第82話アトムくんの装備どうしよう?

スキルブックでスキルを覚えると、副次効果で字が読めるようになたみたい。

 皆がそれに驚いて、アントニーくんはスキルブックを受け取って、早速開いていた。

 他の皆は腕を組んだり、頬に手を当てながら考え込んでいた。

 そんな皆を見て、私は頷き皆に話掛けた。


「そろそろ私とアトムくんは出かけないといけないから、何にするかはじっくり考えて決めてね」


私はそう言うと、ソファーから立ち上がり、キャトルーはエイミーちゃんの腕の中から抜け出し、続いてアトムくんも立ち上がった。

 私は出て行く前に、思い出したことを言うため、立ち止まり振り向いた。


「そうそう、カーラちゃん、魔法だけだと近づかれた時危ないから、冒険者になるなら棒術はできるようになって置いた方が良いわよ」


私がカーラちゃんに忠告すると、カーラちゃんは頷いて返事をした。


「わかりました、確かに魔法使いならスタッフを使ってる人よく見かける物ね、練習用のスタッフってあるの?」


カーラちゃんは返事をしながら、私が出した練習用の武器に目を向けていた。

 カーラちゃんの質問に私は頷いて答えた。


「心配しなくてもちゃんと有るわよ」


私は返事をして扉に手を掛け、外にでる前に声を掛けて出かけた。


「では、行ってきますね」


私は声を掛けると皆は「行ってらっしゃい」と大きな声で返事をしてくれた。

 私達を追いかけるようにキャトルーが急いでこちらに走って来た。


「待つにゃ、ボクも行くにゃ」

 

キャトルーはそう言うと、私の肩に上って座り込んだ。

コテージを出た私とアトムくんは、森の木陰亭に向かって歩き始めた。

 朝の賑わいに満ちた町を歩きながら、町の様子を見ていた。

 森の木陰亭に到着した私達が扉を開き入ると、アイナちゃんの元気な声が迎えてくれた。


「いらっしゃい、あ、マリアおねえちゃんおかえりなさい、きのうはどうしたの?」


アイナちゃんの質問に、私は昨日の経緯を説明すると、アイナちゃんは抱き着いてきて。


「マリアおねえちゃんでてっちゃうの?」と聞いてきた。


私は真剣な顔で頷いた。

 私が頷くと、アイナちゃんは抱き着く力を強くして、しがみついてきた。

 そんなアイナちゃんの頭を撫でながら、落ち着いてもらうように話しかけた。


「ごめんね、アイナちゃん、でも孤児院の皆が一人でも生活できるようになって欲しいの、だからごめんね」


私が説明すると、アイナちゃんは俯きながら、離れてから話してくれた。


「このまちをはなれるわけじゃないの?ならまたあえるね」


私を見上げながら、アイナちゃんが笑顔を向けてくれたので、私も笑顔を返し食堂に向かった。

 食堂の中にはまだ残っているお客さんもいた。

 私は周りを見回すとアベル達が私に気付いたらしく、テーブルを立ちこちらに近づいてきた。

 

「来たね、こっちは昨日の襲撃者を衛兵に突き出したは良いんだけど、孤児院の場所が分からなくて、宿屋に帰って来たんだ」


アベルの言葉に確かに私達は先に孤児院に行っちゃったから、場所が分からなかったのね。

 私がアベルの話に納得していると、マーナが話掛けてきた。


「アトムくんにまだ装備渡してないの?」


マーナの疑問で、私はやっとアトムくんに、装備を渡していないことに気付いた。

 そうよね、すっかり忘れていたわ、装備渡しておかなきゃいけないわよね。

 マーナの言葉に思い出した私は、どうしようか考えていると、アベルが話しかけてきた。


「装備考えるのはマリアに任せよう、とりあえずは依頼受けに行かないと、無くなちまう」


アベルの提案に私は頷き、取り合えず冒険者ギルドに向かった。

 冒険者ギルのに向かうと、今まさに依頼の張り出しをしようと、レインさんが掲示板の前に来て声を張り上げていた。

 

「依頼を張り出しますよ~」


レインさんの声が冒険者ギルドに響いたのと同時に、アベルが掲示板に走り寄っていった。


「まずい!依頼取れなくなる!」


アベルが掲示板に走り寄るのと同時に、依頼争奪戦が始まった。

 怒号と喧騒が響き、依頼の取り合いが始まる。

 こればかりは、私が中に入っていってもどうにもならないのよね。

 アベルが頑張ってるのを眺めながら、私はアトムくんに渡す装備を考えていた。

 

う~んアトムの装備どうしようかな?アベルが装備できる位の物だと、余りバリエーションが無いのよね。

 防具はアベルと同、じ盗賊団長の革鎧で良いとして、武器は何が良いかしら?

 私は武器を選ぶために、使いたい武器をアトムくんに聞いてみることにした。


「アトムくん、使いたい武器ってありますか?」


私が聞くとアトムくんは首を捻り、悩む仕草をした後に、自分が使てみたい武器を答えてくれた。


「俺は剣と盾か、剣を二本使う戦い方がしてみたいです」


アトムくんの答えを聞いて、私はなるほどっと思ってしまった。

 でも双剣なんて難しそうなのに、良く使う気になったわね、アトムくんが使って見て、もし使えそうなら色々使ってもらいましょ。

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