19. 爆発事故
「ホー、操作の習得おめでとう。我輩が考えていたより早い習得速度ですな。やはり筋がいい。」
休日の2日目の午後、再びフクロウな先生の授業が始まった。
「ありがとうございます。」
「魔力も見違えるほど増えていることですし、本格的な魔法の鍛練といきますかな。」
おお!やっと本格的な魔法が使えるのか。ワクワクしてきたぞ。
「まず、魔法とはどのように発動するかわかりますかな?」
「詠唱して、魔力を火とか風とか水に変換する感じですかね。」
「ホー、間違いではないですが、少し違いますな。」
何が違うのだろう?レトロゲームでも、魔法は詠唱からの魔法の発動がワンセットだったはずだ。
「何が違うのか?という顔をしていますな?」
また顔に出ていたらしい、気を付けよう。
「ホー、ホー。確かに詠唱をして魔力を変換する、この方法は間違いではないのです、ですが、我輩から言わせれば想像力が足りない、といっていいでしょうな。」
「想像力ですか?」
「そう、魔法とは知識と想像力である。」
先生は、大きく羽を広げ最初の授業と同じ言葉を答えた。......うむ、わからん。
「ホ、ホホホー、最初と同じ顔をしていますな。」
またまた顔に出ていたらしい、本当に気を付けよう。
「そうですな、詠唱とは何かというところから教えていきましょう。」
「お願いします。」
「詠唱とは、魔力を魔法へと変換する手順を言葉にしたものですぞ。」
先生の説明はこうだ、例えばファイヤーボールの詠唱だと。
【炎よ 火球となりて 我が敵を 打ち払え】
炎よ → 属性の指定
火球となりて → 形や動きなどの指定
我が敵を → 対象の指定
打ち払え → 効果の指定
と、4つのプロセスが言葉として詠唱となり魔法が発動するらしい。
高威力の魔法や広範囲のものになるほどプロセスの数が増えるらしい。
「ホー、これだけ聞くと詠唱は必要なものだと考えるのではないですかな。」
「そうですね、効率を考えると詠唱は必要なのではないですか。」
「ホー」
先生の回りに火の玉が無数に出現した。ビックリした。やるなら教えてほしいものだ。
「ホー、詠唱という手順は本来必要ないのです。セト君に魔力操作を習得してもらったのもそのためなのですぞ。」
「......無詠唱ですか?」
「はずれですぞ。」
恥ずかしい、正解を答える間を作ってしまった自分が恥ずかしい。
「セト君には、魔力を直接魔法に変換してもらう方法を学んでもらいますぞ。」
「直接ですか?」
「ホー、魔力操作が出来るのであれば、次の段階に進めるのですぞ。最初は魔力を手のひらに集めるところからいきますぞ。」
魔力を手のひらに集める、か。魔力感知と操作を発動し自分の魔力を動かしてみる。この一日で、魔力操作のLVは5まで上がった。スムーズにとはいかないがゆっくりとなら自分の魔力を動かせるようになったのだ。
「ホー、問題なく手のひらに集まったようですな。では、集めた魔力を外に出して止めてみてくだされ。」
外に出して止める?何か簡単に言ってるけど、難易度が一気に上がってないかな。
取り敢えず、魔力視も発動してやってみる。
想像力、想像力。魔法とはイメージだ。手のひらだけ穴の空いているイメージをしてみる。
お!手のひらから魔力が漏れだしてる。よし、外には出せた。あとは、止める?.......イメージがわかない。
「ホー、苦戦しておりますな。では、助言を一つ、漏れだしている魔力は誰のものですかな?」
漏れだしている魔力?そんなの自分のものでしょ。.....自分のもの?
「ホー、助言一つでものにしましたな。素晴らしいですぞ。」
ハハハ、先入観は怖いね。外に出たから操作できないと思い込んでいたよ。取り敢えず、手のひらの上で魔力を止めることに成功した。
「最後は、属性への変換ですぞ。そうですな、水球にでもしてみますかな。」
ちょっと駆け足すぎない!?やるけども。.......どうやるんだ?水に変える?言葉の意味はわかるけど。考えろ、先生はできないことは言わないはずだ。...たぶん。
先生の言葉を思い出せ。.....ホー。違う!!違わないけど。魔法とは、【知識と想像力】、知識、水の知識。H2O、水素と酸素で出てきている。空気中に存在する。そういえば科学の実験で水素に火を付けたら爆発して水ができてたよなー。よし、何となくイメージがわいたぞ。
手のひらの上の魔力を水素と酸素に変換するイメージをしていく。そして、最後に着火するイメージだ。
バーーーーーン!!
「ホーーーー!セト君!!」
僕は、爆発の衝撃で5メートルほど吹き飛んだ。身体中が痛い。
【スキル 魔力変換 を習得しました。】
【スキル オリジンマジック を習得しました。】
【スキル 原子魔法 を習得しました。】
【称号 原初の魔法使い を習得しました。】
【称号 禁忌の魔法使い を習得しました。】
おおーー。何か覚えたけど、全身の痛みでそれどころではない。
「ホー。これは酷いですな。ホー。」
痛みが引いていく。これも魔法なのだろうか?回復魔法かな?
「先生、ありがとうございます。もう大丈夫です。」
「セト君、先程の魔法は原子魔法ですな。」
「みたいですね、スキルとして習得できましたので。」
「ホー、あまり人前で使わないように、それは世界を壊す魔法ですぞ。」
出来れば僕も使いたくない。痛いイメージしか残ってないし。
「世界を....壊す?」
「む?そうですな、我輩からより主様から聞くのがよいでしょう。」
「はぁ、そうですか。」
何かモヤモヤするが深く聞かない方がいいような気がする。
「ホー、では、先程の続きからやってみるとしますかな。」
内心、マジかっ!?さっき爆発事故が起きたとこだぞ!!、と思ったが、僕にNOと言える権限はないので素直に授業に戻った。
イメージを変え、空気中の水分を集める感じでやったら簡単に水球ができた。スキルを獲得したお陰だと信じたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます