陰謀
「せんぱい、せんぱい」
なんだ後輩。
ちゃんとお前の前にいるから安心しろ。
「私、最近。
〇クロソフトに攻撃されてんッスよ」
おお、そうか。
今回は随分と大きく出たな。
会話冒頭のインパクトは大事だが__
「いいから、聞いてくださいよっ!」
まぁ、この後のワードセンス次第では、
もしかしたら、流行語取れるかもしれんしな。
「そうやってぇー、すぐ茶化すんだから。
でも、事実を知ったら、
先輩だって他人事じゃないんスからね」
成る程、自分でハードルを上げるとは、
よほど自信があるんだな。
俺もちゃんと評価を厳しくするから安心しろ。
「うっ。で、ですね。私こう見えて、
趣味で小説書いてるじゃないですか」
そうだな
(知らんけどな、初耳だけどな)。
自分の意外さアピールって、
余程上手くないとウザいだけだよな。
「なっ⁉ まぁ、話し進まないんで、
次行きますけどね。
で私、それを小説の投稿サイトにアップしてるんスよ」
なるほど、結構アクティブだな
(こういうとこは見習わないとな)。
「先輩ならわかってくれると思うんですけど、
自分では完璧に書けてると思っても、
文章って後で見直すと、
必ず誤字脱字ってあるじゃないスか」
おう、それは確かにあるな。
(共感かヨイショか知らんが、
いきなりは効果が薄いぞ後輩)
「私、ちゃんと何度も見直してんスよ」
うん、まぁ大事な事だしな。
見直しは基本的にはいい事だもんな。
自分を省みるって必要だもんな。
「なのに……なのに…………
私の文章には必ずあるんスよ!
誤字脱字がっ!」
…………うん、そうか
(それは単純に見落としだと思うぞ?)。
「なんスか、その顔っ!
だってッスよ?
マジで何度も何度も見直してるんスよ?
なのにアップすると必ずどっかしらあるんスよっ!」
うん、そうだな。
(でも言うまい、ストレスからだろうしな)
「で、作品よりも、
そっちにコメント喰われてて…………」
なるほど
(成る程、そっちもキツくて、現実逃避したのか)。
「だから、最初の何回かは、
パソコンに問題があったのかと思ったんスよ。
でもっ!
セキュリティソフトはちゃんと稼働してるし、
パソコンも異常なかったスよっ!」
うーん。そうか。
(スマン、気付いてやれなくて)
「で、そこで私、思ったんス。
これは世界に革命を起こし得る、
私の才能を恐れた奴が攻撃してるんじゃないかと…………」
そっか、そっか。それは大変だったな。
(そんなに追い詰められてたのか)
今日は俺が好きなもん食わしてやるから、
何でも好きなだけ食え。
「やったぁーー♪
流石、先輩っス。最高ッス!
分かってくれると思ってたッス。
話して良かったッス」
おう。
(今度ちゃんと遊びにも連れてってやるからな)
「先輩! 私、焼き肉喰いたいッス」
ああ、喰え喰え、好きなだけ喰え。
寿司でもステーキでもどんとこい。
(スッス、スッス、うるせーな。
誤字脱字よりもまず言葉を直してくれ)
「じゃあ早く行きましょう!」
おう。
(まぁしかし、これはコイツのガス抜きが、
出来てなかった俺の責任だな)
「焼き肉~♪ 焼き肉~♪
今夜の私はどのタレがいいかなぁ~♪」
(嬉しそうにしちゃって……。
まぁ多分、お前は馬鹿タレだけどな)
「はっやくぅ~♪ はっやくぅ~♪」
おう。
(でも確かにお前の云う通り、
他人事じゃなかったよ)
(元気になって良かった…………愛してるぜ後輩!)
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