遊星迎撃隊―Starship Breakers 【リメイク版】

暗黒星雲

第一章 系外惑星探査

プロローグ

 一等星として知られるケンタウルス座α星。

 明るさはマイナス0・1等級であり、全天で三番目に明るい恒星だ。この星はケンタウルス座α星A、ケンタウルス座α星B、プロキシマ・ケンタウリの三つの星からなる連星系である。


 α星AとBは主系列星。太陽と似たような質量で、お互いの共通重心を約80年で公転している。プロキシマ・ケンタウリは赤色矮星で、質量は太陽の12・3パーセントしかない。α星AとBから約0・2光年離れていて、約50万年の周期で公転している。


 2016年、このプロキシマ・ケンタウリに惑星が発見された。

 プロキシマ・ケンタウリbと名付けられたその惑星は、質量が地球の1・3倍程度と見積もられている。また惑星表面の平均温度は摂氏マイナス39度。つまり惑星表面に液体の水が存在する可能性があるハビタブルゾーンに位置している。


 生命が存在する可能性がある惑星だ。

 そして、その惑星は太陽系から一番近い恒星にある。距離は4・246光年。


 当然、プロキシマ・ケンタウリbへの惑星探査計画は立てられた。


 まずは無人機。成功すれば有人機を送る。

 人類の輝かしい未来へ向けた第一歩となるはずだった。


 21世紀より無人探査機を送るプロジェクトが何度か実行された。


 21世紀の中頃、400年かけて到達する計画の元、発進した探査機がある。


 この探査機はプロキシマ・ケンタウリbに到達し、探査データを送信しているはずなのだが、そのデータは未だ受信できていない。


 レーザー推進を利用する宇宙船、超小型のライトクラフトを光速の20パーセントまで加速させ、20年で到達する計画が有力視された。しかし、必要な技術の実現が困難である事がわかり、計画は凍結された。


 22世紀から23世紀にかけて、無人探査機が三度発進した。しかし、全ての探査機はロストした。


 25世紀末になり、タンデムツイン型核融合ロケットと、異次元跳躍航法、いわゆるワープ航法が実用化された。


 この技術を用いて有人探査計画が立てられた。

 大型の探査船でワープを繰り返し、3年で往復する。


 『オケアノス』と名付けられたこのプロジェクトは5年の準備期間を経て、今まさに発動しようとしていた。

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