第40話
私は滑稽な姿のお二人を見てクスリと、思わず笑みが零れてしまいましたの。
ええ、この短時間で私の頭の中はよりクリアとなればです。
膨大な情報量、代々我がセジウィック公爵家は王族を凌ぐ魔法量とその力を有した一族。
残念な事に祖父の代よりその力は衰え、現公爵である父の魔法は並以下です。
セジウィック程ではありませんが同じく魔法に長けた一族より母が嫁ぎそこで生まれたのが私――――なのです。
幼い頃魔力鑑定にかけられた時の両親の喜びは凄まじいものでしたわ。
あれは今でも忘れる事は出来ません。
まあ言うなれば私は生きた人間兵器となりうる存在……だったのでしょうね。
だからこそまだ魔力のコントロールの出来ない幼い私は両親によって作られし箱庭の中で護られる様に、ひいては自分達の失った権力を取り戻す?
いいえそれ以上の権力を握りたかったのでしょう。
祖父の代より無能者と周囲より蔑まれたのですもの。
確かに公爵家としての体面は保ってはおりますが、所詮は魔法ありきの世界なのです。
また父に至っては天下の公爵様が男爵……然も平民クラスの魔力ではねと、馬鹿にされても真実だから故に何も言い返す事が出来なかったからなのでしょう。
だから彼らは私を最高の商品としての教育を惜しみませんでしたわ。
また王家も同じです。
何時も私へ心を砕いている体で接して頂いていたお優しい両陛下ですが、その心の中では私を腫れものの様に、ええよく心の声が聞こえてきましたのよ。
化け物――――と。
何も望んでこの力を持って生まれてきた訳ではないのです。
普通の娘として生まれたかった。
普通の家族として、普通に生きていることを楽しみたかった。
気が付けば自分が望みもしないのに他人の心の中までも視えてしまう自分自身が怖くてっ、気持ち悪くて仕方がなかったのです。
そんな最悪の時間の中でしたの。
エセルバート様、貴方と出逢ったのは……。
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