第140話配達

冒険者ギルドの休憩室にカツサンドを届けた私は、レインさんと話をしていた。

 

「なんだ、昼飯届いたって聞いて来たが、嬢ちゃんが持って来てくれたのか」


「こんにちはギルバートさん」


レインさんと話していた休憩室の扉を開けながら、ギルバートさんが入って来た。

 ギルバートさんは私に近づき、箱に入っていたカツサンドを手に取り。


「これがカツサンドか?なるほど面白い閃きだな、これなら手も汚れないし食器も必要ないのか」


ギルバートさんはカツサンドを一つ手に取ると、空いて居る席に座り観察してから噛り付いた。


「こりゃあ美味いな!何の肉だ?全然臭くないぞ?それにこの肉の周りにあるサクサクのが食感がよくて美味いな。

 それにこの独特の匂いと辛味が食欲をそそるな、こりゃ貴族に出しても文句いわれねーんじゃ無いか?」


ギルバートさんは食べた感想を話している間に、レインさんはギルバートさんの前にお茶を出し自分も手に取って食べ始めた。


「あら、前に食べたものより美味しいですね、これで500ローンなら安いですよね」


レインさんがカツサンドの感想を言いながら、ギルバートさんに尋ねると、ギルバートさんは頷き。


「そうだな、これだけ美味ければもっとしてもいいと思うからな」


私はギルバートさんとレインさんの感想を聞いていると、休憩室に昼休みの為か他の職員が入ってきたので。


「箱は夕方にでも取りに来ますね」


私は二人に声を掛け、冒険者ギルドを出ることにした。

 冒険者ギルドを出て、屋台がある商業ギルド前まで帰って来た。


「マリアおねえちゃんお帰りなさい」


私に気付いたラナちゃんが帰って来た私を迎えてくれた。

 少し遅れて他の子達も気付いてくれた。

 まあ、他の子達が気付かなかった理由は、仕事をしてくれているのもあるけど、○×ゲームに気を取られていて気付かなかったのもある。


「それじゃあ商業ギルドの分を揚げちゃいましょう」


私が言うとラナちゃんは元気よく返事をして、下に残して置いた商業ギルドの分を和え始めた。

 ラナちゃんが上げたカツをカーラちゃんがパンに挟んでいく、それをエイミーちゃんが箱に詰めていった。

 揚げ終わるまで少し時間が掛かったけど、注文の数を揚げ終わったラナちゃんはやり遂げた顔をしていた。

 私はできたカツサンドを持って商業ギルドに入る。

 

入り口から入った私に男性係員さんは話し掛けてきた。


「マリア様お昼のカツサンドですね、それでしたら一番左の受付にお願いします。

 そちらに渡していただければ、料金を受け取ることができますので」


男性係員の説明を聞き、私はお辞儀をしてお礼をすると、一番左のカウンターに向かった。

 そこには女性係員が待機していたので、私は持っていた箱をカウンターに置き、女性係員に声を掛けた。


「こんにちは、カツサンド届けに参りました」


私が女性係員に言うと、女性係員は満面の笑顔になり。


「待っていました、こちらがカツサンドですね、ギルドマスターが絶賛していたって料理食べれるなんて嬉しいです。

 ギルドマスターって結構美食家だから、あの方が絶賛されたなら間違いなしですよ」


女性係員はそう言うと箱の中を覗いていた。

そんな女性係員を見ながら微笑み。


「ありがとうございます。数の確認をお願いしますね」


私が言うと女性係員は数を数え始め、数え終わった所で頷き。


「間違いございません、料金はこちらになります」


女性係員はお金が入っている袋を取り出しこちらに渡してきた。

 渡された袋の中身を確認した私は袋を覗き込んでいた顔を上げ。


「間違いありません、お買い上げありがとうございました。箱は後で取に来ますのでよろしくお願いします」


私が女性係員に話掛け、女性係員は微笑んで頷いた。

 女性係員と話し終わり、私は商業ギルドを出ると、チェスターくんが丁度代金を受け取っている所だった。

 私が近づいて来たことに気付き、ラナちゃんが。


「マリアおねえちゃんさっきのお客さんで最後だよ!」


ラナちゃんの言葉に、私は驚きカツを入れていた場所を覗き込むと、中にはもうカツが無くなっていた。

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