86話 報連相は大事どすえ砲撃連射掃討
マイヤさんの都合を伺ってから数日後、早朝から迎えの馬車が来てマイヤさんの邸宅に向かう事となった。
あいかわらず、ブライアンはお出かけしているので1人で向かう事にした。
今日迎えに来てくれたのはマゼッパさん。
ここのところ少しだけ物騒だったので、ティアンヌさんに護衛も兼ねて同行してもらう事が多かったが、今回は街内での移動という事で来てくれたらしい。
そんなこんなで顔を見て無かったけど、元気そうでなによりです。
そして、馬車に乗る時は向い合って座るもんじゃないかな?
ほら、この馬車結構広いんだしさ。膝の上に乗りますか?では無いと思うよ?
まあ、久しぶりに会ったので多少のスキンシップはアリってことでいっかな。
膝に乗せてご満悦のようですし、後頭部にエアバッグがあるような無いような感じですしおすし。
妙に距離感の近いマゼッパさんに圧倒されつつも、狭いようで意外と広い街並みを馬車で移動した。
道中、少し照れくさいというか落ち着かないので、馬車から外を眺めながら今回マイヤさんに聞くべき事を少し整理しておく事にした。
この手の決め事や相談が多い話って整理して話さないと、問題点だけ浮かんできてスムーズに進まなかったりするんだよねぇ。
ちょっと賢くない人と話すと、そんなことをしたらこうなるに決まってる!とか騒がれちゃうやつだよね。anytime anywhere脊髄反射。俺の勘は当たるんだよ、こういうのは直感が大事、女の勘は鋭いとか言う類の話って、いつも勘だの直情で動いて深く考えて無いから試行回数多くて「良く当たる」って勘違いしてるだけですよね問題。
まあ、マイヤさんはしっかり話を聞いてくれるから大丈夫だろうけど、相談する身の礼儀としてある程度整理しておくのは大事だよねってことで、考えていきますか。
一番は僕が一人で暮らし始めますよって話だね。
わが家の改装と規模拡大に伴って将来的に家を出る予定の僕は、このタイミングで家を出ようと思いますよって話だよね。これ大前提だもんね。
次に、家を持っても良いか?という話だよね。
これは、土地や家屋の権利の在り方や税金に関わってくるだろうから未成年が保持していいかってのが相談の要点になるのかな。
その次は、購入費用として金銀を使っていいか?って話だね。
金銀の純度高すぎて世界的にオーパーツに近いから、簡単に換金するのは問題あるよって話もあるんだよね。
うーん、ここは話の流れ次第だよね。マイヤさんが換金して王家に献上だったりってのもあるかもしれないしね。
そして最後は天使さんズの像を動かしますよって話になるのかな?
それに伴って宿屋に派遣していた護衛メイドは要らなくなりますよ。ってとこがマイヤさんに直接関係あるとこだよね。
教会云々はまだ少し燻ってるだろうから判断難しいけど、まあ人の出入りが激しいところから別の所に移動しますって話だよね。
まあ、簡単に話すと僕の拠点が変わるから連鎖して色々と考え直さなきゃいけない事が出るよね。
ってことなんだけど、具体的な事は追々詰めていくとしても大きな所は決めておきたいね。
そんな風にツラツラダラダラと考えていると、あっという間にマイヤさんのお屋敷についた。
ちょっと前まで過ごしてた王都の屋敷に作りが似ているので違和感が結構あるなぁ、なんて思いつつ案内されるままに談話室に移動をした。
談話室内には、すでにマイヤさんが居ておじいちゃんみたいな執事さんと何やら仕事っぽい話しをしていたのだけど、僕が到着したので切り上げてくれたみたいだ。
「マイヤさんお忙しいところすみませんー」
「いいのよー、頼ってくれてうれしいわ。立ち話もなんですから、こっちへ」
マイヤさんは王都ツアーの影響もあるんだろうけど、すごくフレンドリーになったなぁ。
お話しをしていた執事さんには、ごめんなさいと軽く頭を下げておいた。穏やかな笑顔で返された。大人の対応だ。
勧められるままにソファに座って、メイドさんが給仕してくれたお茶をいただきながら王都から戻って来てからの約1週間程の出来事を雑々と話し合った。
なんでも聞くところによると、マイヤさんにお見合いの話が多数舞い込んでいるらしい。
なんとも言えない顔をしながら「少し前までは養子のねじ込み話しだったのですがね」との事、そっか貴族としての家名というか領地の継承があるもんなぁ。
子供を産めるなら結婚を産めないなら養子をって政策で行うってことだよね。貴族社会の感覚はさっぱりわからないけど、恋愛感情的にはネガティブに捉えちゃうなぁ。
貴族の子ってのは、幼い時からそういう風に教育されてるんだろうけど、自由恋愛や身分云々を抜きにした結婚ってのは案外贅沢な事なのかもしれないね。
こちらからは、きっと情報が届いているだろうけど、冒険者を一時的に助けたけど無意味になりましたって事を一応伝えておいた。
話は聞いていたようで苦笑いされてしまった。まあなんとも言えないよね。
雑談で場の空気も大分ほぐれて来たので、本題を切り出して行くことにした。
「さて、そろそろ本題なんですけど」
「そうね、つい話し込んじゃったわね。どうぞー」
「はい、色々と理由はあるのですが、近いうちに宿屋から離れて独立して生活する事を考えています。
それに伴って、お家を購入する事についての相談をしたいという事。
そして天使像を新しく住む所へ移動する事についての相談ってのが、今日の本題です」
「事前に要件はメイドから聞いていたけど、宿屋さんを出て暮らすのね」
「そうですね。家の方で宿を主体じゃなくて料理を主体にして店舗を改築するという話が出ていまして、それに合わせる感じですね」
「ウェル君のお父様の料理はおいしいですものね」
「あはは、ありがとうございます」
「それで、お家を購入する事と天使様の像の移動がありますってことね。具体的には何か考えているの?」
「はい、少しだけですが。まずは子供が土地や家を購入保持していいのかという点と税金の部分ですね」
「そうね、それについては問題が無いと思うわ。あったとしても後見人としてご両親か私が名前を出せば済むはずよ。税金に関しては15才から各種税金がかかるけど、今回は15才以上として扱われると思っておいた方がいいかもしれないわね」
ふむふむ、まあそうだよね。どんな形になるにせよ払うって思っておいた方が楽ではあるよね。「常に最大の支出を想定して財を構えよ」ってね。
「それじゃ基本的には買う事は可能で大人と同等の扱いをされるって思っておきますね」
「うん、それでいいと思うわ」
「後は、天使さんズの像ですけど。これはそのうちに護衛が要らなくなるよって事前告知って感覚ですけど、あってます?」
「うーん、新しく買うお家に配置するなら。そちらに護衛を置いておきたいわね」
「なるほど、毎回僕が像をアイテムボックスにしまうのも、ちょっと違いますもんね」
「そうね、像の護衛に関しては環境で変わることもあるから後で話をすることにしましょうか。事前通達をもらった事を覚えておくわ」
「はい、その時はお願いします。それで家を購入する費用なんですが、金銀を使いたいなって思ってるんですが、どうしたらいいでしょう?ヴァルカンさんかマイヤさんだけにしか出しちゃダメかなぁって思ってるんですが」
「そうね、そうよね。アレはわかってる人にしか出しちゃダメね。いいわよ、私の方で換金するわ」
「ありがとうございます。これについても、まだいくらかかるか分からないから、もしかしたら使うかもって事でいいですか?」
「大丈夫よ。でもね、その前に私の方からウェル君に払っていないお金が沢山あるんだけど?
たぶんお家を買う位は余裕で出るわよ、絵やエステの代金とかね。
計算はしてあるけど、話題に出なかったからしてなかったわね。ごめんなさいね」
「いえいえ、僕も考えていなかったので大丈夫です」
ああ、そっか王都の貴族のエステ代とかはスライドして貰ったけど、そもそもマイヤさんから貰う分ってあったんだね。なんだか半分くらい家族気分だから忘れてた。
「そうしたら、相談としてはこれ位ですね」
「はい、わかりました。・・・それにしても1人で暮らす予定なの?」
「うーん、そうですね、1人だと思います。さすがに奥さんはいませんし笑」
「そっそうよね、どうしようかしら」
ん?なにか悩む要素ってあったっけ?まああるか、王都へ連絡したりお金の都合つけたり税収管理してるとこと調整したりと色々ありそうだもんね
「沢山、手間をかけそうな気がして申し訳ないです」
「いえいえ、いいのよ。うーん、もしよかったらお家を見繕うところから私に任せてもらっていいかしら?」
「私の名義で買ってから、私が個人的に売買したことにした方が楽だと思ってね」
ああ、なるほどね。税の支払い云々は別にしても購入する時の書類とか面倒減るかもね。
よし任せちゃおう。家は土地が買えれば好きに建て替えればいいしね。そう魔法でね。ってどっかの情報端末のCMっぽく考えておく。
「実務処理をする上で楽になる事が多そうですね、逆にお願いしてもいいですか?」
「うん、そうね。お願いされました!場所とかも全部こっちで決めちゃっていいかしら?」
「はい、特にこだわりは無いので、この街の中であれば良いです」
だよね?僕はなんのしがらみもないよね。街の中であればいいよね。
「さて!!相談はこれでおわりね!お昼の用意が出来ていると思うわ。いきましょう!」
んんん?なんか急に元気な感じだね、まあ元気なのはいいけど。
たしかにもうお昼あたりだね、お腹空いて来たや。お言葉に甘えちゃおう。
「はーい、ご馳走になります」
とりあえず、今回の目的は果たしたので、食堂へ移動しようと立ち上がったマイヤさんに合わせて立ち上がり、一緒に食堂へと移動して食事にする事にした。
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