ザコレベルから這い上がれ!妄想勇者は男の娘《コ》! 異世界でイケメン勇者になる為にヤンキー女神を更生させます!
雪の谷
気持ちも新たに、さあ行こう!異世界へ!
あっ!死んじゃったっ!?
あっ死んだ、俺、死んだ。
交通事故で、今、死んだ!
そんじゃあ、次の展開は!
やっぱ、転生!俺、転生!!
だって、そういうご時世でしょ?
憧れの!異世界転生!
さっさと出て来い、女神様!
漢字なら上から読んでも下から読んでも『コウダヒカリ』だから覚えやすいでしょ?
この春、高校に入学したばかりのぴっかぴかの一年生。それが入学して三ヶ月。
父さんが珍しくレンタカーで入学祝いがてら家族旅行に行こうと言う。普段、満員電車と自転車しか乗らないペーパードライバーの父さんがだ。
母さん同様、一抹の不安を覚えつつ乗ってみたらこの始末。
某所のなんたらスカイラインって道を法定速度以下で走行中。
現場は下りの緩い右カーブ。
突風に煽られてハンドルを取られ、橋の欄干に激突。そのまま欄干を乗り越え、10メートル下の崖下に転落。
そんなコトある?ってくらいの出来事だった。
当時、路面は前夜の雨で滑りやすくなっていたのも、この事故の要因の一つだと思う。
車は跡形もなく大破。家族三人、皆即死。
はたから見たら一家無理心中かと誤解されかねないから言っておく。
ウチは確かに裕福ではなかった。
でも『そんな気』なんてさらさらなかったからね。
家族は、父、母、俺の三人。
イケてる父さんでも、美人な母さんでもなかった。
父さんはしがない役職無しのサラリーマンだし、母さんは主婦業こなしながらパートで働いて、そこから俺に小遣いを工面してくれていた。
でも俺はそんな二人の事を好きだったし、尊敬もちょっとだけしてた。ちょっとだけ。
そんな家族の負担が少しでも軽くなればと、俺だって週に三日の酒屋でのアルバイトを始めた。
重いビールケース運ぶのも、商品棚への陳列作業さえも初めはきつかったけど、ようやく慣れてきたところだった。
イヤ大変だよ、あの作業。立ったりしゃがんだりの繰り返しでさ。酒屋の人達がムキムキなのわかる気がするよ。
原付免許の試験も近かったのにさ。
免許を取れば近場なら配達にだって行けるようになるから。
あんちゃんがいてくれて助かるよ!なんて言われたのも、バイト代で親になんか買ってあげたのも初めてだったし、自己満足かもしれないけど嬉しかったし、誇らしかった。
頑張るぞ!なんて思ってた。
でも、それも終わった。
呆気なく。あまりに呆気なく。
終わったものは仕方がない。死んじゃったものはどうしようもない。
次の人生を謳歌しようじゃないですか!
どうか父さんと母さんも、元気に転生してくれますように!だって、成仏するにはまだ早いでしょ?
さてさてまだかな?女神様!別に男の神様でも構わないけど、やーっぱここは女神様でしょ!
スケスケひらひらの衣装で、金髪ロングでナイスボディー!
だってそうでしょ?それが転生に携わる女神様のお約束な衣装なんでしょ?
この俺を、チート級の勇者にしてくれるんでしょ?だって、そういう流れでしょ?なんつっても不慮の事故死なんだから。
これまで生きてきた16年間。
特に悪い事なんてしてないし。
むしろ人畜無害な人間だったし。
もちろん、童貞。
彼女いない歴16年。
成績、中の下。ルックス、中の下。
運動神経、中の下。下の上って言われてもなんも反論できましぇん。努力はしてましたよ、ちゃんと。
でもさー、解んないモンはわかんないの!
解らないって事が判らないの!勉強出来ないヤツって大概、そーなの!
知能MAX9999がカンストのステータスで言うと、200あるかないか。……言ってて虚しくなってきた。でも200でも生きてこれたし、高校だって受かったし。
下の下な高校で中の下ポジション。見るからにアタマ悪そうなヤンキー達よりアタマ悪い俺。いくら下の下な高校でも可愛い女の子ってのは必ずいるもんで。
アタマ悪いけど。
そんな女の子達にすら見向きもされず、空気のような、というよりは、むしろ窒素のような存在だった俺。窒素なだけ無害でしょ?そうでしょ?
そんな俺が死んでも、まあ誰も困らないでしょ。このまましょーもない高校生活送って、しょーもない会社に就職して、しょーもない結婚して……結婚出来る気がしないけど。
しょーもない人生送るよりは、死んで異世界転生でもした方がよっぽど充実人生でしょ!
死んでと軽く言うけども、自殺って転生出来ないらしいじゃん?誰が言ったかわかんないし、それが正しいのかもわかんない。
まあ、自殺する勇気もないんだけどね!
そんな俺が不慮の事故死!
キタコレ!キター!!
夢に見た憧れの異世界勇者!最強勇者!ムフフでアハンな毎日ハーレム!
ハーレムの女の子設定が出来るなら。
イヤ、出来ないかもしんないけども。
まず、一人目。
これもうお約束の『幼馴染み』の女の子は、俺より背が高い娘がいいです。
背が高いのがいい?何故かって?
まあまあ、あせるな。教えますって。
毎朝のルーティンとして!
「おっはよー!」
って元気良く抱きついてきて、弾力最高、大きさも最高、柔らかさは超最高のオパイをわざと俺の顔面に押し付けてくれるんです。
それでいて
「あっ!ヒカリ君のえっちっ!」
なんつって頬を赤らめたりなんかして!
サラサラなセミロングのちょい茶髪からはいい香りがするんだ、これがまた!
ムハー!いいっしょ!?いいっしょ!?わかるっしょ!?スレンダーでいながらも出るとこはボン!て出てる背の高い美少女!
で、二人目は。
これまた幼馴染みの今度は年下の女の子。いわゆる後輩ちゃんだ。今の年齢設定のままだと、中学生ってコトだな。
ショートカット、いや、お下げ髪も全然アリだな。
さっきのスレンダーちゃんとは真逆の低身長。身体的にはまだまだ未発達な『妹系』な甘えんぼ。俺を呼ぶ時はもちろん!
「お兄ちゃん!」
これまた毎朝、俺の腕にしがみつくように抱きついてくるんすわ!
スレンダーちゃんとは仲良しで、でも俺の事で張り合っちゃったりなんかして!
ムハー!いいっしょ!?いいっしょ!?わかるっしょ!?
そんでそんで三人目!
次なるは部活の先輩だ!部活はもちろん、アニメ、ゲーム、同人誌、なんでもオケなヲタク部!そして女部長!
二次元好きの女子と言えば!やっぱ、ぽわぽわ系は外せない!ゆるーくウェーブのかかったロングヘアからは甘くて優しい香りが漂って。
グロスで光る唇はぷにっとしてて柔らかそうで。
いや、実際柔らかいんでしょうけど!触ったコト無いからわかんないけど!
「おはよう、ヒカリくん♡」
つって、自然にオパイを俺の腕に押し付けてくれるんですううう!オパイをさっ!
いいよね年上のオネーさん!
入学した時、3年生の姿見て『オトナっぽい!えろ!』って思っちゃった。2つしか年齢違わないのにね!
やっぱ外せないよね、年上は!
ムハー!いいっしょ!?いいっしょ!?わかるっしょ!?
朝のシチュが多いって?いや、そーいうモンだから。登場人物紹介で夜のシーンってあんまないでしょ?少なくとも俺は見たことない。俺の見聞が狭いだけかもしんないけど。
学園モノで夜スタートって、ホラーしか思い浮かばないって。ラブコメにホラー要素って、水と油でしょー?怖いのはヤだし、楽しいのがいいなー。
まあ、それは置いといて。
んでんで、四人目!
ここで登場、学校のマドンナ!ツヤツヤサラサラストレートの腰まであるロングヘア!
「おはようございます、ヒカリさん」
これ!ヒカリ『さん』なの、この俺を呼ぶ時は!しかも敬語なの!
清楚系でいながらも漂う色香!
おバカな俺に勉強教えてくれるフリしてぴったり密着してくるんすわ!ふと横見れば視線がぶつかり合っちゃって!オパイが俺の肘に当たっちゃったりなんかして!
見つめ合う二人!みたいなー!
ムハー!いいっしょ!?いいっしょ!?わかるっしょ!?
なんか、学園ハーレム設定になりがちなのは、やっぱ俺が高校生だからかなー?
俺がサラリーマンで、エッチな女社長とムフフとか、積極的でグラマラスな同僚とアハンとかそんなんもアリかなー?
「あー、いたいた。おい、そこのミカン」
「……はい?」
今、ミカンって言った?
妄想全開中の俺の目の前に現れたのは……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます