第2話 少女との出会い

 街の近くまで来ると、ざわざわと音が聞こえてきた。良かった。人がいるようだ。

 とりあえず、この世界について知らなければならないな。


 その街には大きな門から入ることができた。

 周りを見渡すと昔映画で観たことある、中世ヨーロッパのような街並みが広がっていた。

 このおかしな状況にも慣れてきたのか、俺は少し高揚していた。


 俺は、街に入ってすぐ見つけたおっさんに話しかけてみた。

 ものすごく厳ついおっさんであったが、俺は見た目で判断などはしない。前世では見た目は良くてもクズみたいな奴は腐るほどいた。

 なんとなくこの人は親切そうだ。


「すみません、俺、遠くから来ていろいろと教えて欲しいんですけど?」

「おう、そうか。それなら、ギルドに行くと良いぞ」


 この世界にはこの街にはギルドという場所があるらしい。人々はそこで仕事を探すそうだ。おっさんはギルドの場所を教えてくれた。


「おっさん、ありがとな」


 親切なおっさん礼を言い、早速ギルドに向かおうとしたがおっさんに引き止められた。


「お前、金は持ってるのか?」


 金か。

 俺はポケットを調べてみたが何も入ってなかった。

 一文なしだ。


 おっさんによると、ギルドに登録するにはお金が必要となるそうだ。

 さあ、どうしたものか。


「貸しといてやるよ、出世払いで返してくれ」

「恩に着る。この借りは必ずかえす」

 

 おっさんから渡された袋には銀貨が十枚入っている。

 この世界での価値は分からないが、ギルドに行けば色々とわかるだろう。



 街並みや活気づいた人々の往来に胸を躍らせながら、しばらく歩く。


 ん?


 ふと、建物と建物の間に青い何かが動いたような気がした。

 あれはなんだ?


 少し気になり路地裏に入ると、少女がゴミ箱を漁っていた。

 さっき目に入った青色はその子の長い髪の毛の色であった。


「何やってんだ。お腹空いてるのか?」

「…うん」

「お兄ちゃんが、なんか食べさせてあげようか?」


 …コクン

 

 その子は、心配そうな顔で頷く。


 こんなところで一人でいるなんて、親はいないのだろうか。

 とりあえず何か食べさせてあげなければならないと思い、その子を連れて食べ物の屋台を探す。


「…あれが良い」


 その子は、うまそうな匂いが辺りに漂っている屋台を指差した。


 よし、あれを買おう。

 俺は、焼き鳥を二本買い一本をその子に渡すと、さっきまでは想像もできない、おひさまのような笑顔になった。


「あ…ありがとう、パパ!」

「……パパ?」


 食べ物で釣ったみたいになってしまってないか?

 仕方がない。親が見つかるまで俺が父親代わりとしてこのこの面倒を見るしかないな。

 そういえば、この子の名前もまだ知らなかったな。


「俺の名前は海斗だ。君は?」

「レインだよ」


 レイン…良い名前だ。

 レインのためにもまず俺は仕事を探さなければならないと思い、再びギルドを目指した。

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