ぼく、魔王になりますっ!

タカテン

プロローグ 勇者の遺言

「それじゃあアルン、それにミネルバ、後のことは任せたよ」


 勇者シュタークの物語は、その言葉で締めくくられている。

 長い旅の果て。辿り着いた最北の地にて、勇者シュタークはついに魔王の心臓を聖剣プリヤーチャリで貫いた。

 が、同時に魔王の放った究極魔法を受け、この世から消滅してしまう。


 共に旅したふたりの仲間に分かれも告げず。

 ただその後の未来を託して。

 

 かくしておよそ1000年にも及んだ人間と魔族の戦いは人間側へと大きく傾き、魔族は滅ぶことになる。

 また、時同じくして魔族がリードしてきた魔法文化が衰退し、代わりに人間たちの生み出した新たな力・科学が目まぐるしい発展を遂げた。

 そして今、人間は鉄の馬で地を駈け、鉄の鳥で空を飛び、火薬を詰め込んだ鉄の球でお互いがお互いを殴りあっている。

 

 1000年以上にも及んだ魔王戦争。人間の死者の数は約10万人。

 対してこの100年、人間同士の戦いでの死者はおよそ30万人と言われている――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る