145話 会場入りでござるぅ

 躱したり差し込まれたりしつつの事前打ち合わせも終わってパーティである。

 

 パーティ自体は当然ながら、我が家ではなくマイヤ邸で行われることになっている。

 

 僕は礼拝堂ツアー前に着替えている礼服みたいな恰好のままです。うーん窮屈w

 

 マゼッパさんには、執事風の恰好に若干女性らしさを加えた感じの服装をオーダーメイドで作った。デザインからの発注なんだけど、こちらの世界では高級そうな一点物だけど、前世のリクルートスーツを来た女子大生って感じ見えてしまうのは否めない。まあ、それは僕の問題であってメイド隊は斬新だとか大絶賛していたし、マゼッパさんも素敵なお召し物と言ってたのでいいでしょう。

 

 マゼッパさんと二人で近場なので徒歩でマイヤ邸へと移動する。

 

 道中で恰好つけてエスコートっぽく腕組み!なんてのは身長の関係で無理なので、程良い距離感で並んで歩く、最初は従者っぽくやや後方を歩いていたのだけども、先ほどの婚約云々の話もあるので並んで歩いてもらう事にした。まあ、そんな野暮な説明までは口に出さないけどね。

 

 マイヤ邸につくと、元々高位貴族達は泊まって居たこともあって、すでに用意が終わっているようだ。きっと時間調整なのだろう。ガーテンパーティ風なものが開催されており、女性陣は、お茶やお菓子と雑談に花を咲かせ、男性陣は一部お酒を口にしながら小難しい話でもしているようだ。

 

 興味のような畏怖のような形容しがたい視線をうけつつ、マゼッパさんが進む方法に足並みを揃えてマイヤ邸へと移動していく。

 

 近くを通った際に横目でみたら、お酒やお茶らしきものを口にしながら立食で数人単位で固まって会話をしている。まあ普通の立食のお茶会って感じ、ただ各人に執事的な人が付いて指示みたいなのをメモしているから、元の世界の観桜会みたいなもんなんだろうね。ここで家系の政治と国の未来が決まるって言うね。

 

 マイヤ邸に入ってからは、先ほどの暫定的なリア殿下の婚約者という位置づけもあって王家主導の段取りにお任せすることになった。僕は男性組として割り当てられた部屋で、陛下、デトレフ殿下の王族男子組と一緒に服飾や段取りの最終調整です。王族なので本来なら各人が個室で支度をするらしいのですが、陛下のご希望って事で仲良く準備です。

 陛下お付きのメイド長的な人が、この部屋割について陛下に小言を言ってて面白い、結構な年齢だから乳母からの付き合いとかなんだろうなぁ、国で一番偉いのはこのメイドさんちゃうかなw

 

 なんてアホな事を考えつつ、いつの間に近くにポップしたTHE☆セバスチャンな人に段取りの説明を受けた。

 

 入場の順番や座る席、挨拶の受け方、料理を食べるタイミング、そして何やら僕から全員に話をして欲しいとの事。内容はお任せらしい。

 

 話す事ねぇ......礼拝堂の在り方、自分の立ち位置くらいかねぇ。

 

 まっとりあえずの段取りは、爵位順に入場で、僕はリア殿下をエスコートするので王族組として最初の入場時になるらしい。なんだか偉い事になってんなぁ。2重の意味で。

 

 そんなこんなで段取りを確認したり、話す内容を考えたりしていると段々と日が暮れてきてパーティの時間が近いようです。

 

 ここからは、パーティ用の装いに変えた王妃様とリア殿下と合流して待ちかな?そいうえばマイヤさんとマゼッパさんはどうしてんだろ?ってホストだし忙しいか。そしてマゼッパさんはなんだろ?お手伝いでもすんのかねぇ。

 

 また脱線思考をしていると、ノックの音がした。それに陛下が「入ってよい」と声を返すと、さっきのご長寿メイドさんが呼応してドアを開ける。


 大きくドアが開かれると、パーティ用の装いに変えた王妃様とリア殿下ともう一人知らない女性が入って来た。

 

 王妃様はなんというんだろうか、裾が大きくひろがって胸がざっくり開いた濃い緑に近いような色のドレスだ。うっへーむっちゃセクシー、なんだっけ胸を強調するのは現役ですって意味合いもあるんだっけか。まだまだ産みますよってことなんかねぇ。でけぇ!。

 

 リア殿下は、、、、おおう僕の好きなフィッシュテイルっぽいフォルムのドレスだよ。色は淡い赤だ。朱色っていう程薄くないし赤っていう程には濃くない絶妙な色。膝ちょい下まで足出てるけど、足を見せるのは、はしたないって文化では無いんだね。よきよき、って足は滝に行った時に水遊びで十分見たな。うん、良かった。

 

 もう一人の知らない女性はデトレフ殿下の方に歩いていく、リア殿下の赤より濃い赤を着ている。この色合いもなんかルールあるんだろうなぁ、知らんけど。この人も胸がごっつい出てる感じ、まだ大きい感じではないけど。これで何歳位なんだろ?殿下と同じだと13?だっけか?たしかそんな感じだったはず。

 

 全体を観察しながら突っ立っていると、リア殿下がこちらに向かって、ゆるやかな笑顔を作りながら歩いて来るので迎え入れるように少し歩き出す。

 

 手を取りながら装いを褒めておく、こういうのは大事だからねぇ。

 

「まるで今宵の月のように、穏やかな慈しみを称えたお召し物ですね」

 

「っ・・・ありがとうございます」

 

 真っ赤な顔をして下を向いてしまった。効果は抜群だ!!!

 

 同じように王妃様を受け入れた陛下が揶揄うように殿下へと声をかける。

 

「よいか?デトレフよ、あのようにやるのだぞ」


「はいっ、しかし驚きましたウェル君は詩の才能もあるのですね」

 

 なんだよあのように「やる」ってwってこれ詩か?ああ物語の無い世界だもんな、これは充分詩的で文化的な誉め言葉なのかもしれない・・・。

 

 3人ともエスコート役におさまった所で知らない女性の説明をうけた。公爵令嬢でデトレフ殿下の婚約者らしい。僕の事は控室であらかた聞いてきたらしく、仲良くしてほしいと言われたので、こちらこそと無難に回答しておいた。仲良くってのはエステとかだと若干困るけど、まあいいか。

 

 そのまま、侯爵令嬢さんを挟んでゆるやかに会話をする。彼女の気になる事などを答えつつ過ごしているとパーティの時間になったらしいので、まだ顔が赤いリア殿下をエスコートしつつ会場へと向かう。後ろから「見ろ、お似合いではないか」とか「あら?あなたは私へ詩を送ってくれないのかしら」とか揶揄いの半分の小声での談笑が続いていた。おのれぇ・・・、そしてリア殿下にはクリティカルすぎたんか。きをつけよ。

 

 やがて会場から銅鑼よりも、ちょっと高いシャーーンとでも表現するような音がして入場となった。

 

 僕は、ピシッとした背筋で結婚式のような気分で、リア殿下をエスコートする。遠くから「平民の子だったのではないか?」「なんとお似合いな」「リア様をエスコートするのか」等の各種戸惑いの声が聞こえる。

 

 そりゃ、さっき決まった大事があるし戸惑うわな。まあ知らんけどw

 

 ちなみに公爵令嬢さんをエスコートしているデトレフ殿下は僕の次、そして最後に陛下と王妃様という入場順です。偉い人が最後って感じだけど各組の入場は着席するまでが一式で座らないと次が始まらない。

  

 入場してカーペットの端につくと執事のような人が席へと案内してく・・ってマゼッパさんやんけ。まあマゼッパさんが席に案内してくれた。

 

 その後、デトレフ殿下が入場し、最後に陛下が特別な演奏付きの入場を終えてパーティがはじまった。

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