ただ裏返すだけ

@yogamaster

第1話 変化の日

物事の始まりはいつも唐突だ、だがここまで唐突なのは初めてだった


20XX年5月8日


僕は家のポストを見ていた

中には袋が4枚あり、袋には僕の名前の戸舞天 冷(とまうて れい)などの家族全員の名前がそれぞれ書いてあった


僕の袋の中身を見ると一つのカプセルが入っていた、おそらく薬だろう


まぁ、流石に怪しいので飲まなかったけど


僕は家に戻り家族に渡した、家族は袋を覗いて薬を確認すると何故か薬を取り出しそのまま飲んだ


……え、飲むの?まじで?怪しくない?

……苦しんでる様子は無いな、多分大丈夫なのだろう


そう思っていたが母親はいきなり手から火を出した


……パイロキネシス……だよな?


なんで火を出せるように……さっきの薬か!

て言う事はこの薬は人に超能力を与える薬なのか?


……いや、一回落ち着こう、多分だが他の家にもこの薬は配られている、あいつに連絡を取ろう


そう思い、僕はスマホを取り出しチャットアプリのピリオドを起動した

そしてあいつ、日雨路 秋(ひうろ あき)に連絡を取ろうとしたが、その前にあいつの方から電話が掛かった


「おい!冷はあの薬飲んだか!」


……なるほど、たぶん僕よりも前に別の人に連絡を取っていたけど全員薬を飲んでいたのだろう


「……お前は飲んでないんだな」

「……飲んだのか?」

「あんな、怪しいの飲むわけ無いだろ」

「……良かった〜」


どうやら自分以外にも飲んでいない人がいて安心したのだろう


「……飲んで無い人は僕達以外には……」

「俺の知る限りいない」

「やっぱりか……」


普通に考えたらあんな薬飲むわけがない、だがほとんどが飲んでいるということは……


「……おそらく催眠で誘導……」

「されたんだろうな」


僕達が飲まなかったのは催眠に掛かりにくい体質だつたのだろう


「……この薬……飲むか?」

「……どうするべきか……」


利益だけを見るなら飲んだ方がいい、だがどこかにデメリットがある気がする


「今は飲まないでおいたほうがいいな」

「……そうだな」

「でもなにかあったときの為に常に持っておこう」

「分かった」

「じゃあまた、学校で」

「あぁ」


さて、そろそろ学校だ、行くとするか


*  *  *


「おはよう、秋」

「おはよう」


僕は学校に来て秋に挨拶をする


「……やっぱり荒れてるね」

「だな」


僕達は中学2年生だ、厨二病になりやすい影響もあるのだろう

周りは能力について話しているようだ


「よくこんなに騒げるよね」

「あぁ、普通に考え手なにか裏がある筈なのに」

「例えばテロとかね」


おそらく能力の影響で治安は悪くなるだろう


「能力を使ったテロ……普通のテロよりもやばそうだな」

「うん、だが必ずどこかにそんなやつは居る」

「世の中善人ばかりじゃないからな」


やはり能力の影響はかなり大きいだろう


「なぁ、お前等の能力はどんなだった?」


秋と話していると別の人に話しかけられた

どうやら苗木 戸比元(なえぎ とひもと)のようだ


「俺達は薬は飲んでないぞ」

「えっ、飲んでないの?」

「あんなあやしいの飲まないでしょ普通」

「……確かに」


……こいつ、気づかなかったのか


「ちなみに僕は能力によって起きた事件の場所がわかる能力だったよ」


ん?なんでそんな独特な能力の詳細がわかったんだ?

もしかして能力を手に入れたときに能力の詳細がわかるのか?


まぁ、いいか


「ん、先生来たし席に座りな」

「分かった」


*  *  *


さて、学校はもう終わりだし帰るか


「冷、帰るぞ」

「うん」


そう言って学校を出た


「……にしてもよく学校休みにならなかったよな」

「だよね、こんなよくわからない現象が起きてるのに」


“どけろ!”


「ん?」


遠くから声が聞こえた、方向は……コンビニの方だな


「何かあったのか?」

「……たぶん強盗かな」

「……やっぱり、それか?」

「うん」


これも能力の影響だろう、能力を悪用してコンビニ強盗をしたのかな……


「……遠回りするか」

「秋、最近工事がここで始まったの知ってる?」

「……まじで?」 

「うん」


遠回りは工事中で通行止めだから無理だな


「しょうがない、行くか」

「……薬は手に持った方がいいよ」

「だな」


と言う訳でコンビニ前に来た


「……やっぱりか」


やはり強盗がいた


「しかも人質まで取ってるよ」


厄介だな……

野次馬は……まぁまぁ居るな

警察は着てないようだ


「お前ら退けろ!」


そう言うと野次馬の中の5人が後ろに下がった


……なるほど、能力が分かったな


「たぶん他人に自分の言うことを強制的にさせる能力だね」

「あぁ、だが人数制限が有りそうだな、おそらく5人……人質にも使っているなら6人だな」

「人質は抵抗しようとしてるから5人だね」


厄介な能力だ、だが5人までという制限があるだけましだな


「お前らも退けっ!……ん?学生か……」


げっ、こっちに気づいた


「おい!そっちのちっせぇ学生の方!お前は人質になれ!」


うわっ、ちっせぇ学生って僕じゃん、勝手に足が動くし!

……これ言われた行動以外は出来ないという訳じゃないな

なら薬が飲める、できればしたくなかったが仕方ない、飲むか


そう思い右手に持っていた薬を飲み込んだ


頭の中に突然能力の説明が流れる


能力名 裏返す


手を使わずになにかを裏返すことができる

使用制限は3回


裏返す……つまり反転させる能力か

使用制限が3回……少な過ぎる


まずは一回目の能力の発動だ!

使用制限を有限から無限に!


……なんとなく能力が発動したような感覚がする、多分成功だ


じゃあ自分に他人の能力が発動するからしないに!

よし、勝手に足が動くことが無くなった


「おい!早く来い!」


お望みどうり行ってあげるか


目の前にあの強盗が居ないから居るに!

瞬間移動して強盗の目の前に来た


「なっ!」


相手が怯んでいるうちにパンチ!(弱いから強いに!)


「ぐはっ」


強盗は吹っ飛んでいきそのまま気絶した


「はぁ……」


なんとか勝てた……まぁ能力を手に入れてからは余裕だったけど


「あ、ありがとうございます」


人質だった人にそう言われた


……なんか目立つのはやだな

僕が強盗を倒したことを見た記憶があるから無いに


ちなみに秋は対象外にした


「秋、帰るよ」

「あ、あぁ、ところでどんな能力だったんだ?」

「物事を裏返す能力」

「……強くね?」

「まあね」


しかし能力か……一体何なんだこれは

……もし誰かがこの能力を与えているのだとしたらなにか影響があるかも知れない


自分に能力を与えた奴が僕に影響を与えるから与えられ……

まて、もしかしたらこの能力も消えるかも

それは不味いな……


この能力が消える可能性があるから絶対に無くならないに


よし、これで大丈夫だ


自分に能力を与えた奴が僕に影響を与えるから与えられないに


……よし、これでもう問題は無い


「あっ、秋もこの薬飲む?飲んだときのデメリットは無くせるようになったけど」

「……それなら飲もうかな」

「分かった」


秋の能力はサイコキネシスだった


さて、帰るか……

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