わたしの聖少女領域
『大人になれない自分と部活動での鬱憤がモバゲーで作品を書く際の原動力になっていたと言えるかもしれません。』
https://monokaki.ink/n/n53219bb2fbf5
↑monokaki にて、二宮敦人さんのインタビュー記事の中のお言葉。
モバゲー懐かしいなあ。
わたしは登録して使い方というか……楽しみ方がちまいちわからなかった。
けど友人たちの間でモバゲーが会話で持ちきりになるので、話題合わせにとそのまま新規アバターのままでチュートリアルも進まないネットの世界で立ち往生していたっけ。
わたしは後から出てきたモバスペがネット上ではじめて作品を書くようになったツール。
それまではずっとひたすら自宅にあったパソコンのメモ機能で文章を書き、印刷して大学ノートに貼って保存し、挿絵を描いて創作好きな仲間内でそれぞれ交換して読み合っていた。
他者に読んでもらうことには、それで十分満足していた。
けれど、歳を重ねて思春期に入ると、わたしははじめてひとに伝えるにはなんとも後ろめたい世界観にどっぷりハマってしまった。
それは日々対人関係に悩み、乗り越えなきゃいけない部活動ど勉強の忙しさに疲れて、アルバイトをはじめたいのに時間のやりくりに自信がなく、そもそも電話をして「働かせてください!」と言う勇気が出ないとき(今はすごいよね、ネットでできちゃうんだもん)。
ある音楽との出会いで、モバスペでの創作に踏み出したきっかけと同時だった。
その音楽は、ALI PROJECT (以下、アリプロ)。
PEACH-PITの『ローゼンメイデン』の主題歌を歌っていたことで、はじめて知った(ローゼンメイデンも大好きな作品なのですが、今回は割愛します)。
ローゼンメイデンの世界観もさながらに、アリプロの歌う今日は見事にローゼンメイデンのドールたちを表現していた。
そこからほかの楽曲が気になり、TSUTAYAに足繁く通いアルバムを借りた。お小遣いに余裕があれば買いたかったほどに好きで、当時は一生懸命MDにダビングした(MD知らない世代の方はぜひ調べてね!)。
『ダークなロック・官能ゴシック・妖しいロリータ・極上バラード・きらびやかでキュートなポップスから大和ロック・現代音楽』と形容されているらしい。
歴史的有名音楽家たちの旋律を模していた曲もあるのは、今しがた調べてみて知った。クラシック好きなので、その影響も少なからずあったのかもしれない。
単純なことばで言うなら、「これが今わたしのいたい世界だ!」だった。
アリプロの作詞家、宝野さんのよう「ゴシックやロリータが好きなわけでもないし、なんならその過激なる歌詞のようなことをしたい訳でもないのだが、それでも、その世界に浸っている間はまるで静かな水面に佇む妖精のように、心穏やかにいられた。
そしてときには激しいアップテンポに後押しされながら、心の中に滞った鬱憤が吹き出すように言葉になって指先から綴られていった。
後者の時が、わたしが作品を描きたい!と熱意に溢れる瞬間。このときは、夜通し一睡もせず書き続けた。自分専用のパソコンがなかったので、とにかくケータイ(当時はガラケー)でひたすらぽちぽち打ち込んでいたっけ。
二次創作と一次創作、どちらもしたがネットで公開していたのは一次創作だけだった。
このときエクソシストという存在に惹かれていたので、彼らを題材にして書いていたはずだ。
今はもう、そのデータも鍵が開けられることなく消滅してしまったと思われる。
正義のために戦い勝つことなく、自分の信念を貫き通す悪役がその秘技を見せることなく、救われるべき囚われの人たちが救われることなくひっそりと静かに、彼らはもう進むことのない時の中で永き眠りについてしまった。
当時のわたしのすべての苦しみを背負い、喜びを受け生き抜いた彼らを、救ってやれなくて胸が痛む。
でもその彼らがいてくれるからこそ、わたしは今こうして再び作品を書くことに戻ってこれたのかもしれない。そうでなくても、彼らは決して無駄ではなかったのだ。
正義のヒーローも、悪のラスボスも、彷徨える救済を求めた人たちもみな、わたしを救ってくれたのだから。
アリプロの持つ世界観が捜索意欲を高めてくれる。
わたしの中に眠る闇を、人間の中に、男と女の中に眠る闇を浮かび上がらせてくれる。
日頃の生活をするくらいでは到底見えてこない世界と価値観を、わたしに注ぎ込んでくれる。
だからわたしは、今でも時々アリプロを聴く。
カラオケで歌うと、わたしをよく分かってくれる親友はいつも笑ってたな。
「でた!こはるの世界!」
そんな彼女は、今引越し作業で忙しないそうだ。色々落ち着いたらまた会いたいなあ。
二宮さんのインタビューで色々考えた数時間でした。
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