良さそうなのだから普通は気にしないのかとも思った。
部活にも委員会にも入っていない僕は放課後はまっすぐ帰宅するのだけれど、玄関を開けるとアリスと一緒に姉さんが僕を出迎えてくれた。
「あれ、姉さんは帰りが遅いんじゃなかったっけ?」
「何言ってるのよ。それは昨日だけだって。それにしても不思議よね」
「なにが?」
「アリスが玄関に向かったと思ってついて行ったら、ちょうどあんたが帰ってきたのよ。なんかアリスの好きなお菓子でも持ってるわけ?」
「いや、何も持ってないけど。アリスはいつも僕を出迎えてくれるよ。姉さんの時もそうじゃないの?」
「私の時はやってこないわよ。あんたがいない時ってアリスはほとんど寝てるのよ。なんでそんなに仲いいのかしらね?」
「さあ、僕がアリスを可愛がっているからじゃないかな?」
「私だってあんたを可愛がってあげてるんだからそれくらい返しなさいよ」
「はいはい。じゃあ、今日は晩御飯どうするの?」
「そうね。何か食べたいものあったら作るけど、何か食べたいものある?」
「うーん、今日は何となくハンバーグが食べたいかも」
「冷蔵庫と相談してみるわ。早く着替えてアリスの散歩に行ってあげなよ。アリスもそうして欲しいって言っているよ」
アリスは僕の後について部屋の中に入ってくるのだけれど、僕が着替えている間は何かから守るようにドアの前で大人しくしているのだった。
着替え終わってからドアの前のアリスをなでると、アリスは嬉しそうに僕の脚に体をこすりつけてきた。
そのまま散歩に行って帰ってきたのだけれど、用意されていた晩御飯はハンバーグではなく鶏つくねだった。つくねも好きなので良いのだけれど、なんとなくハンバーグを食べた意欲はモヤモヤとした気持ちで僕の中に残っていた。
いつもと変わらない日常も無事に終わろうとしていた。僕は出されていた宿題をさっさと終わらせると、少し早いけど眠ることにした。
ベッドの横のいつもの位置で寝ているアリスを軽くなでると、アリスは僕の顔を見てから再び眠りについた。
明日もアリスが僕を起こしてくれるんだろうなと思うと、いつも通り安心して眠ることが出来る気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます