151話 お庭×幼女2×ショタ1は「たいへんそー」と他人事

 建築資材も充足したらしく、貴族エリア界隈の建築ラッシュも落ち着いた頃に各国の王族を含む偉いさん一行が続々とやって来た。


「なんかいっぱいすごい人来てるねー」


「うん、いろんな国から来てるみたいだからねぇー」


「各国の王族が一堂に会するなんて、本当にめずらしいのですわ」


 ちょっとお姫様モードでリア殿下が説明してくれる。ふーん、まあそうか。種族ごとに大陸だっけか、わかりやすいけど難儀な世界だなぁ。


 種族間の侵略や戦争が起きにくいっちゃー起きにくいのか?種族が違うと奴隷ってのは人族の性だからなぁ、肌の色が髪の色が言語が違えば奴隷にするって歴史も証明しているしな。


 まっそんな人族のどうしようもない癖はよくて、そう僕とセレネ姉さんとリア殿下は、続々と長い旅路を終えて到着するご一行を横目に、お気楽にお庭でにゃんこ達と遊んでいたりする。


 ブライアンとチャコレアは謎の修行に行っちまってるので、家にいる子らで暇そうなのを連れて来た。


 ちなみに猫のお家には時々しらん子が居る、たぶんブライアンのお母さんが連れてきてるんだと思う。部屋掃除をしてるメイドさんが把握できてるっぽいので、あんまし口出ししてはいない。雨風防げて食事もらえるって大事だからね。


 庭でにゃんこ達と遊んでる僕らの近くには、見守るように遠巻きにメイドさんが5名と騎士っぽい人が10人邪魔にならない位置で警備してくれている。さすがに王女様が居るしね。


 しっかし、次々とやって来る重要人物が乗っているであろう箱馬車周辺は、物々しさと仰々しさと隠しきれない疲労が見える。


 海を超えて陸路だもんなーマジ大変だよね、病気とかなかったんかね?あったら言っておくれよ?さすがに自分のイベントで病気や怪我人が出るのは嫌だわわ。


「ウェルくーーん、どこ見てるの?」


おっとかんがえこんじゃったじゃん、下手な考えで一生休みなタイプよなぁ僕って。


「んー、たくさん人が来るなーって見てた!!」


「あはは、なにそれー」


 朗らかに笑いながら、長めの猫じゃらしを後ろ手に持ってセレネ姉さんが走り回る。うーん楽しそう、シンプルな遊びってシンプルに楽しいんだからシンプルなんだよねと構文を使いながら混じっていく!!


「ねえさんこっちも使うんだー!!」


 伝説のキャッシンキャットロッド(金貸し猫棒)を取り出しながら姉さんに向かって駆けていく(※ただし子供の速度で


・・・


 そんなこんで庭で遊び倒して、みんなが疲れだした頃に庭先にあるテーブルと椅子でしばし休憩を取る。


 メイドさんが来て、さっさとお茶を用意してくれるので3人に清浄をかけておく。飲食時は綺麗にしましょうってね。


 ちなみになんでお庭で遊んでるかってーと、隣接したお家なものだから、うちの庭にご一行様が雪崩れ込んでこないようにね。ほらあるじゃん!われわれが旅装を解くのにその敷地を貸せ!的な流れから始まるご無体なアレ。そういうくだらないのは今回はね、誰も得しないからね。見張りというか縄張り主張的な?


 3人とも心身ともに落ち着いたあたりで、ちょっと見たことないメイドさんがやって来た。護衛さんも周りのメイドさんも顔見知りっぽい。


「ウェルギリウス様、談話室で陛下と王妃様、マイヤ様がお待ちです」


「わかりましたー。じゃあ、二人とも僕は行って来るね」

「うん!いってらしゃーい。お仕事頑張ってね!」

「はーい」


セレネ姉さん、それ新婚さん。


「ご一緒していただいてありがとうございました」

「はい、こちらこそ楽しく過ごせました」


 こういう時って、いいえって言いがちだけど【はい】って答えたいなぁ。と思いつつ、【はい】と返事をしておいた。一緒に遊んだ事実に対しては【はい】なのだ。こちらが遊んでやったとかいう意味は無いのだ。言葉はなるべく前向きな肯定的なものを選んでいきたいものですなぁ。げふんげふん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る