君と嘘


「また明日ね」


 今朝、君はそう言って僕の前から姿を消した。

 今日は私用で学校を休むと言っていたが、病院へ行くことは知っている。

 母さんと君のお母さんが昨晩、話しているのを聞いたんだ。

 きっとまた入院しなくちゃいけないんだって。知っているんだよ。



 どうして平気で嘘をつくんだよ。テキトーな事言うなよ。


「エイプリルフールの嘘が本当になったら私、嘘つきじゃなくなるでしょ」


 また訳の分からないことを。そんな不確かなジンクスは、希望は、もう飽き飽きなんだ。

 もし君が入院するならお見舞いに行くし、万が一死んでしまったら······しこたま悲しむよ。



 君が何の病気かも知らないけれど、僕も君の嘘が本当になればいいと思う。僕もひとつ、嘘をついてみようかな。



「明日、デートしような」


 付き合ってもいない君と、明日を約束しよう。

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