第110話朝食の一時

俺達はそのまま見張りを続け、途中魔物が近寄って来た気配は有ったものの、襲いかかってくる事は無く、見張りを続けることができた。

 そんな2人は、東の山が明るくなり始めるのを2人で並んで見ていた。

 

「ふう、もう朝か、案外早かったな、少し眠いけど、顔でも洗えば眠気も無くなるだろ」


遠くに見える東の山を見つめながら、俺は話しながら欠伸を一つして川へ向かった。

 アトムはその場で、両腕を上に伸ばして背筋を伸ばしていた。

 俺は川で顔を洗うと持ってきていた手ぬぐいで顔を拭いて一息ついた。


俺が焚火の場所に戻ると、アトムが焚き木を拾ってきていたらしく、アトムの横には小枝が積んであった。


「すまないな、焚き木拾って来てくれて」


俺が礼を言うと、アトムは頭を下げ。


「暇でしたから」


アトムは俺の礼に答えると、焚火に向いて枝で炭を動かしていた。

 俺はそんなアトムを見ながら、焚火の近くに腰を下ろして話しかけた。


「あと少ししたら、2人を起こそう」


俺が提案するとアトムは一度、東の山を見てから「分かりました」と答えた。

 それから俺達は、川から水を汲んできてポットで沸かしたり、アトムが顔を洗いに行っている間に、今度は俺が焚き木を拾いに行く。

 そうしている間に日の完全に山から上り、俺は2人を起こすことにした。


side マリア


私は肩を揺すられる感覚と共に目を覚ました。

 まだぼんやりする頭で薄目を開くと、アベルが私の肩よ揺すりながら声を掛けていた。


「おい、起きろ、朝だぞ」


アベルの声を聞いて私はゆっくりと身体を起こした。

 私が起きたことを確認すると、アベルはマーナの肩を揺すり起こし始めた。


私は横で寝ていたキャトルーを、揺すって起こそうとするとキャトルーは寝ぼけながら。


「焼き魚美味しかったにゃ~」と夢で見ていた事を言いながら、大きな欠伸をした。


起きた私はテントを出ると、一度伸びをしてからアトムくんに挨拶をした。


「おはようございます」


私が挨拶するとアトムくんはわたしを見て「おはようございます」と返事をしてくれた。

 私は川に行き、顔を洗うと朝食の準備を始めた。

 

今日の朝ご飯は何にしよう?折角油が手に入ったので、豚カツを揚げようかしら?

 オーク肉を筋切りしてから下味をつけて、パン粉を付けて上げていく、本当は卵が欲しいけど、無いから仕方なく水で溶いた小麦粉をつなぎに使ってる。

 うまく揚がったら、葉野菜と一緒にパンに挟んでソースを掛けて完成!

 後は出かける前に、試しで作った干し肉入りのスープも作って朝食の完成よ。


皆で焚火を囲んで朝ご飯を食べ始めた。

 豚カツがパンに挟まってるのを、不思議そうに見ていたアベル達は、齧りつくと顔を綻ばせて話始めた。


「このパンに挟まってるの美味いな!これも売ったら皆買いそうだな!」


アベルがそんなことを言うと、マーナも頷いてから話し始めた。


「それに貰ってすぐ食べれるのがすごく楽よね、スープとかだと器とか必要だけど、これなら器必要ないし、受け取って直ぐに食べれて、移動しながらでも食べれそう」


マーナの意見にアトムくんも頷いて。


「これなら簡単で具を挟むだけですから、俺でも手伝えますよね」


アトムくんは自分が手伝うことも考えて、提案してきた。

 確かに揚げるのは、私かラナちゃんじゃないと火傷とか怖いけど、挟むだけならだれでもできるわね。

 帰ったらラナちゃんと相談してみよう、でもパンを大量に必要だから、パン屋さんと話し合わないといけないのよね。

 コテージにはパン焼き窯なんて無いから、どうしてもパン屋さんから買わないといけないのよ。

 設置式の竈は持ってるんだけど、毎日焼くのはかなりの重労働で子供たちに任せるのはきついわよね。

 それに家の中は竈置く場所が無いから、外に置くことになるけど、外だと一回使うだけならいいかもしれないけど、毎日使うとなると衛生的に問題よね。


私はパンをどうしようか考えていると、3人はすでにご飯を食べ終わった居た。

 私は少し残ったスープを飲み干し、全員の食器を受け取り、川で食器を洗ってストレージにしまった。

 私が片付けをしている間に、3人はテントを片付けて焚火の火を消してくれていた。

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