いきなりピンチ! ラリルレミィ!

 魔王シフォンの長ーい髪の毛で、ぐるぐる巻きですよ男のっ!

 いきなりのピンチっ! やべーですよー!


 んっ? なんだかふわりと良い香り。

 いいシャンプー使ってるみたいですよ、魔王シフォン。

 イヤ違うっ。

 ぐるぐる巻きにされて身動き取れないのに、女の子魔王の髪の匂いを堪能してる場合では無いっ!


「くっふっふう♪ いい格好ね、ぐるぐるクソメガネっ!このまま地面に叩きつけてあげるわよおっ!」


 なぬっ!マジかっ!

 だがしかしっ。

 そんなコトされても大丈夫なのです!

 なぜなら、レミィの防御力はめっちゃ高い設定なのだからっ!


「100回、いや、1000回くらい叩きつければぐっちゃぐちゃになるでしょっ♪」


「えっっ!」


 なななんとっ!

 さすがに1000回叩きつけられるのはヤバイっ!

 ぐっちゃぐちゃのスプラッタミンチになっちゃいますよっ!

 絶体絶命的なアレですよー!


 どうする俺っ!


「ほーら、高い高ーい♪」

「うにゃにゃっ!?」


 ふわあっ、と、空高く振り上げられてっ。


「かーらーのぉ! 垂直落下っ!」


 ひゅううっ! ドゴオオオンっ!


「う゛にゃあっ!?」


 激しく地面に叩きつけられたよ男のっ、イヤ、レミィ!

 いって!いってーですよー!


 ぐるぐる巻きなもんだから、受け身もへったくれもあったもんじゃねーですよっ!

 レミィの防御力が無かったら、ぐっちゃぐちゃの肉片になるトコでしたようごおおおっ!


 こんなの続け様にやられたら『高い高い』を通り越して『他界他界』しちゃいますよー!


 ◇ 高い高い

    一歩違えば

     他界他界  ◇  ヒカリ


 あ、今のウマかったかなっ?

 

「さてさて、あと何回この攻撃に耐えられるかしらあ?」


 ニヤリと微笑んで殺っちゃう気まんまんですよ、魔王シフォンっ!

 

「『参りましたゴメンナサイ』って言えば、許してあげなくもないけどおー?」


「えっ!? そうなのっ!?」


 じゃあ、ここは素直に、ってイヤ違うっ!

 俺はっ!

 負けるワケにはいかにゃいのだっっ!


「さあ選びなさい、ぐるぐるクソメガネっ!

 降参して私とアイドルユニットを組むのか、ゴメンナサイして私とアイドルユニットを組むのか、どっちなのっ!?」


 え。

 それって、どっちも同じじゃないデスカ?

 選択肢なんて無いじゃないデスカっ。


「さっきも言いましたけどっ!

 ボクはアイドルに興味はありませにゃあああああああっ!?」


 言い終わる前に『高い高い』されちゃったんですけどっっ!

 びゅわああっ!と風を切って急上昇!

 

 ふと顔を上げると、遠くまで見渡せますよ。

 なかなか良い眺めじゃないですかっ。

 おおー、海まで見える!


 フィルフィーとペリメール様は今頃イチャイチャしてるのかなー?

 あんなコトやこんなコトをたっぷりしっぽりっっ!


 って、イヤ違うっ!


 下を見ると、魔王シフォンがマメツブみたいにちっちゃいじゃないデスカっっ!

 どんだけ伸びるんだ、この髪の毛っっ!

 

 こんな高さから落とされたらマジでYABEEEEですよー!!


「ほーら、落ちてこーい!」


 なぬっっ!

 シフォンちゃんの声と共に急降下っ!


 びゅひゅわあああああっ!

 ドゴオオオオオンっ!


「う゛にゃああああっ!?」


 うごおお、なんとか耐えたけどっっ!

 やっぱ、いって!いってーですよー!

 レミィの防御力のおかげで助かってますがっ!

 いてーものは、いてーのですよー!

 魔王シフォンの髪は振りほどこうにも、ほどけない!

 身動き取れないから攻撃のしようがナイっ!


 ぐるぐる巻きにされた俺は、よく言えばまゆだけど見た目は、まんまミノムシ状態っ!

 全然、まったく動けましぇん!


 もう一回同じコトやられたら、脳ミソが飛び散っちゃいますよー!


 やっべ! どうする俺っ!


 うぬぬぬぬっ。

 こうなったらもう、アレしかない!


 辺り一面を更地にしちゃう絶大な破壊力を持つルレ美の必殺技、自爆!

 その名も『ルレ美バスター』!

 もうこれしか無いっっ!


 闘いが始まって間もないのに、早くも自爆るしかないのかっ!?


 ぐぬぬ!と思案していたその時ですよ。


「あっ! イイこと思い付いちゃったっ♪」


 むむっ?

 またなんかいらんコトを思い付いたのか、ニターリと悪魔の微笑みですよ、魔王シフォン!

 どっかの誰かさんに似てるなー、と思ったら、声の質がフィルフィーっぽいからかっ。


「一度でイイからやってみたかったのよねー♪

 ちち叩き!」


 なんだ、ちち叩きか。

 イヤ、乳叩きかっ!!


「ちっ、乳叩きって、ナニする気デスカっ!」


 ニタニタと悪ーい笑みを浮かべてますよ、魔王シフォンっ。

 俺は顔が出てるだけのミノムシ状態なもんだから、まったく動けませぬですよっ!


「くっふっふう♪ いっぺんやってみたかったのよねー、ちち叩きっ♪」


 すいっと、俺を真正面に引き寄せて、もそもそもそっと、ぐるぐる巻きの髪の毛を掻き分けてますよっ!

 するとなんとっ!

 魔王シフォンのちっこカワイイ指先が、レミィのオパイの敏感な部分にヒット!


「ちょっ、あっ、さっ!先っちょにゃっ♡」


「おかしな声出すんじゃないわよ、バカタレっ。こっちが恥ずかしくなるでしょーがっ。

 これこれ、こうやってー、ハイ、出来たっ♪」


 うぐぐ。

 またバカタレって言われちゃったよ。

 ぐるぐる巻きの髪の間から器用にオパイの部分だけをほじくり出し!

 タンクトップから、ぼにょにょんっとこぼれ落ちそうなレミィの巨乳オパイが野ざらしですよ!

 めっちゃスースーするんですけどっ。


「へー。なんかおっぱいだけ出てるのって、やたらエロいわねー♪」


「だっ、だからって、オパイを叩いちゃダメですよっ!?」


「はあーん? ウルサイわねー。

 さすがに女の子のおっぱいぶっ叩くワケにはいかないでしょー?

 レミィとやらに変身したとは言え、あなた男のなんだから、遠慮なんていらないわよねっっ♪」


「えー!?」


 そりゃ、まあ、オパイ叩くなんて女の子同士でもやらないだろうけどっ!


「いくわよおーっ!せー、のっ」

「えっ!? ちょっ!」


 ちっこい身体をひねって、ぐぐぐっと大きくテイクバックしてからのっ!


「うりゃさああっ!」


 びゅうんっ!

 ばちぃんっ!


 と!平手で思いっきりぶっ叩きやがりましたよ魔王シフォンっ!


「あ゛いだああっ!?」


 いって!いってーですよー!

 ぶっ叩かれて、ぶるるんっと暴れるレミィの巨乳っ!

 なんてコトしてくれるんじゃい魔王シフォンっ!

 ほっぺたにビンタされた方がよっぽどマシですよ!


「あーははははっ!あーははははっ!

 ナニコレ面白ーい!スライムみたいにぶるっぶるなんですけどー!」


 大爆笑してやがりますよ、魔王シフォンっ!

 フィルフィーでさえやらないようなコトを大笑いしながらやるなんて、とんだ悪ガキ魔王ですよっ!


「もういっちょおー!

 今度は下からいくわよおーっ!

 せー、のっ! うりゃさああっっ!」


 びゅうっ!

 ばちぃんっっ!


「あ゛に゛ゃああっ!?」


 アッパースイングの平手打ちっ!

 目一杯ぶっ叩かれて、ぶるるるんっ!と波打つレミィのオパイ!

 いって!いってーですよー!


「あーははははははっ♪ あーははははははっ♪ 面白すぎるっっ!! ほーら、もう一回っ♪」


 なぬっっ!?

 まだ続ける気デスカ、魔王シフォンっ!

 レミィのオパイが、えらいこっちゃな事になっちゃいますようごおおおっ!

 

 こここれはっ!

 やられっぱなしでイイわけがない!

 このぶるぶる暴れる巨乳を利用するのだっ!


「あああにょっ、魔王シフォンっ!

 ちょいとお願いがござりまするっ!」


「ああーん? 命乞いかしらぁ?」


 ニタニタしながら余裕ぶっこいてくれちゃってますがっ!

 咄嗟に思い付いた俺の作戦で、ぎゃふんと言うがイイですよ!

 

「おっ、オパイを叩かれるのはっ、とってもキモチ良きなのでっっ♡是非とも助走をつけてくださいましっ! はあっ♡ はあっ♡」


「はああーん? おっぱい叩かれて息を荒げるなんてとんだドMね、ぐるぐるクソメガネっ!

 面白そうだからやってあげるわよおっ!」


 よし、食いついたっ!

 やっぱり、ちょっとおバカさんですよっ。


 魔王シフォンは、すてててっと10歩ほど離れて、からの!


「いくわよおー!『爆速』っ!」


 なななんとっ!

 助走をつけてとは頼んだけどもっ!

 そんなんで叩かれたら、オパイがぶっちぎれちゃいますようごおおおっ!

 だがしかしっ!


「うりゃさああっ!」


 チャンスはこの瞬間しか無いっ!

 オパイをさらされたコトでわずかに上体を動かせるのだ!

 魔王シフォンが突っ込んで来るタイミングを見計らい!

 上体をひねって、魔王シフォンの手をひょいっと交わした瞬間にっ!

 

「うにゃあああっ!」


 ばちこーんっ!と!

 強烈なちちビンタをお見舞いですっ!


「ぷああっ!?」

「あ゛いたあああっっ!?」


 咄嗟の即席作戦は、なんと大成功!

 っていうか、俺もめっちゃ痛いっ!

 

 カウンター効果も相まって、こんころりんっと吹っ飛んじゃいましたよ魔王シフォン!

 ダメージは双方にっていう諸刃の剣だけど、レミィに『ちちビンタ』という新しい技がひとつ増えましたよー!

 

 んおっ?

 衝撃で髪の毛がほどけたぞっ!

 魔王シフォンが転がってる隙にそそくさと脱出じゃいっ。

 とりあえず、ほっ。


 それにしても痛かったー。

 あっ。

 なーんかオパイがヒリヒリするのは、ノーブラだったせいかっ。

 先っちょまでジンジンしちゃってますよ!


 おにょれ魔王シフォンめっ。

 よくもレミィのオパイをぶっ叩いてくれたもんですよ!

 もうちょいで危うく新しい快感に目覚めちゃうトコでしたよっ。

 それはそれでまあ、それなりにいい経験だったと思えば、いや、まあ、そんなカンジです!


 うん。


「いたたた……このっ……よくもっ……」


 魔王シフォンは、めっちゃ機嫌悪そうにむくっと起き上がり。


「ちちビンタなんて屈辱は初めてだわっ!

 よくもやってくれたわね、ぐるぐるクソメガネっ!

 こんなの、ママにだってされたコト無いんだからねっ!」


 イヤ、まあ、普通の母親なら我が子にちちビンタなんてしないでしょーよ。


「ぼっ、ボクだって、オパイ叩かれたのなんて初めてですよっ!

 だからお互いサマですっ!」


「はああーん? なかなか言ってくれるじゃないのよ、ぐるぐるクソメガネっ!」


 眉の端をつり上げてご立腹ですよ魔王シフォン!

 だがしかしっ、今日の俺はひと味もふた味も違うのだ!

 ひるんでたまるものですかっ!


 フィルフィーとポプラールさんの声を取り戻すまで、俺はっ!

 負けるワケにはいかないのです!

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