君と嘘
「また明日ね」
今朝、君はそう言って僕の前から姿を消した。
今日は私用で学校を休むと言っていたが、病院へ行くことは知っている。
母さんと君のお母さんが昨晩、話しているのを聞いたんだ。
きっとまた入院しなくちゃいけないんだって。知っているんだよ。
どうして平気で嘘をつくんだよ。テキトーな事言うなよ。
「エイプリルフールの嘘が本当になったら私、嘘つきじゃなくなるでしょ」
また訳の分からないことを。そんな不確かなジンクスは、希望は、もう飽き飽きなんだ。
もし君が入院するならお見舞いに行くし、万が一死んでしまったら······しこたま悲しむよ。
君が何の病気かも知らないけれど、僕も君の嘘が本当になればいいと思う。僕もひとつ、嘘をついてみようかな。
「明日、デートしような」
付き合ってもいない君と、明日を約束しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます