少年期

第38話『南蛮船の漂着』

天下分け目の戦いの終結後直ぐ再び問題が起こった。


豊後臼杵沖にて、オランダ船リーデフ号が漂着し、リーデフ号の船員が臼杵城主太田一吉の出した小舟に依り救助されたのである。


太田一吉は長崎奉行である寺沢広高に先ず通報した。広高は、かの有名なウィリアム・アダムス、ヤン=ヨーステンらを拘束し、船内に積まれていた大砲や火縄銃、弾薬といった武器を接収した。


しかし、当然拘束したは良いがとても長崎奉行の権限で決め切れること無く、大坂城の俺……秀頼に指示を仰いだ。


戦後であり、領土分配なども決定されたが依然混乱は続いていた。この最中に外国船の襲来かと大坂城内は大騒動となった。急遽御前会議が開かれ、関ヶ原・大井川の戦いで徳川方として参陣した大名も招かれた。


御前会議というだけあり、当然俺も利家の後を継ぎ傅役となった利長に抱かれ参加した。目の前では激論が繰り広げられた。


「まさか!この度の騒動に漬け込み南蛮が攻めてきたか!?」


金吾秀秋落ち着け。日の本を二分する戦が起こって一年経たずして、攻めてくるというのはいくらなんでも早すぎる」


治部少輔三成偵察かも知れぬ。イエズス会宣教師らがこの城大坂城を訪れ、オランダ人やイングランド人を即刻処刑するように要求してきたとのこと。危険は排除すべき、処刑してしまうのが良かろう」


「毛利殿。些か早とちりかと」


内府殿家康は一体どうするべきと考えるか!?」


「一先ず様子を見るがよし」


「かような悠長な事を言っている場合ではござらぬ。速やかに決定すべしと」


「上杉前権中納言景勝殿は急ぎ過ぎであろう」


南蛮人を処刑するべきか、そうでないかの激論がまだまだ続く中、俺は利長の耳元で囁いた。


「殿の御言葉を伝える!秀頼様は処刑することなく、南蛮人の言い分を聞き、日の本に進んだ南蛮の技術を伝える為の師とすべきと仰られた!」


場はし〜んと静まり返った。そして数秒が経ち、その空気を一掃した。それは三河狸であった。


「秀頼様。この内大臣家康にお任せ下さい」


当然、三河狸と意見が同じであった為にどうすることも出来ず、「内府よ!期待しているぞ!」と返事をした。


このことで三河狸は勢力を盛り返し、後に豊家に刃を向けることとなる。


少し経ちリーデフ号の廻送と共に大坂城に押送され、投獄されていたウィリアム・アダムスやヤン=ヨーステンと俺は三河狸と共に引見した。


彼らは路程や航海の目的、オランダやイングランドなどのプロテスタントとポルトガル・スペインらカトリックとの勢力争い等を臆せず説明した。


三河狸は領国に迎え入れ、保護しましょうと提案してきたものの、俺は一蹴した。それからしばらくの間乗組員たちを投獄した。


その間もイエズス会宣教師らは執拗に処刑を要求してきた。二週間が経ち俺は宣教師の要求を黙殺し、遂に彼ら船員を釈放した。


ウィリアム・アダムスやヤン=ヨーテスを外交顧問として起用したり、学習機関として豊学院を創設し、その教諭として任命した。


豊学院では西洋医学や西洋兵器などの学問的なことを重点的に学ぶことが出来るようにした。


更にはアダムスは固辞したが、俺は強引に造船奉行に任命した。アダムスは岸和田に日本初めての造船ドックを設け80t級の大型船の造船を命じた。これが後に幕府海軍の主力となった。


その後、更に俺の元服に合わせたかの様に、1607年120t級の船舶も完成させた為、300石を与え直臣とした。摂津三浦に屋敷を置いた為に、ウィリアム・アダムスは三浦按針として名を改めた。


また歴史の修正力というのだろうか?三河狸は決して大人しくすることなく、ウィリアム・アダムスの漂着後僅か半年後には不穏な動きを見せ始めた。


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ウマ娘楽しいですね。すっかり小説忘れてました。後今後結構飛ばしたりします。あっという間に大坂の陣になりそうな予感

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