第117話ただいま!

ギルバートさんとの会談の後私達は1階に戻って来た。

 階段を降りてきた私にレインさんが近寄ってきて。


「すいません、よろしければ治癒をしてもらいたいという、冒険者が沢山いまして」


レインさんがそう言うので私は頷いて、アベル達に向き直り。


「報酬受け取って置いてくださいね」と言いレインさんに付いて行った。


レインさんについて行くとすでに十人近くの冒険者が集まっていた。

 ギルドに隣接している、酒場の端にあるいつも治療に使うスペースに向かい、腰を下ろすと早速治療を始めた。

 私はが帰って来たことを聞きつけた冒険者や町の住人だろう人も混ざり、治療を行っていく。

 この頃は冒険者だけじゃなく、町の住人もかなりの数来るようになっていて、中には熱を出したという子供を抱えて来る、母親の姿も会った。


私は怪我や病気をした人たちを癒し、集まった人たちを治療していく。

 集まった人をどんどん癒していき、あっという間に集まっていた人たちを治療してしまった。

 治療された人たちは、私に感謝の言葉を残して帰っていき、一段落した所でアベル達と合流した。


「お待たせしました、そちらは終わりましたか?」


私が治療に使っていたテーブルの近くで、アベル達は飲み物を飲んで寛いでいた。

 私が質問すると、アベルが答えた。

 

「報酬は貰ってあるぜ、後は倒した魔物や拾ってきた魔物の受け渡しだな」


アベルに言われて私はそのことを思い出し、素材の買取カウンターに向かった。

 買取カウンターでは相変わらず、元気の良い大声の剥げたおじさんが、出迎えてくれた。


「おう、調査依頼から帰って来たんだってな!何か狩ってきたんか!」


その声に釣られて、冒険者達が私達に注目していた。

 相変わらず声が大きいわ、私達が何をしてきたかバレバレね。

 おじさんの声に苦笑いを浮かべて、ストレージから死体を取り出していく。

 私がストレージから出している間に、アベルがおじさんに話しかけた。


「おじさん、実は今回持ってきたのは調査中に見つけた死体ですので、肉や内臓は傷んでるかもしれない、だからよく見て買い取ってくれ」


アベルが拾った経緯を説明すると、おじさんは頷いて。


「了解だ!まあ傷んでたら買い取らねーから心配すんな!」


おじさんは大きな声で請け負ってくれて、私がストレージから出していく魔物を注意深く見ながら奥へ運んでいた。

 そして私がマーダーベアを取り出すと、辺りからどよめきが起こり、おじさんも目を見開いて声を上げた。


「嬢ちゃんたちは本当に運がいいのか悪いのか・・・ワーラントに続いてマーダーベアか、だが痛んじまってるな!コイツは内臓が薬になるから売れるんだが。

 この痛み具合だと売れるかわからんなぁ!もったいねーが仕方ねー!」


おじさんは大きな声で愚痴をこぼしている間もどんどん出していき、結局全部で13匹分あった。

 おじさんは1匹1匹確認していき、買い取り価格を割り出してくれた。

 

買取が終わった私達は、冒険者ギルドを出て孤児院に向かった。

 やっと帰れるわ、6日も離れていたけど、皆元気にしているかしら。

 出来る限りの物は置いてきたけど、大丈夫よね。


やっと帰れると思い、孤児院の子たちの事を考えていたら、心配になって来て、私は自然と早歩きになっていた。

 スラムの路地を進み孤児院のコテージが見えた所で、私は我慢できなくなって走り出した。

 奥のコテージの扉に走り寄り、扉を勢いよく開けた。


「ただいま!」


私が大きな声で帰還を伝えると、エイミーちゃんが私の方へ走り寄って来た。

 私は嬉しくなって、両手を開きエイミーちゃんを抱きしめれる体制を整えて待つと、エイミーちゃんは私に走り寄り、私の肩から飛び降りたキャトルーと抱きしめ合った。

 えーーーーそっちかーーーーー!!


「きゃとるー」「エイミー」


2人はお互いの名前を呼び合って抱きしめ合い、私はその横で膝をつき項垂れてしまった。

 私が項垂れていると、ラナちゃんが気遣いながら話し掛けてきた。


「・・・お帰りなさい」


ラナちゃんの声を聞いて私は顔を上げ立ち上がると「ただいま」と返した。

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