「嘘つきの義妹に婚約者を寝取られ、婚約破棄されましたが、何故か隣国の王子に求婚されています。私の作った薬が必要と言われても、もう遅いです! ホワイトな宮廷で薬師として雇われたので」
【義妹SIDE】王女リノアと帝王がのたうち回る
【義妹SIDE】王女リノアと帝王がのたうち回る
「……げほっ……ごほっ……ごほっ」
「……げほっ……ごほっ……げほっ」
王女リノアと帝王は親子仲良くベッドで苦しんでいた。二人は流行している伝染病にかかったようなのである。
(ふふっ……良い気味ですわ……最高の眺めです。ざまぁみろですわ!)
その様子をディアンナはほくそ笑んで見ていた。この時ばかりはディアンナの人間性が歪んでいるからそう思えるのだ、とは誰も思わないであろう。
二人の悪辣非道ぶりからすれば、因果応報というより他にない。まさしくざまぁみろという感じであった。
「パパ……苦しい、苦しいです。リノア、とても苦しいです。げほっ! ごほっ!」
「そうか……リノア、苦しいか。我も苦しいぞ。げほっ! ごほっ! げほっ!」
リノアと父、帝王は咳込み、大層苦しんでいた。
恐らくはディアンナが昔かかった伝染病と同じ種類の病に二人はかかったのだ。ディアンナは前にかかった事で抗体ができていた、恐らくはそんなところである。
ディアンナにとって病にかかった事は最悪の出来事ではあったが、それでも怪我の功名のような部分があったようだ。おかげでディアンナはその病にかからなくて済んだのである。
その点、あの時の不幸な体験に僅かばかりの感謝をしなければならない、そうディアンナは思っていた。
「パパ……苦しい、苦しいです。リノア、このまま死んでしまうのですか? そんなの嫌です。げほっ……ごほっ! ごほっ!」
「げほっ……ごほっ! ごほっ! ば、馬鹿を言うな! リノア! 我がそんな事をさせるものか! なんとしてでもこの病を治してみせる! リノア! 決してお前を死なせはせん! 死なせはせんぞ! げほっ……ごほっ! ごほっ!」
帝王は娘に語り掛けるが、同時に猛烈に咳込むのであった。
「で、ですがパパ……どうするのですか? どうすれば私達は治るのですか? げほっ……ごほっ! ごほっ!」
「それはだな……闇市場から治療薬を取りよせよう。なんでもこの手の症状に効く、特効薬があるらしいのだ。げほっ……ごほっ! ごほっ!」
「それは本当ですか! お父様!げほっ……ごほっ! ごほっ!」
「ああ。そうだ。その薬を飲めば、我とリノアの病は立ちどころに治るであろう! げほっ……ごほっ! ごほっ!」
帝王とリノア王女はそう語っていた。伝染病にかかっているのは帝王とリノア王女だけではない。国民のうちの多くがその病に蝕まれているのだ。
しかし、傲慢で自己本位な帝王とリノア王女は当然のように我が身を可愛がるだけであった。同じように苦しんでいる国民の心配など一切していないのである。
「そうなのですか。パパ……で、でしたら一刻も早くその薬を飲ませてくださいげほっ……ごほっ! ごほっ!」
「ああ。勿論だとも。今手配している最中だ。げほっ……ごほっ! ごほっ!」
二人はその治療薬を調薬したのが敵国ルンデブルグの薬師であるアイリスである事など知らず、その治療薬を求めた。
そんな事はどうでもいいのだ。二人にとって今は目の前の病を治す事こそが最重要だったのだ。作っている人物が誰かなど、二人には関係がない。
こうして二人は治療薬を手に入れるのであったが、それで万事解決とはいかなかった。
なんと、手に入れた治療薬は大した効果を発揮しないという結果に陥ったのである。
こうして二人は更なる窮地へと陥っていくのである。
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