第29話

 俺は公爵の話の後父上の執務室へと向かえば事実確認をしたのは言うまでもない。

 しかし結果は先に言ってしまえば公爵の言う通りだった。


 然もである。

 キャシーとの関係すらも続けてもよいとまで言い放ったのだ。

 まさかの親公認となるのは流石に、先程の公爵との話でも十分……これ以上のショックはないと思った俺がまだまだ未熟なのかと思ったくらいだ。


「エセル出来得る限り……何、この際場所も別に構う事はない。キャサリンと子を生しそしてわしの血を受け継いだ子がリドゲート公爵家の当主となればだ。お前とエリザベスとの子を生した後にセジウィック家を潰すと王家には気を病む借財もなければ最早怖いモノ等何もない。リドゲードは男として不能であるが故に奴の血を引き継ぐ者はこの世に生まれはせぬ。ふふふ、これで全てがわしの思うままの未来となる。そうあの口惜しい思い等二度とせぬわっっ。勝者は常に国王であるわしなのだ!!」


 後半は俺にも意味が分からないもの。

 しかしふと何気に思い出しかけたのだが……。


「エセルよ、そうとなればエリザベスに気づかれる事なく早々に子を儲けるがよい。何時も同じ場所では興奮が足りないと言うのであらば王宮内ならば何処でもよいぞ。まあわしならば部屋で飽きれば庭園等がお勧めかもしれぬな。ふふ、あの他人に見られるか見られないかのヒヤリとしつつも押し寄せる高揚感、今でも忘ればしないあれは……」

「ま、まさか母上となのですか⁉」



 嘘だろう。

 余りにもそれは聞き捨てならない。

 仮にも我が国の国王夫妻が何と言う羞恥を晒す真似を――――!!


 万が一仕える管理や使用人達に見つかれば王家を揺るがすスキャンダルになりかねないだろうがこのクソ親父!!



「――――あ、ああコホン、まあそれは物のたとえだ、そう例え話に過ぎぬ。まさかあの王妃とその様な交わりをする筈がなかろうて。冗談も休み休み言うがよい」


 そう言って何かを誤魔化す様な物言いをすれば、父はもう用はないと言い俺を部屋より辞する様に言い渡した。

 まあ確かにあの母上と父上が青空の下で――――は息子である俺自身全く考えられないのだがな。


 とは言え俺の問題は未だ何一つ解決には至ってはいない。

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