ヤンキーは異世界でパパになる!

コージ

第1話 ヤンキー高校生、最後を迎えてしまう

 

 高校に入り、二年が過ぎた。俺、杉本海斗には普通の高校生のような友達との毎日や恋人と過ごした思い出などは一切ない。

 

 生まれつき髪の色が金髪ということで、一年生の頃から不良という人種に目をつけられている。

 

 不幸中の幸いにも俺の身体は物凄く頑丈であった。

 そのため、毎日のように絡んでける不良たちは周りをたかるハエのように追い払うことができていた。

 だが、俺は別に喧嘩が好きなわけではない。


 今日も憂鬱な気分で授業を受け、特に何も起こらないことを願いながら学校での日常を送る。

 学校が終わるといつも通り何匹かのハエを払い、帰路につく。

 時刻は夕方の五時。今日は天気が悪かったので、薄暗くなるのも早い。


「おい」


 後ろから聞いたことのある声が聞こえたので振り返る。

 見た顔が、一人…二人…三人……十人か…。


 今回もなんとかなるだろう。そう考えた俺が甘かった。流石の俺も十人相手には太刀打ちできなかった。


「死ねよっ、おら」

「顔狙え、顔」


 俺はうずくまりながら、ひたすら殴られ続けた。意識が遠のく。


 やがて、俺の視界は真っ暗になった。



……………………………







ーーこれは夢か?いや、俺は死んでしまったのか?


目が覚めると俺は、何もなくただただ広い場所に立っていた。

 周りを見渡すと、青々とした草原が広がっているだけである。

 

 いろいろなことを考えながら、少し歩いた。遠くの方に建物らしきものが見える。

 あそこに行けば人がいるかな。

 

 そもそも、俺はどうしてこんなとこにいるのだろうか。


 俺も馬鹿ではない。しばらくして、なんとなく自分の身に起こっている事態を理解することが出来た。

 

「そうか、死んだのか…俺は前いた所とは違う世界に来たんだな。」


 これからどうしようかと考えながら、ひとまず俺は街のほうに向かった。流石に、この世界に人がいないなんてことはないだろう。

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