一家集結

 ユウキの父親が剣を下段に構えてゆっくりと向かってくる、ユウキも慣れない動きで2本の剣を構える。


「痛みに気づく事無く、死ね」


「え……」


 脳の動きを上げていたため周囲がスローに見えるはずが、いつの間にか目の前に切りかかってくる剣筋が2つ見える、それでもユウキは真っ直ぐに剣を突き立てる、体中が複数回切り刻まれ右腕が5つほどになったが左腕に再生力を集中させたおかげでなんとか体を貫く事ができた、しかし体のあちこちが切断されたためバランスを保つ事ができず崩れるように倒れてしまった。


「そうだったな……」


 腹部を剣で貫かれているのに血が一滴も出ておらずユウキに被さるように倒れる、握られて剣が離れて地面に落ちると大量の血をまき散らして砕ける




 ユウキの残骸から触手が伸び、2人分を飲み込んだ後に人の形になり徐々にユウキに戻っていく、服も原型を留めていなかったので再構築をする、地味な服を着ていた事ですぐに再現する。


「さすがに強かった」


 マキナとレティが何とかしてくれているのを期待しての戦闘だったが大丈夫だろうかと後方を確認してみるとこちらを見ている視線は確認できない。


(私いらなくね?)


 ミネバが素直に疑問を口に出すがユウキ達は無視する。


(人間でもあそこまで行けるものですね、というかアレは完全に人間辞めてません、あなたの一家はそろって人辞めてますね)


 珍しくカルラが他人に対して発言したのに心無いことを言う。


「ほんとにそうだよ……」


 ユウキも事実なので言葉を受け入れる。




「おーい大丈夫かー」


 戦闘が終わった事を確認したのかレティがゆっくりと向かってくる。


「なんとかー」


「敵の姿が見えないがどうした?」


「あー食べた」


「食べたってなぁ、死体とか証拠が無かったら報告も何もできないだろうが……、せめて頭部だけでも残しておいてくれ」


「模造品だけど見た目は完璧にコピーした物でいいのなら」


 ユウキの握り拳が大きくなったかと思うと徐々に人間の頭部なり地面に落ちる。


「これでいいかな?」


「こういうのは絶対に他人の前でするなよ」


「そんなのわかってるってマキナとレティの前でしかないよ」


「本当に頼むよ……、じゃあ兵士を全面の警備に戻らせるから、ユウキは暫くやすんでなさい」


「はーい」




 その後も数日間警備を続けたが襲撃が一切なくなり、1週間後に終戦の知らせが届き、兵士達に惜しまれながらも仕事が終了し帰宅することにできた。


 帰宅した後に溜りに溜まった書類のおかげで3日ほどは自室に籠っていた。

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