第166話青年を振ってみた
青年の言葉に私は一瞬何を言ってるのか分からなかった。私が呆けていると青年はさらに話掛けてきた。
「僕はこのトラットの領主の息子だ!その僕と結婚すればこのトラットの領主夫人だぞ、こんな所で露店なんかやらずとも路頭に迷うことも無いいい話だと思わないか?」
私が返事をしないものだから、この人自己アピールし始めちゃった。
周りの列に並んでいたお客さんも面白そうに笑って事の成り行きを守っている。
子供達もどうなるか静かに見守っている状態だ。
「すいません、私は今誰とも付き合うことは考えていないんです、この子達が自立できるようになって余裕が出来てもお付き合いするかはわかりません、それにあなたのことを良く知らないですし」
私が告白を断ると青年は大げさに肩を落とし。
「そんな、この僕がまさか振られたのか?有り得ない・・そうだ有り得ない彼女は誰とも付き合うことは考えていないって言ったじゃ無いか!ならばまだ僕にも付き合える可能性があるはずだ。
あきらめなければ大丈夫なはずだ!」
青年はブツブツと囁きながら俯いている。
そんな青年を見ながら私はため息をついてしまった。
恋愛は興味が無いわけじゃ無いのよ、でも今は子供達の自立が先よね。
でも恋か~別にイケメンは好きよ、恋愛ゲームも大好きだったし2.5次元の舞台とかもよく行ってた。
私のタイプ的に守ってくれる包容力のある人がタイプかな、イケメンならなおよし!後は話が合えば良いわよね。
そう考えるとアーサーさんは私のタイプだったのかもしれない、一緒にいて楽しかったしパーティーでもギルド戦でもすごく頼りになったもの。
私が自分の好みを考えているとエイミーちゃんがカツサンドとハンバーガーを持って来てくれる。
「こちら、当店の料理になります、こちらがカツサンドでこっちがハンバーガーです」
私は青年にカツサンドとハンバーガーを渡しながら説明する。
青年は珍しそうに眺めてから噛り付いた、そんな青年の行動に老紳士は止めようかとしたみたいだけど、すでに食べてしまっているので止めるのを止めたみたい。
しばらく咀嚼していた青年は口の中のものを飲み込み声を上げた。
「美味い!貴族の昼食でも十分通用する美味さだ!肉の臭みを感じないしちょうどいい歯ごたえに肉の旨味も感じられる。
それにこの周りを包んでいる物のサクサクとした食感がまた食欲をそそる。
こんなに美味い物は貴族の食卓でもなかなか無いぞ!?それが500ローンとはどういうことだ?
貴族の通うような食堂は大体1品1000ローンからするはずだ!この安さでは利益が出ないのではないか?」
青年は一頻カツサンドを誉めながら利益が出ないのでは無いかと聞いて来た。
でもちゃんと利益は出ているのよね、まあ実際お酒と塩を臭みを取るだけにあんなに使ったら利益なんて出ないと思うけど、そこは私がいるもの使えるものは使わないとね。
「利益でしたらちゃんと出ていますよ、肉はウルフの肉を使っていますし、その肉も自分達で狩りに行っています」
私が青年の言葉に返答すると、青年は驚いた様に目を見開いて私の後ろにいる子供達を見た。
「まさかそっちの子供たちが狩ってきたのか?武装はしているみたいだが年が10歳はいっていないだろう?」
青年の疑問に私は返答していく、私は子供達を危ない狩りになんか連れてくわけないからね、その辺はきっちり理解してもらわないと。
「狩りは冒険者登録をしている子達と私やアベルとマーナでしていますよ、狩りは危ないですからね、せめて冒険者登録してからじゃないと・・・」
私が青年にそう言うと後ろで呼び込みをしていたアントニーくんが。
「えーーー!俺達だって戦えるよ、連れてってくれよ!訓練ばっかじゃ強く成れねーもん」
アント二ーくんが愚痴をこぼし、チェスターくんは苦笑いを浮かべ、カーラちゃんはこちらを気にしていないふりをしながらちらちらとこちらに目を向けていた。
あれ?これはほっといたら子供達だけで外に出たりしそうね、でも本当に危ないから狩りには連れていきたくないのだけど。
「いやすまなかった。狩りは冒険者登録している者がいっているんだな、だがあなたも行ってるのは危ないのではないか?
可憐なあなたが狩などに出て怪我をしてしまったら、綺麗な肌に傷が出来てしまうでは無いか!」
青年はそう言いながら私の手を取り顔を近づけて来た。
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