みんな自分のことで精一杯
「せんぱい、せんぱい」
おうよ、どした後輩。
「結局、どこまで行っても人間って、
……自分のことだけですよね」
まぁな。
(お前は先ず鏡を買って来た方がいい。
…………まぁ、心は写せんけど)
「自分の言葉一つで、
どれだけ相手が傷つくかなんて、
そんなこと想像も出来ないから、
平気で無責任なこといえるんスよね」
おお、そうだな。
日本が不安定ってのもあるだろうしな。
どうしても、
他人に怒りをぶつけちゃうのかもな。
「でも、周りのせいにしても、
何も変わらないじゃないっスか」
おう。
途轍もなく豊かだった、
バブル期とかじゃないからな。
個人の出来ることは限られるよな。
「でもッスね。
それに気づいたら、すごく楽になったッス」
おう、そりゃ悟りの心境だな。
(流石、ポシティブガール。
俺も見習らおう)
何よりだ。
「で、それを思ったら、
ああ、別にせんぱいには、
何しても良いんだって、
そのことにも気づいたッス」
全然よくねーよ。
俺を何だと思ってんだよ。
「だから、お金下さいっス」
何も学んでねぇーじゃねぇーか。
俺の感動返せよ。
で、幾ら必要なんだよ?
「さっすが先輩。
何だかんだ優しいから好きっス」
俺は博愛主義だからな。
でさ、別に貸すのはいいけどよ。
何に使うんだ?
「せんぱいから借りた漫画に、
コーヒーこぼしたッス」
…………。
「なっ! 女の子殴るなんて最低っス!
それDVッスよ!」
おい、他人のもん駄目にしておいて、
それをキチンと弁償するどころか、
俺の金で補填しようとかふざけすぎだろ。
「で幾らくれるッスか?」
やるかボケっ!
お前にはトゴだったら貸してやる!
「すいません、せんぱい。
何言ってんのか、わかんないッス」
きっと情操教育に問題があったんだな。
幼稚園からやり直してこい!
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