かしまし、やかまし三人娘! 《フィル×ペリは観覧車でデート中》

 フェイリアちゃんのえっちな指先がコヒカリ君にタッチする直前!!!

 

 ドガアンッ!


 と!激しい音と共に扉がバラバラに吹っ飛んだ!


「『ちょっと待ちなさいよコラぁっ!』」


 これはっ!

 ラーフィアちゃんのイケボっ!

 クールでダンディーなイケてるボイスを響かせてラーフィアちゃんが戻って来ましたよ!

 たっ、助かったっ、のかっ?


「あっ。ラーフィア様ぁ♪ おかえりなさいませぇ」


「あ、ただいまー♪

 じゃ、ないわよっ!私のヒカリちゃんにナニしてくれちゃってるのよフェイリアっ!」


 ノリツッコミ!

 ラーフィアちゃんがノリツッコミをっ!

 なんか別の分野で成長してますよラーフィアちゃん!

 さっきの号泣はどこへやらっ!


「えー?だってぇ、ラーフィア様が職場放棄しちゃったからぁ」


「職場放棄なんてしてないわよっ!ちょっとお腹が痛くなっただけなんだからねっ!」


「えー、腹痛ですかあ?それじゃあ仕方ないですねぇ、ムリですねぇ」


 なんですかその会話。

 お腹が痛いとムリだよね、ってそれ、なんかどっかで聞いたような気がしないでもないですよ!


 ラーフィアちゃんが乱入してフェイリアちゃんのえっちな責めが止まったとは言え、ピンチなコトに変わりはないっ!


 どうする俺っ!

 冷静に状況を把握するのだ俺っ!

 今の状況を把握して最悪の事態を想定!って言うか、今現在がサイアクの状況なんですけどっ!


 吊し上げられてコヒカリ君丸出しの男のの前に二人の美少女!

 一人は銀髪の百合娘ゆりっこ魔王ラーフィアちゃん!

 もう一人は、ムチムチぷりりんなナイスボディーにサキュバスっぽいえっちな衣装のフェイリアちゃん!

 誰が何処からどう見ても絶体絶命的なアレですよ!

 100パーセンツ!ギられちゃいますようごおおおおっ!


「今の大きな音は何事ですかラーフィア様っ!」


 よく通る声音と共に、だだだっと大広間に駆け付けたのは!

 ななななんとっ!

 レイルさん!

 レイルさんはヤバい!マジでヤバい!

 ギられた上に小さく折り畳まれて粗大ゴミに出されてしまうぞ男のっ!


 百合娘ゆりっこ魔王ラーフィアちゃんと『右の盾』レイルさんと『左の盾』フェイリアちゃん!

 魔王側のトップ3が揃っちゃったっ!

 一難去ってまた一難、イヤ、難は去ってないから、さらに一難の重ね塗りですようごおおおおっ!


「ああっ!?扉がバラバラに破壊されているではないですかっ!いったい誰がこんなヒドイ事をっ!」


「えっ!?あのっそれはっ、えっとっ!

 あ!アレよっ!突風!突風が吹いて壊れちゃったのよレイルっ!ね!フェイリアっ!そうよねっ?」


「えー?とっぷうーぅ?」


 ぷうーぅ?って言い方がカワイイですよフェイリアちゃん!

 でもレイルさんはギワクの眼差しですよ!


「……室内に突風ですか?窓などは開いていませんが。しかも外は雲ひとつ無い晴天ですよ?」


「あれっ?そおなのっ?不思議なコトもあるものねっ!ねっ?フェイリアっ」


「えー?まあ、ラーフィアさまがそう仰るならぁですぅ」


 そう言いながら何故かクネクネするフェイリアちゃん。

 なんでクネクネするんですかねっ?


「みっともないからクネクネするなフェイリアっ。トイレにでも行きたいのかっ?」


「違うよぅ。カワイコぶってるだけだよぅ♪」


「あなたが思ってるほどカワイク無いし、キモいだけだからやめなさいよねフェイリアっ」


「アハー♪ 二人とも冷たーい♪」


 仲良し三人組かっ。

 なんか今の会話の流れで、普段の三人の関係性が見えたような気がしないでもないですよ!


「壊れた扉のコトは後回し!『で?フェイリアは私のヒカリちゃんにナニをしようとしてたのかしらあ?』」


 うおお突然イケボにチェンジですよ、ラーフィアちゃんのその声はお腹の底にまで響きますよー!


「やだなあ、ラーフィア様ぁ、イケボになっちゃってますよぉ?

 ラーフィア様の代わりにギろうとしてただけですよぉ♪あのですねぇ。ラーフィア様はぁ、ヒカリさまのをギらないんですかあ?」


「えっ?ギるまでもないんじゃない?ちっちゃくてカワイイし」


「えー?まあ、そうですけどぉ。ちっちゃくてカワイイですけどぉ」


 ちっちゃくてカワイイとか言わないでええええっ。

 また泣いちゃいますようおおおおっ。


「それでは私が代わりにギりましょうか?ラーフィア様」


 言いながら大鉈おおなたをすちゃっと構えるレイルさん!

 レイルさんのはシャレにならないヤツですようごおおおおっ!

 バイト先でレイルさんのスゴさを実際に目の当たりにしてるからねっ!

 屈強なオトコ達をあっという間にギっちゃったからねっ。

 

「えー?レイルにはスズキ君がいるでしょ?」


「えええええっ!?いっ、今はそんな話じゃありませんよラーフィア様っ?どうしてスズキ君の話になるんですかっ」


「あれぇ?レイルちゃんったらまだなのぉ?だったらリアちゃんがぁ、スズキ君、いただいちゃおっかナー?みたいなぁ♪」


「……そんなコトをしたら、そのムダに長いヘロヘロ尻尾を全部切り刻んで口の中に突っ込むぞフェイリアっ」


 どんなに尻尾を切り刻んでも全部は口に入らないと思いますよレイルさんっ。

 仲間内なのにめっちゃ無慈悲で過激ですよっ。


「ウフフぅ♡冗談だよぅレイルちゃん♪」


 とか言いつつ、フェイリアちゃんはイタズラっぽく挑発的な目でレイルさんを見てますよ。

 アニメとかゲームとかマンガに出てくるサキュバスのイメージそのまんまですよー!

 ラーフィアちゃんはそんな二人を見てちょっと呆れ顔ですがっ。


「スズキ君なんて、ぬはぬはウルサイだけじゃない?あんなののドコがいいの?」


「わっ、わかってませんねラーフィア様っ!

 アレがいいんですよっ。

 では言わせて頂きますがっ!

 ラーフィア様だって、こんなちんちくりんのドコがいいんですかっ?」


「なっ!?レイルだってわかってないじゃないっ。

 ヒカリちゃんは超絶美少女なんだよっ?可愛くて可愛くて超絶カワイイんだよっ?」


「あのっ、ラーフィア様?

 このちんちくりんはオトコですよ?ラーフィア様は男嫌いですよねっ?」


 なんかいきなり俺の事でモメ出したぞっ?

 ラーフィアちゃんは男嫌いって俺も知ってるけど、なんか会話がビミョーに噛み合ってないような?

 ここはひとつ!ビシッと言ってやるですよ!

 動けないけどっ!


「あっ、あの、ラーフィアちゃんっ?

 とりあえず、めくれたスカートだけでも直して欲しいんデスケドっ」


「大事な話の途中だからヒカリちゃんはちょっと黙ってて下さいっ」


 え。

 怒られちゃった。


 ビシッと言うつもりだったのに、ビシッと言われちゃいましたよ男の

 まあビシッとは言えなかったけど!

 俺は放置ですかそーですか。

 なんでっ?



「私はオトコはキライだよ。大キライ。

 でもヒカリちゃんは超絶美少女なんだよっ?」


「えっ?あの……男性なんですよ?」


「でも超絶美少女なんだよっ?

 めっちゃカワイイよねっ?そう思わないっ?」


「それはっ、まあ、認めますけどっ」

「でしょー?」


「ここはちょっとぉ、確認しておかないとイケマセンねぇ」


「確認?何を?」


 ラーフィアちゃんとレイルさんの会話にフェイリアちゃんが入って来ましたよ。

 でも、なんかこう、話が前に進む気がしないんですけどっ。


「ラーフィア様はぁ、オトコが嫌いなんですよねぇ?」

「当然よっ。大キライだよっ。それが?」


「ヒカリさまはオトコですよぉ?」

「そうね。でも見た目が超絶美少女だよ?」


「……中身はオトコなんですよぉ?」

「でも見た目が超絶美少女だよ?」


「あのですねぇ。ヒカリさまはぁ、男性なんですよぉ?」

「でも見た目が超絶美少女だよ?」


「アハー♪ それもそうですねー♪」


「あっ、言っておくけど超絶美少女なら誰でもいいってワケじゃないんだからねっ。

 ヒカリちゃんがトクベツなんだからねっ」


「フムー。ナルホドですぅ♪」


「ちんちくりんの見た目の可愛さはスズキ君も褒めていましたから、そこだけは認めざるを得ませんねっ」


「でしょー?」


 俺が言うのもアレですがっ!

 なんなんですかね、この頭のネジが何本かぶっとんでるみたいなパープーなやりとりの無限ループはっ!

 この三人ってもしかしてっ!

 けっこうパープーなのかしらっ!?


           ◇


《 一方その頃。観覧車からの絶景を満喫中のフィルフィーとペリメール 》


「やっぱ魔王城の展望室より見晴らしいいよなー!おっ!もうちょいでテッペンだなっ!

 その瞬間この観覧車はあたしのもんだあっ!」


「フィルフィーさんたら、はしゃいじゃってもうっ……ただ単にテッペンて言いたいだけなのではっ?ですわっ」


 まあ、フィルフィーさんらしくて楽しいですけど♪ ですわっ。


「なあペリ子っ、そっち行っていいかっ?」


「フィルフィーさんたらコドモですかっ。ゴンドラの中で立ち上がってはいけませんっですわっ」


「んーだよ、マジメだなー。あ、そう言えばさー、この観覧車の別名って知ってるかっ?」


「えっ!?」


 ここここここここ『恋人達の輪舞曲ロンド』とっ!

 私の口から言えとっ?


「コイビト達のドンドンって言うんだってよー!ワケわかんねーよなー!」


「フィルフィーさんたら、もうっ。何ですか、ドンドンって。

 意味がわかりませんですわっ。それを言うなら輪舞曲ロンド、ですわっ」


「ろんど?へー。で?どんな意味なんだ?」


「えっ!?それはっ、そにょっ、あにょっ、ごにょごにょ、ですわっ」


「ナニごにょごにょ言ってんだ?なーんだよペリ子も知らねーんじゃん」


「むっ。失礼なっ。ちゃんとお知りになってますですわっ。

 輪舞曲ロンドというのは同じ旋律を繰り返す曲のコトですわっ。

 つまり、曲がずっと続くのですわっ。

 だから、その、この観覧車に乗る恋人達の仲がずっと続きますように、という願いが込められているのですわっ」


「お知りって言い方は違うんじゃねーの?

 でもちゃんと知ってるんじゃん。さすがレンアイの女神だなー」


「ええ、まあっ、当然ですわっ」


「ふーん……じゃあ、あたしらも…………れたら、いいなー、なんてなっ」


「えっ!?」


「……なんでもねえよっ。あ。喋ってたらテッペン過ぎちゃったなー」


 えっ?


 ……えっ?


 フィフィフィフィルフィーしゃんっ!

 いいいい今っなんと仰いましたのですかっ? 


 フィルフィーさんたら、チラッと私を見てから、プイッと外に目を向けちゃいましたわっ。


 どうして目を逸らすのですかっ?

 どうしてちょっと赤くなってるのですかっ?


 声がちっちゃくて聞こえませんでしたっですわっ!

 ああっ気になりますわっ!

 気になりますですわー!


 このままっ、時が止まってくれたらっ……!


 ああっ、でも時が止まっちゃったら大勢の人達がお困りになっちゃいますですわっ。


 どどどどうしましょうっ!?ですわー!



「あーあ、もう下に着いちまうなー。ヒカリ達はどうなったか見に行ってみっか!」


「えっ?あっ?そっ、そうですねっですわっ」


 フィルフィーさん。

 さっき、なんて言ったの?

 私は……期待してもいいの……?

 もしかして……フィルフィーさんも、私の事を……

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