第170話魔法の練習
カーラちゃんの質問に答える前に敵が来そうだったので、カーラちゃんと話しをしながら様子を見る事にした。
「収束の仕方は紙を丸めてぎゅっと握る感じかしら?」
カーラちゃんに説明したけどカーラちゃんはいまいち実感が湧かないみたい。
う~ん良い練習方法無いかしら、他にイメージしやすい物は・・・あ、これなら少しは感覚が実感できるかも。
私はストレージから布の端切れを出してカーラちゃんに渡す。
「これを丸めてぎゅっとする感じが一番近いんじゃ無いかしら?」
私は言いながら同じ様に端切れを手の中で丸めてぎゅっと力を入れて握った。
その様子を見ていたカーラちゃんは私と同じように端切れを丸めて真剣な顔で握っていた。
「にゃっ、魔物が来るにゃ、この匂いウルフにゃ!」
キャトルーが鼻をヒクヒクさせながら耳を動かし叫ぶ、キャトルーの声を聞いて皆の顔が強張った。
皆はキャトルーの見ている先に意識を向ける。
緊張して剣を構えるアントニーくん、横に並び森を睨むチェスターくん、その後ろでいつでも魔法を撃てるようにカーラちゃんが杖を前に突き出す。
エイミーちゃんも前を見て身構えている、キャトルーは仕切りに匂いを嗅ぎ耳をクルクル動かしている。
できれば子供達に気付いてもらいたかったけど仕方ないわね。
キャトルーはこれでも森で生き抜いてきたから、感覚が鋭いのかもしれないわね。
私が皆の動きを見て考えているとキャトルーが瞳孔を細めて叫んだ。
「来るにゃ、正面から2匹左右に1匹ずつにゃ!」
キャトルーの指示で皆は密集して構える。
密集したと同時に藪からウルフが飛び出してくる。
「エイミーちゃん一度障壁魔法を見せるわね、よく見ておいてね『プロテクション』」
私はエイミーちゃんに声を掛けると障壁魔法を使う、私達は一瞬で薄い光の膜に覆われ、飛び掛かって来たウルフが壁にぶつかり悲鳴を上げながら跳ね返された。
それを見て真剣な顔で考え込むエイミーちゃんと驚き目を見開く子供達、半円上に覆っているため4匹のウルフは壁の外に転がっていた。
私の魔法に驚いた子達は追撃を入れずにこちらを見えいたので、私は微笑みながら。
「今が一番の好機だと思うけど?」
私が呟くとアントニーくんとチェスターくんがハッとした顔でウルフに目を向けて武器を構えて向かっていく。
「うりゃあああ!」「シッ!」「『ウォーターショット』」
子供達はそれぞれ獲物を決めて攻撃を繰り出す、私は残りのウルフが子供達に向かわない様に『プロテクション』で跳ね返されて体制を立て直そうとするウルフの頭を叩き割る。
アントニーくんの攻撃をウルフはバックステップをして避ける、チェスターくんの突きもウルフに軽く避けられてしまった。
カーラちゃんの『ウォーターショットだけはウルフの腹に当たりウルフを後ろに吹き飛ばす。
だけど止めには至っていない様で、魔法を食らったウルフは震える足で立ち上がろうとしていた。
「くそ、当たらない!何で当たらないんだ!」
アントニーくんは剣を振りながら愚痴る。
そんなアントニーくんを見ればなんで当たらないか直ぐに分かった。
アントニーくんは腰が引けていて上半身が剣の重さに振り回されていた。
「こっちも当たらない!実戦ならこの間したばかりなのに・・・」
チェスターくんも突きを繰り出しているけど、避けられてしまっている。
チェスターくんのは何かためらってるような感じね、私はあの誘拐事件で終わった後でついたから詳しくわからないんでけど、チェスターくんはあの時初めて人を殺した。
そのことを引きずってるのかもしれないわね、私だって覚悟はしてるつもりだけど、実際人を殺すことになったら、やっぱりためらってしまうと思うもの・・・。
こればかりは乗り越えてくれることを祈るしかない、人を殺したことの無い私が励ましても逆効果になりそうだもの。
そう考えるとこの狩りで吹っ切れてくれれば良いわね。
「二人とも冷静に落ち着いて訓練道理にすればきっと当たるから、今までいっぱい練習してきたんだから大丈夫よ」
私が2人に声を開けているとカーラちゃんが魔法をもう1発打ち出した。
「布をぎゅっとする感覚で!『ウォーターショット』」
カーラちゃんの水礫がソフトボール大から卓球の球ぐらいに収束する。
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