150話 石の運搬をします
昼食を終えてのんびりしていると、石の運搬へと向かう用意が終わったとの伝言をメイドさんが持ってきてくれた。
伝言を受けて屋敷の前まで向かう途中でティアンヌさんがしっかりと武装した姿で合流した。僕個人の護衛としてついて来てくれるらしい。
合流したティアンヌさんと二人で屋敷の前に出ると、豪華な装飾のついた馬車が2台と荷物運搬用だろうか大型の馬車が3台、そして護衛として装飾付き馬車の側に1台4名で騎馬が配置されている。
陛下がつけてくれた近衛さんになるのかな?装飾が綺麗な鎧をつけて騎乗した状態で微動だにせずにいる。
かっけーなジョストで使うランスみたいな武具を装備してる。
しかし結構な大名行列だねぇなんて気楽な事を考えていると、工人ギルドのじいちゃんと筋骨隆々な人がこちらにやってきた。
「ひさしぶりじゃのう、ウェルギリウス君。今日はなんでも石不足を解消してくれるのじゃろう?期待しとるぞ。そして、こいつは石工の担当じゃ」
工人ギルドの一番偉いおじいさんが挨拶と共に石工担当の筋骨隆々な人を紹介してくれる、紹介された担当者はドワーフだと思ったら人だった。ただすげぇムキムキでずんぐりむっくりしてるだけだった。まあ人だからドワーフじゃないから、どうこうという事は無いけど、なんか意外だったのだけが印象。へー人なんだ。マッチョダブリュなのにね。
「今日は石の運搬ですよね?細かい話は現場についてからになると思いますが宜しくお願いします」
「うむ、こちらこそ手間をかけるの」
「お願いします」
二人が挨拶に合わせて、軽く会釈気味に頭を下げて来たので返事をしつつ頭を下げる。馬車で行くわけだし、移動に時間もそこそこかかるみたいだし、挨拶と会話もそこそこにして馬車へと向かった。
僕らが馬車へと歩き出したのを見て、近衛たちが乗った馬が配置に着いた形が出発の合図になった。
そこから馬車はゆっくりと街を走り出す。街中では道を開けて頭を下げたり、騎士への憧れなのか無邪気に手を振る子供たちが見えた。そんな見送りを受けて街の外へと走りだした。
ガタゴト...ガタゴト...と大きな音を出して一行は進む。
ガタゴト大きな音を出してるのは荷物運搬用?の大型の馬車だけで、僕が乗ってる馬車はヴァルカンさんとデフや緩衝機構をつけて改造したので快適だ。
改造とか言っても、一般消費者にそんなに詳しい知識も無いので、ちょっとした板バネとデフっぽい回転差の調整機構しか実装されてないけど。
ショックアブソーバー?油圧ダンパー?ややこしいのは分からんのですよ。 筒があって油いれてスプリングの先にひっかける穴があって......で?なんで衝撃吸収できるの?ってもんですわwww
ちなみに、工人ギルドの二人は別の大型馬車へ乗っている。一緒に豪華な馬車へと乗り込んで出発しようとしたのだが「領主様の馬車に乗るなんて!」と大型の荷物運搬用の馬車に乗ってしまった。
これ僕のだから!領主印ついてるけどヴァルカンさんと作った僕のだから!大丈夫だよって。。。言葉は届かなかった(涙
街道が石造りなわけでもないし、護衛もたくさんついた状態の馬車なので移動は、とても遅かったけど、物々しさもあって大きなトラブルも無く進んだ。
さながら行軍だよね、定期的に大きな音を出して移動するから、あの牧羊犬すら来なかったもんな。鳴り物入りみたいなもんなんかねぇ?獣避け?よくわからんけど、鉄類を叩いてる音がグワーングワーンと定期的に鳴ってた。
グワーンで騒々しい一行は、グワーンのおかげ?で大きな問題も無く数時間で目的地らしき場所へ着いた。
着いた場所は、特撮の撮影にでも使いそうな山間を切り開いた広い場所で、凝灰石っていうんだっけか?石の名前とか忘れたけど、まあ角張った直線が多い石が沢山ある、パッと見て鍾乳洞があるんだろうなって感じの洞窟があちこちにボコボコと口を開けている場所だった。
広い敷地を見てみると、警備してる冒険者っぽい人と石工として働いている人と荷物の運搬で馬車に石を積んでる人たちが見かけられた。
っつーか、馬車で石運んでるか。まじかー、すげぇな。
そんな作業場とした雰囲気の中に、豪華な馬車と近衛さんと騎士装束のティアンヌさんという場違いな高貴さが突然現れたので、石切り場で働いている人達は何事かと手を止めてこちらを見ている。
「お前さん達、手を動かさんかい!!通達があったじゃろう!」
さすがに近衛さんをジロジロ見るってーのは、中身が貴族家だと不敬すらありえるので、工人ギルトのじいちゃんが一声出して諫める。ナイスじぃじ!
作業員たちに少しのざわつきが残るが、気にしても仕方ないので知らんぷりをして広場の様になっている石切り場を眺めて居ると、端の方に切り出し終えたであろう石が大量に平積みになっていた。そこだけ絵面がローマでなんか変な気持ちになった。例えるなら草生えるで草。
あれを運ぶのかな?なんて事を思いながら石切り場を観察していると、工人ギルドの担当のマッチョダブリュなおじさんが、近くに来て説明をしつつローマな石の群れへと歩き出したので話を聞きながら着いていく事にした。
「こちらが採石場になります。ウェルギリウス様には、あちらに置いてある石の運搬をお願いしたく思います」
なるほど、すべてに通じるローマを移動しろとなんてロマンのある話。とかわけわからん事を考えながら返事をする。
「わかりました。こちらに置いてある分だけでいいですか?」
「そうじゃの、そうしてもらえると助かるがの」
工人ギルドのじいちゃんも来てお願いされたので、ローマに歩いて行って全部を一気にアイテムボックスへシュコーンと吸い込んだ。
瞬殺である。業務終了!おつした!対ありでした!!
目視していれば、触れなくても、入れと思えば、入るという。
あいかわらずやべー性能をしてやがるアイテムボックスさんは、すべてに形あれと御霊が宿っている世界なら観自在でエゴーエイミホオーンなアレすぎて、もうこれ概念としてのナニカだと思うんだけど、まあ便利なので、それ以上は深く考えないし、求めないからウェル坊的にはドウでもいいのだ。
「ここにある分で石不足は解消しそうですか?」
ウェル君が最近得意になった、すっとぼけて話を進めるが発動!マッチョダブリュは固まって動けない。じいちゃんはある程度知っていたのだろう、しばし驚嘆していたが反応してくれた。
「そ、そうじゃな石不足はこれで解消しそうじゃ。しかしすごいのぉ」
「あはは、なんか出来ちゃいますね」
ってことで、あっという間に作業が終わったので石切り場の案内をして貰ってから帰る帰路に着いた。
行きと同じように何事も無く移動して、街に着いたら石工ギルドへ石を置いて今回の任務は終了。
よし!任務完了の巻!!移動半日作業10分!!
......郊外のデータセンターに、深夜に呼び出されてコマンド1文だけ打ち込んで帰るエンジニアみたいな気持ちが込みあがってくる気がするけど気にしない!
まあ、最初っから暇だから何かありますか?って話しだしね。うん!いい塩梅で一日を使えたと思いますですはい。はい。はい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます