148話 変わる日常

 我が家に王家の人が宿泊する事になって大分賑やかになった。

 

 家の中を知らない人が歩いているっていうのは、なんとなく落ち着かないけど、ここは我儘言える所じゃないだろうし、受け入れている。

 

 王族って事は、政治も続けなきゃいけないだろうし、護衛は当然必要だろうし、身の回りの世話をする係も必要だろう。

 

 人が増えたことによって、雑事も増えたようで元から家にいたメイドさんが忙しそうにしている。王家の世話係っぽい人に質問されてるっぽい姿を頻繁に見かける。 

 

 家で使っている生活用品だったり、水回りが再現できる範囲で前世の品質に改造されていて、使い勝手が違ったり用途不明な物が多いんだろうなと思う。調理のピーラーからはじまって、トイレの仕組みや掃除用具まで色々な物の使い方を質問されている姿を見かけた。

 

 そしてそれらの日用品に関して、ひと悶着というか話し合いも沸き起こっていた。

 

 利便性があったり、魅力的に見えた物に対して、どうしたら手に入りますか?どこで買えますか?みたいなやり取りがアチコチであったようだ。王家付きのメイドさんとか料理人さんは、ある程度の身元保証も居るだろうし、どこぞの貴族の血縁だったりするせいもあるんだろうね。

 

 マゼッパさんに事の顛末含めて説明と相談をされたので、商業ギルドが関わるような話を含めて、こちらに適度な利益が出て面倒事が起きなければ、模倣や複製品を作成してもらっていいとだけ伝えて処理をお任せしておいた。

 

 前回、各種資材を買ったとき偉そうなエリマキトカゲが居たので面倒事を避けたのではないのだ、負けたわけではないのだよ!我が軍は!

  

 ......まぁ、特許庁みたいな半端な組織は無かったと思うので、ややこしい事にはならないだろう。

  

 そして、なし崩しと言ったらリア殿下に申し訳ないけども、王族の婚約者候補となったので、父さん達や王様の勧めもあって王族に同行してきたデトレフ殿下とリア殿下の教育係の人に教育を受けることになった。

 

 教育には学科という概念は無いようで、歴史、社会制度、貴族の作法、算数、魔法......etcと各国分の知識を雑多な感じで教わっている。

 

 基本的な事は転生前にホウさんに教わった通りだったけど、貴族の作法や歴史については知らないことが多かった。まあ歴史は権力者が書くものだし、事実ではないのだろうしね。

 

 算術に関しては、レベルやステータスが数字で表されている事もあって、ある程度は発達しているかな?......と思ったら、あんまり複雑ではないようだ。

 

 まあ世界的に、物の経年劣化を計算するだの、投げた物の飛距離を導き出す為に空気抵抗だの時間経過だの複雑な要素あちこちから持って来て考えるより、もっかい投げろ!届くまで投げろ!ならば近づけ!でいいのかもしれない。

 

 ちなみにデトレフ殿下お付きの教師は男性で、リア殿下には女性の教師がついている。なので貴族の作法はデトレフ殿下と一緒で、それ以外の座学はリア殿下と一緒って感じに勉強をしている。

 

 教育に関しても理解力に困る感じ事は無いので、気持ちとしては流し気味に習得だけしている感じかなぁ。

 

 ......詳しい事は思い出せないけど、前の世界でも勉強自体はそんなに苦手な方じゃなかった気もするしね。

 

 

 そんな感じで日常のルーティンに勉強が入ってきたけれども、勉強が長引いても午後からは自由になる感じの日程で行動している。

 

 起床して、素振りや軽い運動をして、朝食をとって、勉強して、昼食をとって、午後は自由ってのが基本生活、各国の人が集まってくるまでは、もう少しかかるらしいのでしばらくはこんな生活のままだと思う。

 

 父さんたちのお店は、改装したばっかりなのには休みになってしまっているので、セレネ姉さんと遊ぶ機会が増えて嬉しいけどね。

 

 世界が違うから価値観が違うのは当たり前なんだろうけど、自分と1歳位しか変わらないセレネ姉さんが働きづめなのに、自分は自由ってのは違和感というか罪悪感というかね。

 

 まあうちのお姉ちゃんはいっつも明るくて楽しそうに仕事してるセレかわちゃんなので普段は気にならないけどね、やっぱねぇ格差を感じてしまう。

 

 ってなわけでちょっと環境が変わって賑やかだけど、対してやることの無い日々になったので......。

 

 明日辺りから、午後に出かけたりブラブラしようと思って夕飯のタイミングでみんなと話をしておでかけをする事にしようと思う。


まあ、なんかしらのお手伝いがあるならしますよ?って前提はあるんだけどねぇ。

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