ガタゴト線路とキラキラ金平糖〜頭に大怪我をした仔猫のお話

水玉猫

お話をはじめる前に。まずは、ぴいこちゃんのこと。

ある夏の日

 2020年7月29日。

 解体工事現場の瓦礫がれきの下から、幼い仔猫が救出されました。


 仔猫は生後3週間前後。やっと乳歯が生え始めたばかりです。瓦礫がれきの下敷きになった頭部は大きく腫れ上がり、目も開けられない状態でした。


 すぐに動物病院に搬送はんそうされましたが、頭蓋骨損傷ずがいこつそんしょうで、もって一日か二日という診断。

 弱っている上に、幼すぎて手術も難しいとのことでした。



 保護主さんはその仔猫を看取みとる覚悟で家に連れて帰りました。保護主さんのお名前は、仮にOさんとしておきます。


 Oさんの家で、仔猫は意識を失ったような状態と「ぴーぴー」鳴きながら這い回る状態を繰り返しました。

 しかし、頭部の損傷のためか、意識が戻っていても右に旋回するだけで前には進めません。それでも、かあさん猫を探して懸命けんめいに動き回る姿に、Oさんは仔猫の「生きたい、生きよう」という強い意志を感じずにはいられませんでした。



 7月31日。

 タイムリミットの2日目になっても仔猫の命は持ちこたえ、お薬と栄養補給と看護のかいもあってか、少し元気が出てきたようでした。


 当初はすぐに死んでしまうと悲しいからと名前を付けるのをためらっていたOさんでしたが、このまま快復かいふくすることを願い、仔猫を「ぴいこ」と名付けました。



 しかし、3日目の8月1日になると、ぴいこちゃんは翻筋斗もんどりを打つように転げ回り、自分では抑制できない状態になってしまったのです。

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