午後12時のシンデレラ

@henomo

エピソード⑴春の訪れ

-いつか、舞踏会が開かれて、王子様と巡り会い幸せなお姫様になる


12時の鐘がなる、王子様は、どんなにいなくなってもお姫様を探して見つけ出してくれる


例えお姫様の正体に気がつかなくても、たとえそれがどんな困難な恋でも


桜が舞う、3月、2つの陰が太陽の照らし出すなか道を遮っていた。

「もう、私たち三年生なんだね」


「ああ、そうだな」


二つの陰は交わりそうで、交わらない絶妙な距離を保っていた。

「またクラス違いだな」


意外そうに呟いたのは、長い髪をまっすぐに、後ろで一つ結びにした、目元涼しげ、顔つき端整な凜々しい少女だった。髪は少し青みがかかっている。


「うんそうだね」

一方、何気なく返答したのは、髪の毛が短く、栗色をしたそれにゆるいウェーブのかかった全体的にふんわりとした少女だった。


一人の少女の名前は、桜 花

図書委員で、おとなしく、優しい性格をしている。

全体的にゆるふわな空気を醸しだし、平均的な顔立ちをしている。


一方で、端正な顔つきをしているのは、泉堂 玲。

彼女はフェンシング部に所属しており、全体的に凜々しい雰囲気が漂っている。

背も高く、平均的な身長の花に比べ、足もすらっと長く、中性的な顔立ちで切れ長の目をしている。


「しかし、春休みの3月に創立記念日だって、なんとも手間のかかる話だよな」


「そうだね・・・」


3月の終わり、次の学年のクラス発表を終え、春休みに入った。しかし春休みの二日後は創立記念日なのだ。

よって、この私立の女子校桜樺学園に通う二人ははるばる、学園まで来たのであった。


凜々しい顔の少女に、落胆の表情が浮かんだ。

しかし、一方でふんわりした少女には、かすかに喜びの表情が浮かんでいた。


(いつも、クラスが違うから一緒にはいられないのだもの・・・)


「花、今年もよろしくな」


「玲、うん、こちらこそ」


二人は、学内に入り記念式典のある体育館に向かっていった。


二人は幼稚園からの幼なじみだ。

家も隣同士で、いつも、仲が良く周りからは二人一セットで見られることが多かった。


しかし、高校生になり玲は父親の仕事の都合で校区内の、離れた場所に引っ越してしまい、花と玲はもともと共に登校していたが、別々になった。いままで頻繁に家を行き来していたが、それも無くなってしまった。

今回は久しぶりと言うこともあり、指し示し合って登校を共にすることにしたのだ。


お互い友達も違う校内では接点もなく、すれ違うことはあるものの二人は疎遠になってしまっていた、ある時間を除いては・・・


「じゃあ、クラスこっちで集まるから」


「うん、じゃあね」


二人は体育館にたどり着き、クラス順に並ぶために二手に分かれた。

式典が始まり、校長の話が始まる-


「しかし、誰なんだろうな・・・」


玲はポケットから手紙を取り出し、それを片手にぽつりと呟いた。


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