天国について想像してみる

ヘイ

完成された幸福の天国

 天国は幸せであらねばならない。

 即ち天国とは幸福である。

 なれば天国に不幸は不要である。

 幸せとは何もかも満たされた状態のことであると定義する。

 食欲も、睡眠欲も、性欲も。

 そのほかを含む欲求、詰まるところ行動意欲の全てを幸福で満たしたものとする。

 行動、思考は幸福によって満たされ、彼らは全ての行動を『幸福である。故に行動を伴わずとも現状を維持することで幸福である』と結びつけ、ただその場で幸福を享受し続ける。

 彼らの思考は幸福によって満たされ、彼らの感情は幸福によって満たされ、彼らのあり方は幸福によって固定される。

 全ての行動は幸せであるが為に行う必要はない。

 全ての思考は幸せであるが為に働かせる必要はない。

 彼らは思い思いの幸福を感じる体制で待たされたかのように笑顔を浮かべるのみである。

 彼らは幸せであり、幸せ以外の何モノでもなく、幸せという膨大な情報がそれ以外のありとあらゆる可能性を否定する。

 天国とは死を迎えたものを受け入れる、永遠の楽園である。

 即ち、彼らは食を取らずとも、繁殖行為をせずとも、眠らずとも生きていられる。

 これぞ完全なる幸福の天国。娯楽も幸福であれば関係なく、犯罪思想もまた完全なる幸福で満たしたのならば意味を成さず。

 あるべき幸福の夢想の地としての姿を、その天国は有している。 

 

 

《補足》

 

 死後、人は食事を取らなくとも死ぬと言うことはないだろう、また睡眠も性欲も同様だと考えられる。排泄行為がどうであるかは分からないが、飢えなどに於いても幸福は何より優先される物とする。

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