純文学
「羅生門」21.02.19
タイトル「羅生門」
筆者 芥川龍之介
私は芥川龍之介に詳しくない。羅生門以外の作品は?と聞かれても「さあ?」と答えられる程度の知識だ。
しかし羅生門は知っている。
学生のときにやったからだ。
ただそれだけの理由で読んでみようと思った。
結論から言うと、「こんな話だったのか」という気分になった。
よくもまあ中学生レベルにやってまともに理解できると思ったな。あるいは私が馬鹿だったのだろうか。ともかく内容はとても子供向けとは言えない。当時の私は理解していなかったのは間違いない。なにより、こんなにも感情の機微に敏感で、情景の描写が明確にされている物語だとは知らなかった。さすが文豪である。
視点とはなにか。そういうことを細かく考えて小説を書いている自分が馬鹿なのではないかと思うほど、よくわからない描写の仕方をされている気がする。一貫して神──この場合は芥川龍之介だろうか──と、下人の目線で物語は進むが、ちょっとしたメタなんかがあるのも面白い。
さて、ものがたりは平安の世。
天災、飢饉、疫病で、京の夜は恐ろしくあった。
そのなかでも整備など捨て置かれた羅生門。死体が投げ出されることもあるような場所。
キリギリス1匹しかいないような寂しく虚しくおどろおどろしい羅生門で、もはや盗みを働くしか生きるすべはないと思いながら、悪にそまれずに悩む下人がいた。
学生のとき、なぜ「盗人になるより他にない」と思ったのか、文中から抜き出して答えよ。というテスト問題があった気がする。そんなもん仕事がネーからだよ。とは今の私の思いである。
彼が暖をとろうとしたところ、一人の老婆に合う。
この老婆と出会うことでおきるのは、下人の心の凄まじい変化だ。
この変化の描き方といったら、まったく難しく書かれているわけでもなし、単純明快に描かれている。このままの文体でラノベに持っていっても別に良いのでは。と私は思ったほどだ。
それだけわかりやすく、はっきりとした心情の変化を、行動や表情からうまく表現しているということが、どれだけ難しいことか。
さすが文豪である。これは二度目だが。
相変わらず疑問なのは、なぜ老婆の服をはぎ取っていったのか。
彼が出した勇気とは、なんだったのか。
盗人になる勇気か?
正義の執行人になる勇気か?
老婆を懲らしめたかったのか?
あの着物は売りに出されるのだろうか。
そのあたり、語らないのがよいのだろう。
男はただどこに行ったともわからぬらしい。
それはどこかへ本当に言ってしまったのかもしれないが、諦めて野垂れ死んだ可能性も残しているようである、やはり下人が何をしたかったのか、私にはわからない。
本を読みなれた誰かにはそれがわかるのだろうか。
さて、一作品目の感想としてはこんなものである。
この程度しかかけないのである。
文豪の作品でもこうなのだから、Web小説などきっとかけやしないのだが、まあよかろうなのだよ。
次は何を読もうか。
三日坊主にならないことを願うばかりである、
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